早漏はどう治すべきなのでしょうか?
多くの方が早漏で悩んでいます。
しかし、その治療は残念ながらパートナーの満足感の改善に繋がり難く、
上手くいかない事が多いです。
それは早漏の治療が上手くいかない 『3つの原因』 があるからです。
本稿では、早漏はどう治すべきか? というテーマを主軸に、
この3つの原因に関して日本性機能学会専門医が詳しく解説しております。
宜しければ、ご参照下さいませ。
<当ページの項目リスト>
早漏の治療が上手くいかない原因、最初の解説は 『適切な射精までの共通の時間を規定出来ない』 事です。
早漏をどう治すべきか? このゴールは、残念ながら男性だけでは規程出来ません。 性行為の性質上、どうしても女性の意見も含めて検討する必要が有ります。
例えば、本稿を読まれているご本人が早漏を治したいとして、 『挿入から射精までの時間』 はどの位にしたら適正と言えるでしょうか? ほとんどの皆さんは、ここで 「はて? 適切な射精までの時間ってどの位なんだろう・・・?」 と思われるのではないでしょうか?
この 適正な 『挿入から射精までの時間』 は、みなさん共通のものは規定出来ません。 なぜならば、適正な射精までの時間は、パートナー女性のニーズによってバラバラだからです。
射精までの時間が長ければ良いかというと、冗長に続くだけの性行為をつらく思う女性もいますし、 性交疼痛症 (挿入によって痛みを感じる女性側のお病気) の女性に至っては挿入の時間は短かければ短い程良いと思われる事でしょう。 仮に射精までの時間が現在より延びたとしても、結果として性行為における女性側の満足度を下げてしまう事もあり得るのです。
つまり早漏の治療の軸を、一般的な射精までの時間にフォーカスしてしまうと、 実の所、上記のように適切な射精までの共通の時間は規定出来ないので、これを原因として早漏の治療が失敗してしまう恐れが有ります。 早漏の治療上、本当にフォーカスすべきなのは 『一般的な射精までの時間』 ではなく 『ご本人のパートナーが満足する射精までの時間』 と言えます。
この 『ご本人のパートナーが満足する射精までの時間』 は勿論、女性によって異なるので、 どうしてもご本人のパートナーのニーズを確認する必要が有ります。 早漏の治療を失敗させない為にも、まずはパートナーに希望する 射精までの時間を確認しましょう。
早漏の治療が上手く行かない原因、次の解説は 『調査結果がフィードバックし難い』 事です。
ここに、メキシコ、イタリア、 韓国にて合計1463名の女性から採取した早漏に関する意識調査の報告が有ります。その内容としては、
となっています。
こんな報告をみたら、だれしもが 『早漏を治さねば!』 と思われるかも知れません。
しかし、こうした調査、何をもって相手男性を早漏と判断しているかと言うと、 なんと相手女性の 『主観』 で、男性側が早漏かどうかが判断されています。
これは早漏という疾患が、前述の通り 「適切な射精までの共通の時間」 を規定出来ないので致し方ないとも言えますが、 この報告、判定基準が無く主観で判断されているので、ある女性にとっての早漏と報告された男性は、 他の女性にとっては早漏では無い可能性が有ります。
すなわち、こうした報告は本質的には 『ニーズが合致していないカップルの報告』 に他ならないので、 他の疾患のように、調査結果を個人にフィードバックして、早漏をどう治すかなど、早漏治療システムの改善に役立てる事が出来ません。
こうした事情で 『調査結果がフィードバックし難い』 状況も早漏の治療が上手くいかない原因の一つとなっているのです。
このように早漏に関しては多人数を動員した客観的な調査結果が当てになりにくいので、 やはり、ご本人とそのパートナーがどうであるか、オーダーメイド的に状況を把握する事がその治療上大切と言えます。
早漏治療が上手くいかない原因、最後の解説は、現在、早漏に施行されている 『治療方法がイマイチ』 な事についてです。
早漏はどう治すべきか?その治療方法に関しては現在 『トレーニングもしくはリハビリテーション的方法』 と 『薬物的治療法』 の二つに分かれています。
『トレーニングもしくはリハビリテーション的方法』 には、 ストップ・スタート法、スクイーズ法、セマンズ法、コンドーム・マス法など 複数のトレーニングベースの方法が有ります。これらは、自分で出来るもの、またはパートナーの協力がいるもの、それぞれ有りますが、 トレーニング (あるいはリハビリ) を重ねて行くスタイルの治療方法なので、もちろん即時性は有りません。
また、勃起したペニスへのトレーニングになるので、ネットで方法を調べる事は出来ても、 動画で方法を確認したり、クリニックのような施設で方法を習う事が基本的に出来ないので、 その実効性と有効性も曖昧になりがちです。
一方、 『薬物的治療法』 にはSSRIなどの向精神薬、 麻薬類似薬の痛み止め、 ある系統の排尿障害治療薬が使用されていますが、 これらは、EDの治療薬で言うバイアグラのように専用のものでは無く、全て適応外使用の薬剤になります。 前述したように早漏は疾患概念自体が曖昧で、また疫学調査もフィードバックし難い事もあって、 専用治療薬が開発しにくいという問題が前提として有ります。
これら3種の薬剤は専用治療薬では無いので、いずれも治療効果に関して、ユーザー満足度はさほど高いものでは有りません。 また、向精神薬に関しては自殺企図などの精神的な副作用、また麻薬類似薬の痛み止めに関しては依存性の問題があって、 日本性機能学会でも、良性疾患である早漏症へのこの2種の薬剤の使用を危ぶむ声は少なくありません。
このように、 『トレーニングもしくはリハビリテーション的方法』 にしても 『早漏の薬物的治療法』 にしても、 それぞれ上述のように 『治療方法としてイマイチ』 な部分が有って、 これも、早漏の治療が上手くいかない原因の一つとなっています。
こうした治療方法の中でも 『トレーニングもしくはリハビリテーション的方法』 の中では、個人で始められ、比較的導入のハードルが低い、ストップ・スタート法、 一方 『早漏の薬物的治療法』 の中では、副作用が少ない、排尿障害治療薬が比較的お勧めと言えます。
以上、早漏はどう治すべきか?を中心として、 早漏の治療が上手くいかない3つの原因に関して記載させて頂きました。
上記した3つの原因を踏まえると、 早漏は、全人的な 『射精までの時間的早さ』 ではなく 『パートナーの性行為に対する満足度』 に焦点を当てた上で、 先行する調査報告に振り回される事なく二人にとって何が大切かを勘案し、 個人で始められ導入のハードルが低い 『ストップ・スタート法』 もしくは 副作用が少ない 『排尿障害治療薬』 から治療を始めるのが望ましいと思われます。
(記載:新宿ライフクリニック-日本性機能学会専門医:須田隆興、最終確認日:2020-08-18)
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