大人の男の性腺機能低下症はEDや男性不妊症を引き起こします。
そして、この性腺機能低下症は原発性と続発性の二つの原因によって分類されています。
成人男性の性腺機能低下症とは、男性ホルモンの減少によって様々な症状や疾患が引き起こされる病態で、 引き起こされる疾患の中にはEDや男性不妊症が含まれています。
男性の性腺機能低下症はその原因によって二つに分類されており、
『原発性』 性腺機能低下症は男性ホルモンの生産元である精巣に原因が有り、
『続発性』 性腺機能低下症は精巣の上位で指令を出す、脳の視床下部-下垂体系に原因が有ります。
本稿では、日本性機能学会専門医が、EDや男性不妊症を引き起こす大人の男性の性腺機能低下症を、
その二つの原因である原発性と続発性とに分類して、
わかりやすく解説しております。
宜しければご一読下さいませ。
<当ページのもくじ>
EDや男性不妊症を引き起こす大人の男性の性腺機能低下症、こちらではその原因分類の一つである 『原発性』 に関して解説しております。
『原発性』 性腺機能低下症は、男性ホルモンを生産する精巣自体に問題があって、男性ホルモンの減少からEDや男性不妊症などを引き起こす病態であり、 その原因は更に、染色体異常によるクラインフェルター症候群などの先天的なものと、 精巣の腫瘍や事故 ・ 加齢性の機能低下 ・ 睾丸炎 ・ 放射線外照射などの後天的なものとに別れます。
この原発性を原因とする性腺機能低下症は、男性ホルモンの補充療法が、その治療として検討されます。 基本的に男性ホルモン補充療法 (アンドロゲン補充療法) は、EDなどの症状がある40歳以上の男性で、血清遊離テストステロン値8.5pg/ml未満の場合に、 検討される治療方法です。 ただ男性ホルモン補充療法は、副作用として肝機能障害や多血症、睡眠時無呼吸症候群の増悪などを引き起こす可能性があり、 実施する際にはリスク・ベネフィットのバランスを検討する必要が有ります。
男性不妊症やEDを発症させる成人男子の性腺機能低下症、こちらではもう一つの原因分類である 『続発性』 について解説しております。
『続発性』 性腺機能低下症は、主に脳の視床下部-下垂体系という領域に原因があり、 男性ホルモンの上位ホルモンであるゴナドトロピンの分泌が低下したり、 男性ホルモン産生を抑制するホルモンであるプロラクチンの分泌が増加したりする事で、 続発性に男性ホルモン分泌が低下する事から、男性不妊症やEDを引き起こす病態です。
ゴナドトロピンの分泌低下を原因とする続発性性腺機能低下症の場合 (こうした病態を 『HMM:低ゴナドドトロピン性性腺機能低下症候群』 とも言います) 、その治療としてはゴナドトロピンの補充療法が検討されます。 ちなみに現在、男性不妊症を伴うHMMは公費負担、すなわち国の助成による医療が認められています。
国内におけるHMMによる男性不妊症19例に公費負担による治療を実施した検討では、
精液の出現もしくは増加が14例に、精子の出現が10例に確認され、
うち3例に関しては自然妊娠に成功したと報告されています。
ただ、ゴナドトロピン補充療法は、副作用として精索静脈瘤の発症や下垂体/視床下部腫瘍の増大、女性化乳房などが有り、
上記した男性ホルモン補充療法と同様に、実施する際はリスク・ベネフィットのバランスを検討する必要が有ります。
一方、プロラクチンの分泌増加を原因とする続発性性腺機能低下症の場合は、 プロラクチン産生腫瘍などの下垂体腺腫が原因となっている事が多いです。 こうした下垂体腺腫の治療としては、先行してドパミン作動薬などによる薬物療法が行われ、 こうした薬物治療が奏功しない場合に、 経蝶形骨洞的下垂体腫瘍摘出術などの手術療法が検討されます。
以上EDや男性不妊症を引き起こす大人の男性の性腺機能低下症に関して、
その二つの原因について解説をさせて頂きました。
本稿は性機能障害に関する情報提供の一環として記載させて頂いております。
当新宿ライフクリニックは保険外診療に対応したED専門クリニックですので、
性腺機能低下症の診断・加療に関しては保険診療に対応した病院にてご相談下さいませ。