シアリスへの酒の悪影響、新宿ライフクリニック報告



タダラフィルとアルコールのネガティブな関係

【シアリスと酒の悪影響】
シアリスへの酒の悪影響を主軸に、 シアリスと酒、またEDの関連性等に関して報告させて頂きます。


シアリスは日本イーライリリー株式会社が生産し、日本新薬株式会社から医薬品卸業社に供給され、 私共、新宿ライフクリニックから皆さまED患者様に処方される、いわゆる処方箋医薬品です。 シアリスは他剤の後発医薬品(ジェネリック医薬品)ではなく、先発医薬品であり、オリジナルの内 容成分のED専用治療薬です。シアリスのED治療薬としてのオリジナリティはとても高く、シアリス の使用上の制限や副作用の少なさ、 また薬効の長さ は、シアリスの自然な使い心地としてユーザーに 認識される事が多く、それゆえにシアリスは固定的なファンがつきやすい傾向のあるED治療薬です。
シアリス以外のED治療薬は酒の悪影響を受けやすく、その効果を減弱しやすい傾向があり、 シアリスなどのED治療薬を使用するケース、つまり性行為の前においては、 性行為への展開の過程で酒を飲むケースが多い事もあって、 ED治療薬がその悪影響で効かなかったという患者様からの相談が多いです。
ただ酒の悪影響を受けにくいシアリスとは言っても、その耐用性には限度があり、 その量が過ぎれば、シアリスであっても、 その悪影響から勃起改善力が低下してしまう事はもちろんあります。


酒の人類における歴史は実は相当に古く有史以前より我々人類はこれを作り、 それをさまざまなシチュエーションに使用してきたようです。 歴史上、認識される最古の酒を造っていたという痕跡は、なんと紀元前7千年つまり9千年前のもの が最古だそうで、世界最古の文字が5500年前のものらしいので、 我々は文字を発明する前に酒を発明していた事になり、 このように人類の付き合いはとても長い様です。
酒は人と人のコミュニケーションを円滑にして、楽しい気分にさせてくれる得難い嗜好品である一方、 酒が様々な健康障害などの悪影響に関連する側面があるのも事実です。
酒はアルコール性膵炎、アルコール性肝硬変、アルコール性認知症、アルコール精神病、 アルコール中毒、アルコール依存症、喉頭癌、食道癌など無数の疾患発生に濃厚に絡み、 酒がなければ発生しなかった事故や疾病、死亡など人類の歴史上では無数にあります。
こうした酒による健康被害などの悪影響はその摂取量との関連性が高く、 医学的には摂取量による飲酒者のカテゴリー分類もされています。 例えば、一日平均でエタノール60g以上を摂取している人を「常習飲酒家」と呼び、 また一日平均でエタノール100g以上を摂取している人は「大酒家」とこれを規定しています。


この大酒家は上記したような健康被害などの悪影響の可能性が危惧される人達ですが、 日本においてはなんとは240万人も存在するとされています。
ちなみにエタノール100gとはどのくらいの酒になるのかわかりにくいと思われますが、 ウィスキーのシングルなら8杯、日本酒なら4合、ワインなら7杯とかなりの量になります。 これを一年通すなら約87リットルものウィスキーを飲むことになり、 その酒としての悪影響が健康被害に及ぶ事は容易に想像できます。
このように酒には良い面また悪影響があるので、 その使用に関しては使用者が状況に応じて判断する事が大切です。 EDに関してもそれは言え、シアリスなどのED治療薬の運用、 またEDの改善を考えた場合にはその悪影響を抑えるためにも酒の量を控える事やそれを使用するシーンを選別する事は非常に大切です。
本稿ではこうした酒の悪影響とED、 またシアリスの関係性などを主軸にこれらに関して詳細に記載させて頂いております。
本稿では

  1. 【酒とEDに対する悪影響】
  2. 【シアリスの酒による悪影響を検討した薬理試験】
  3. 【実際のシアリスの運用と適正な酒の量】
  4. 【シアリスと今後の酒との付き合い方、その悪影響を避けるために】

と4項目にわたりシアリスと酒の悪影響、またEDに関して記載しております。ご参照くださいませ。


【酒とEDに対する悪影響】
ED治療薬であるシアリスは酒に比較的耐性が強いと上記しておりますが、 酒はED治療薬の運用上にかかわるだけでなく、 EDの発症や増悪などの悪影響に直接もしくは間接的に関わる側面もあります。
このシアリスの運用上意識されている、もしくはEDへの悪影響が危惧される「酒」は 科学的にはエタノールの事です。じつはアルコールにはプロパノール、メタノール、エタノールと 三種あり、我々が一般に酒として使用しているのはエタノールの事です。 エタノールは成人の飲用に使用される他、 みなさんがよくご存じの消毒や防腐などにも使用され、非常に有用かつ広い用途があります。
じつは酒自体は日本性機能学会の規定するEDのリスクファクター、 つまりED発症の原因因子に入ってきませんが、 みなさんも酒が入っていると勃起し難くなるとい状況を経験した事があるのではないかと存じます。 (ちなみに日本性機能学会が規定するEDのリスクファクターは、加齢・喫煙・ 高血圧・糖尿病・脂質異常症・肥満・運動不足・うつ症状・下部尿路症状・薬剤・不妊症・神経疾患・ 睡眠時無呼吸症候群・慢性腎臓病などが指定されている主なものです。)
つまり、酒は直接的に勃起という生理現象を阻害する直接的作用つまり悪影響がある事は共通理念として認識されているものであり、 また医学的に酒は肝臓への障害を通じて二次的にEDを引き起こすという悪影響が確認されています。


酒の摂取量が多い生活が高頻度に継続すると、酒を主に分解する役割を持つ肝臓が疲弊して、 アルコール性肝機能障害という状態になる事はとても有名です。 しかしこうした肝機能障害がEDの原因になる、 つまり酒が二次的にEDの原因という悪影響に関してはあまり知られていません。
男性ホルモンは勃起の維持に非常に大切な内因性物質ですが、 実はその体内における合成には肝臓が非常に大切な役割を果たしています。 酒などによって肝臓の機能が低下する事は男性ホルモンの合成に悪影響を与える可能性があり、 その結果として内分泌性のEDを引き起こす事が危惧されます。
また酒などによって慢性の肝機能障害が発生している状況においては、 肝機能障害による肉体の機能的低下やその状況をフォローするために慢性的に使用される薬剤の悪影響で、 体質性勃起不全というEDを発症する事が危惧されます。
つまり酒はシアリスの運用面だけでなくED発症などの悪影響を抑制する為にも、 その使用の量やタイミングを勘案する事がとても大切です。


【シアリスの酒による悪影響を検討した薬理試験】
シアリスに関して、報告されている酒によるシアリスへの悪影響を検討した臨床薬理試験では、 酒つまりエタノールの血中濃度が上がっても、シアリスの血漿中濃度はその悪影響を受けないなど、 シアリスがその悪影響受けにくいという結果を表現しています。 しかし同試験において、高容量の酒を服用した状況でのシアリスの運用では、 めまいや起立性低血圧などの副作用がより高頻度で発生するという悪影響が指摘されています。
つまり日本新薬株式会社が、シアリスの添付文書上で展開している報告を見る限りにおいては、 「シアリスと酒の併用上、副作用には注意した方が良いが、シアリス効果への酒の悪影響は少ない」 と解釈されます。しかし同社のウェブにおけるシアリスの運用上の注意においては 「適度な酒はシアリスの運用上問題有りませんが、 過度の酒は勃起力を低下させるのでご注意ください」とあります。
つまりシアリスと過量の酒を併用した場合、 シアリスの作用が酒によって薬理作用的に直接阻害されるのではなく、 過量の酒によるED自体への直接的悪影響が相対的にシアリスの作用を生かしきれない状況を生み出しているという事のようです。


【実際のシアリスの運用と適正な酒の量】
上記に過度の酒は、 その悪影響をもってシアリスの相対的な効果の低下やシアリスの副作用発現頻度を増大させると記載しましたが、 それではシアリスの運用上、どのくらいの量がその悪影響を避ける上で適正なのでしょうか?
これは実は非常に難しいテーマで、なぜかと申しますと、 適正な酒の量は個人によって大きく解離する可能性が高いからです。 酒の個人への影響力、例えば酔い方とかは、 みなさんが飲み会に参加された時もそうだと思いますが、同じ量を全員が飲んだからと言って、 全員が同じような状況に必ずなるという事はほとんど無いのではないかと存じます
つまり上記に日本新薬株式会社のシアリス運用上の酒のコントロールに関してのコメントより 「適度な酒はシアリスの運用上問題有りませんが、 過度の酒は勃起力を低下させるのでご注意下さいとあります。」 と記載しましたが、「適度な酒」もしくは「過度の酒」という量的概念は個人個人でのばらつきが大きく、 一概に「エタノール何gまでが適度です」という量的な境界値を表現ができないのが現実です。 人によってはウィスキーシングル1杯は全く酔ったうちに入らないかも知れませんが、 人によっては泥酔状態になる事もあります。


つまり、シアリス運用に関して「適度な酒」もしくは「過度の酒」 という量的な区分は個人個人で違って来る可能性が高いという事です。
これを踏まえた、当新宿ライフクリニックにおけるシアリスと酒の併用に関する指導としては、

  1. 最初は複数回、シアリスを酒のない状況で使用して、 どの程度効果が出るかを体感で検証してもらいます。 これはシアリスが「きちんと効いてこのくらい」という今後の効果の物差しになります。
  2. 次に極少量から酒とシアリスを併用してもらい、1.の効果の物差しを基準に、 シアリスの効果に悪影響を与えない酒の量という、ご本人の境界量を見極めてもらいます。
  3. 次に併用される酒の量を段々と増やしていき、シアリスの効果は損ねるけど、 めまいや起立性低血圧などの副作用面の悪影響が出ない酒の量というご本人の安全域を確認してもらいます。

この指導上は実は1.が非常に大切で、それは何故かと言うと、 最初から飲酒下でシアリスを使用して性行為に入ってしまうと、 シアリスが「きちんと効いてこのくらい」 というシアリスの効果が十全に出ている時の感覚的指標が存在しない状況からの使用開始になるので、 相対的な酒によるシアリス効果の減弱などの悪影響が把握できない事になってしまいます。 最初はぜひ、複数回は酒の入っていない状況でのシアリスのトライアルをして下さいませ。


【シアリスと今後の酒との付き合い方、その悪影響を避けるために】
以上、酒とEDそしてシアリスの運用に関して記載させて頂きました。
酒は適量使用する場合は人間関係を円滑にしたり親密にしたりと楽しい時間を提供し、 また適量であればシアリスの運用上の効果減弱や副作用増悪などの悪影響もない、 また適量であれば、肝機能障害を原因としたEDの発症などの悪影響も回避できるという事ですが、 【実際のシアリスの運用と適正な酒の量】で記載した通り、この「適量」という概念の本質的な 問題は個人個人でこれが大きくかい離する可能性があるという事で、 酒の「適量」に関しては個人個人が探っていく必要性が前提として有ります。
しかし酒による肝機能障害などの悪影響がEDの増悪をきたす可能性がある事、 またシアリスの運用上、 酒がシアリスの効果減弱や副作用増大などの悪影響をきたす可能性がある事はまぎれもない事実なので、 現時点で飲みすぎであるという自覚のあるED患者さんがその量を調整される事は、 EDの改善上もシアリスの運用上も望ましいという事は間違いありません。
EDの改善のためにもシアリスの効果的運用の為にも、 またその悪影響を避けるためにも酒は楽しい範囲で控えめにこれを使用され、 必ず複数日の休肝日を週の中に導入され肝臓が休まる時間を設定されるようにお願い申し上げます。


新宿ライフクリニックは新宿トップクラスのED治療施設として蓄積された経験、 また専門医集団としての深い学識から、 「酒の悪影響に関連したシアリスの運用」など多彩な質問に対応可能です。
シアリスの運用上の悩みや処方に関してのご相談はぜひ新宿西口にある当院 新宿ライフクリニック にどうぞ御気軽に。
(記載:日本性機能学会専門医-須田隆興)



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