吸収部位に関して

バイアグラは服薬した後、どのように体に取り入れられるのでしょうか?



バイアグラ摂取の動態」

本剤は小腸が吸収部位となり、体内に取り入れられます


<当ページの項目リスト>

  1. 【バイアグラと吸収部位】
  2. 【吸収部位特定のための実験】
  3. 【小腸とは】
  4. 【バイアグラの薬効のでる時間との関係】
  5. 【効果的な運用のために】

1.【バイアグラと吸収部位】

バイアグラの吸収部位は小腸が主体です。 基本的に本剤以外でも内服薬剤は小腸を吸収部位とする事が多いですが、 バイアグラはこの小腸の十二指腸、空腸、回腸いずれも吸収部位とする事が、 動物実験によって明らかにされており、 特にこの中でも空腸が主体となる事が報告されています。 こうしたバイアグラの吸収部位に器質的・機能的な障害がある場合、 体内への取り込み低下による薬効の不安定化が発生する可能性が有ります。


バイアグラは勃起改善薬の代表的なポジションにある薬剤であり、 消化管の吸収部位から体内に取り込まれ、 陰茎局所の血管を拡張する事で勃起機能の改善を実現します。 バイアグラはファイザー社から17年前に発売されて以降、その知名度は発売当初より高く、 EDでない一般の方々にもその名前が広く認識されている一方、 知名度だけが先行して高まってしまった事で、 薬剤としての本質的な機能のインフォメーションが置いてきぼりになってしまい、 知名度と製剤インフォメーションのバランスが悪い薬剤とも言えます。


そんなバイアグラですが、内服する、すなわち水とともに口から飲み込む事で、 体内に本剤が取り込まれますが、この口以降はどのような動態をもって、 最終的にその作用を示すのでしょうか?
バイアグラが口から水とともに飲みこまれ、 どこを吸収部位として体内に入っていくかは、 その服薬体験について よく把握されているバイアグラユーザーの方でも知らない事が多いのではないかと存じます。


しかしバイアグラの機能を十全に発揮するためには、 実はこの吸収部位の健康は欠かせない重要な要素なのです。 そこに病変が有ったり、機能障害がある状況においては本剤の機能はフルには発揮されず、 せっかく内服したのに薬効が示されない場合もあります。 またバイアグラの服薬指導上で有名な「食事とともに摂取すると、作用が弱くなる事がある」 というものがありますが、 実はこうした用法用量外の使用方法における本剤の機能障害にもバイアグラの吸収部位は関連しています。


本稿ではそんなバイアグラの機能を発揮するにあたり重要な本剤の吸収部位を中心に記載させて頂き、 その説明、また吸収部位と薬効が出る時間との関係など多岐にわたり記載させて頂いております。 ぜひともご一読下さいませ。


2.【吸収部位特定のための実験】

バイアグラの吸収部位はどこなのでしょうか?


これを特定するための実験を、 バイアグラの開発・販売元であるファイザー社が行っており、 本剤のインタビューフォーム上でこれに関して報告しております。
バイアグラの吸収部位を特定するにあたり、ファイザー社はラットの消化器の各部、 胃・十二指腸・空腸・回腸をそれぞれ結紮する事で消化器のループを作成しています。 この消化器のループ内に放射性物質を付与したバイアグラを投与し、 それぞれの部位における時間経過に応じた放射能の残存率を計測する事で、 バイアグラの吸収部位を特定しているのです。


この実験の結果、15分後の各消化管におけるバイアグラの残存率は、 胃で85.2%、十二指腸で27.6%、空腸で18.5%、回腸で26.7%と示され、 もっとも吸収部位として活躍したのは空腸であり、 またもっとも活躍していないのは胃という事でした。 ちなみに十二指腸、空腸、回腸はいずれも小腸の一部で、区分ごとに名称が変わっています。


一般的には消化管の中では胃がもっとも有名と思われますが、 実はこの胃は食べ物やバイアグラなどの薬剤の吸収部位として関与する事は少ないとされています。 詳しくは後述しますが、胃の主な仕事は口から入ったものを主に胃液によって、 小腸から取り込みやすいように調整する事とされています。


3.【小腸とは】

上記に動物実験によってバイアグラの吸収部位は小腸が中心で、 とくに空腸が主要な吸収部位である事を記載させて頂きました。


この小腸は大きく十二指腸と腸間膜小腸に2分され、 この腸間膜小腸がさらに空腸と回腸に区分されます。 バイアグラの消化管における吸収部位を口から始めて、順に説明しますと、 口から内服によって入った本剤は食道を通って、 胃でまず胃液により糜汁化すなわち半液状にされて小腸に送り込まれ、 小腸の十二指腸、空腸、回腸と順番に通過しながら段々とこれらの吸収部位から、 取り込まれていきます。


【吸収部位特定のための実験】に少し記載しましたが、 胃は胃液によって口から吸収されたものをお粥のような半液状に変える事と、 メインの吸収部位である小腸へこれらを流仕込む速度を調整する事、 以上の二つが主要な仕事で、 実は食物にしてもバイアグラのような薬剤にしてもあまり吸収部位としての貢献は、 胃は少ないとされています。


ちなみに回腸を過ぎたら消化管は大腸に至りますが、 この大腸もまた胃同様に食物・薬剤の吸収部位としての貢献は少なく、 それはバイアグラも同様のようです。 このようにバイアグラなどの薬剤が有効に作用するにあたり、 実はこの小腸の吸収部位としての機能はとても重要なのものなのです。


4.【バイアグラの薬効の出る時間との関係】

上記にバイアグラの吸収部位においては小腸の貢献が大きいと説明しましたが、 このバイアグラはキチンと用法用量を守れば、 個人差はありますがおおよそ30分くらいでその薬効が示される薬剤になります。


この30分というバイアグラが薬効を示すまでの時間は、 実はそのほとんどが上記した消化器内でのバイアグラの運行が関わるものです。 消化器内を巡った本剤は上記のように小腸を主な吸収部位として、 血液中に取り込まれ、 その後バイアグラの成分は速やかに陰茎に分布されると言われています。
しかし小腸などの吸収部位に器質的障害や機能的障害があるとその機能は低下し、 その結果として、バイアグラの作用は低下したり、 またその薬効が出る時間が遅くなる事が有ります。


例えば、こうした吸収部位の機能低下の一例として、 生理的に人間の消化機能は年齢に応じて低下して行きます。 昔は焼肉でカルビ等を食べても平気だったのに、 年齢が重なるにつれて消化機能が低下し、翌朝カルビで胃がもたれるような事が増えたりします。 バイアグラなどの薬剤も同様で加齢によるその吸収部位の機能低下が発生すると、 本剤の薬効が低下したり、薬効が出るまでの時間が長くなる可能性が有ります。


一方癌などで小腸の切除をしている場合など、 疾病やその処置を原因となって吸収部位の機能が低下する事もあり、 特に手術などの処置の場合、バイアグラの吸収部位の主体たる小腸の残存が少なくなると、 本剤の薬効が低下したり、薬効が出るまでの時間が長くなる可能性が有ります。 こうした疾病やその処置による吸収部位の機能低下にはセリアック病などの本態性、 ならびに上記の癌に対する小腸の切除など症候性のもの等が有ります。


このように消化器における吸収部位の健全性は、 バイアグラの薬効の出るまでの時間やその作用自体に大きく関わります。


5.【効果的な運用のために】

以上、バイアグラとその吸収部位に関して解説をさせて頂きました。


このバイアグラの効果的な運用のためには本剤の吸収部位である、 小腸とくに空腸が健全である事が重要です。 またバイアグラは食事とともに摂取すると、薬効が低下しやすい製剤である事が有名ですが、 これには食事中の脂肪分や油分などがバイアグラの吸収部位からの取り込みを阻害する事が関連していると推察されています。 バイアグラの効果的な運用のためには吸収部位の健全性以外にも、 正しい用法用量が重要である事は言うまでもありません。 本剤はぜひ空腹でご使用下さい。


ちなみにバイアグラの効果的な運用のために、吸収部位である小腸の健全性を保つには、 どうした工夫をしたら宜しいのでしょうか?
これには主に、口から、何を、どのタイミングで、どのくらい入れるか、と言った、 飲食に対するケアが非常に大切と言えます。 以下にこうしたケアの代表的なものを列記しました


  • ・腸管の癌の原因になりやすい保存肉・過剰な塩分・動物性脂肪を避ける事
  • ・普段から消化に良い食事を心がけ、同時に食物繊維をよくとる事。
  • ・消化管の安静を保つためにも、睡眠までに余裕をもって食事をする事
  • ・過剰な飲酒を避ける事/li>
  • ・暴飲暴食を避ける事

と、これらが吸収部位の健全性を保つ上でが重要です。 そしてこうした吸収部位へのケアに重要なアクションは、実は健康全体の改善にも有効です。 みなさんもこれらに配慮されて、バイアグラの効果的な運用を心がけてくださいませ。


ライフクリニック ではこうしたバイアグラ吸収部位の健全性のためのアドバイスなど、 様々なご指導が可能な保健所認可ED専門クリニックです。 ぜひとも東京に御用の際は当院にお寄り下さいませ。

(記載:新宿ライフクリニック-日本性機能学会専門医:須田隆興、最終確認日:2023-05-16)

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