シアリス の発がん性に関する報告を中心に記載しております。 シアリスはその正規販売元である日本新薬株式会社の報告によると 「シアリスには発がん性は確認されなかった」とインタビューレポートに記載が有ります。
当施設は新宿ライフクリニックという東京はJR新宿駅前にあるED専門医療施設です。
当院は新宿区保健所の正式な承認をもって開業しているクリニックで、
一日に50~100名ほどのED患者さんをフォローしています。
我々が対応しているED患者さんの中で今、
バイアグラを凌いで処方頻度が上がっているのがイーライリリー株式会社が開発し、
日本新薬株式会社から販売されているシアリスという勃起改善薬です。
シアリスはその効果持続
と副作用の少なさ、
また食事の影響を受けにくいという用法上の利便性が特色の勃起改善薬(PDE5阻害薬)であり、
複数の種類のある厚生労働省認可の勃起改善薬の中でも独特の立ち位置です。
先日、このシアリスを処方されている、ある再診ED患者さんからシアリスに関する質問を頂きました。
それはシアリスの発がん性の有無に関するものでした。
バイアグラやシアリスなどの勃起改善薬において、
発がん性というのはあまりディスカッションされるテーマではなかったのですが、
毎日、性行為の際にシアリスを使用していると、
おそらくシアリスの長期的な影響が心配になってくるのだと思われ、
その中でも最も恐ろしい長期的影響である発がん性に関して、
その心配が及んだものと思われました。
おそらく質問にまで至らなくとも、同様にシアリスのように日頃常用する薬剤に関して、
その発がん性の有無に関する心配は、
それを使用するだれもが時に不安になるものだと思われます。
そこで、今回はシアリスに関する発がん性についてを中心に本稿を記載する事に致しました。
これに合わせて発がん性自体に関しての解説もしております。
ご参考にどうぞ。
シアリスの発がん性に関しての報告の前に、
がんに関しての一般的な医学的解説をさせて頂きたいと存じます。
がんは別称を悪性腫瘍と言いますが、
この腫瘍における悪性・良性を区別するのは、
実は主に腫瘍の「増え方」です。
浸潤しながらつまり通常の組織を押しのけるのではなく入り込むように増えていくのが主な悪性腫瘍の特徴です。
その一方、良性腫瘍の場合は入り込むのではなく押しのけるように増えていく増殖形式です。
実はこれは非常に大きい違いであり、
悪性腫瘍のように通常の組織に入り込むように増える腫瘍は、
血流などにのって様々な所に転移しやすくなりますし、
いざ手術の場合も正常の組織に入り込んでいるので、
正常と悪性腫瘍の境界線が分かり難くなり、切除が難しくなる要因にもなり得ます。
故に悪性腫瘍は正常組織に浸潤がどんどん進む前、つまり早期発見・早期治療が大事になり、
これは転移する前に、正常組織に入り込んでどんどん悪性腫瘍が大きくなる前に、
手術や化学療法、放射線療法の介入が出来れば、大事に至り難いという事がその理由の主体です。
また、過去においては手が出せなかったような悪性腫瘍も、
今日では医療の進歩により治療できる悪性腫瘍がだんだんに増えてきている状況です。
この悪性腫瘍は様々な原因で発生しますが、
医原性癌つまり医療行為が原因となって生じる悪性腫瘍もあります。
仮にシアリスなどの薬剤が発がん性があり、
シアリスが原因で発がんに至る事があるとすればこれはカテゴリー上、医原性癌と言う事になります。
ただ冒頭で述べた通りシアリスの発がん性は、
販売元企業である日本新薬株式会社の検証で確認されていません。
上記にシアリスは発がん性は確認されていない、
つまり医原性癌の原因として確認されていないと記載しました。
この医原性癌とは診断や治療などの医療行為によって発生する悪性腫瘍を示す言葉です。
これは主に放射線照射によって発生する皮膚癌や白血病、
また乳癌術後の病側上腕に発生するリンパ管肉腫などが医原性癌では代表的です。
発がん性のある薬剤による悪性腫瘍も医原性癌に内包され、
こうしたものは化学発癌物質というカテゴリーでもあります。
化学発癌物質として代表的なのはタールで、
これは塗布部分に皮膚癌が発生する事が人工的な動物実験による検証で確認されています。
また臨床用の薬剤ではガンシクロビルという抗ウィルス薬で、
動物実験上の発がん性が確認されています。
こうした明らかに発がん性などが確認されている薬剤を臨床上で使用するケースでは、
発がん性などのデメリットを治療上のメリットが上回る場合にその使用を検討されるのが一般的で、
そうした際にはインフォームドコンセントに則り、
こうした発がん性などのリスクを主治医が患者に詳細な説明をする義務が有ります。
シアリスの発がん性に関する日本新薬株式会社インタビューフォームからの報告です。 これはがん原生試験と言われる検討内容で、 シアリスの成分であるタダラフィルをマウスおよびラットに投与して、 雄・雌それぞれ50匹に対して、 400㎎/kg、60mg/kg、10mg/kgでシアリスを約2年間連日で投与をしたとの事です。
この検討の結果、400㎎/kg/日の投与群の雄マウスで、
肝細胞腺腫と呼ばれる良性腫瘍の発生が見られたとの事ですが、
これには統計学的な有意差は確認されず。
加齢したマウスで認められる自然発生腫瘍と考えらえたとの事です。
あるいはシアリスの成分であるタダラフィルの二次的影響も検討されたとの事ですが、
あくまでこれは良性腫瘍の発生であり、
悪性腫瘍の発生、つまり発がん性はシアリスでは確認されなかったとの事でした。
一方のマウスでなくラットの方では、
悪性も良性も腫瘍発現頻度の上昇はシアリスでは確認されなかったとの事です。
この検証をまとめますとラット・マウスともどもシアリスの発がん性は確認されず。
マウスで自然発生腫瘍とも考えられる良性腫瘍の発生があるも、
これも統計学的有意差を示さなかったとの事です。
この検証をもって日本新薬株式会社ではシアリスで発がん性が見られなかった事を報告しています。
上記に日本新薬株式会社の動物実験による検討でシアリスの発がん性が確認されなかったと報告しました。
つまりこれはシアリスを飲み続けても発がんする可能性は低いという事を示していますが、
シアリスなどの処方箋医薬品は発売後の検証も、
こうした発がん性などの調査には重要です。
と申しますのも、糖尿病の治療薬でアクトスという薬剤があり、
これはインスリン抵抗性を下げるという非常に画期的かつ有用な抗糖尿病薬なのですが、
発売後、数年たってからフランスにおける疫学的な調査によって、
ごく微小な差なのですが、膀胱がんの発症リスクを高める傾向が確認されたとの事です。
こうした薬剤の販売後に確認される有害事象もあるので、
現状、シアリスの発がん性は否定的と言えますが、
ユーザーがシアリスを安心して継続的に使用する為には、
今後のシアリスに関するインフォメーションをきちんと継続して確認する事も大切です。
シアリスの発がん性に関して、
動物実験による検証では否定的であるという報告を中心に記載させて頂きました。
しかし上記したように処方箋医薬品の販売後に判明してくる有害事象も存在するので、
シアリスを継続的に安心して使用する為には、
ユーザーの継続した情報収集も大切であると上記しました。
しかしシアリスのような処方箋医薬品は実は広告上の規制が強く、
シアリスユーザーの方に大切な情報を浸透させるのは難しい側面もあります。
そこで当新宿ライフクリニックのようなED専門クリニックが社会的に意義を持ちます。
当院のようなED専門クリニックには、製薬会社から薬品情報を担当する職員が定期的に訪問しており、
シアリスに関する情報も適宜最新のものがアップデートされるようになっております。
シアリスであれば日本新薬株式会社がそれに当たりますが、
実際に日本新薬株式会社から新宿ライフクリニックには、
薬品情報を担当する方が月2~3回くらいの頻度で面談にやってきます。
シアリスのメーカーがユーザーに伝えたくても伝えきれない大切な情報を、
我々ED専門クリニックが仲介して皆様にお伝えできるのです。
シアリスに関するどのような疑問もどんどん新宿ライフクリニックにお尋ねください。
本稿のような記事もこうしたシアリスの情報活動の一貫です。
今後も新宿ライフクリニックからシアリスに関する情報を皆様にお届けしたいと存じます。
(記載:日本性機能学会専門医-須田隆興)