依存性に関して

バイアグラには依存性はありません。



バイアグラの誤解」

バイアグラには薬物依存傾向はないとの事です。


<当ページの項目リスト>

  1. 【バイアグラと依存性】
  2. 【依存性薬物とは】
  3. 【その悪影響とは】
  4. 【バイアグラに関してのファイザー社の正式報告】
  5. 【なぜにこうした誤解が生まれたのでしょう?】
  6. 【勃起改善薬のパブリックイメージの改善の為に】

1.【バイアグラと依存性】

バイアグラの依存性に関して記載しております。 バイアグラは同薬の開発・生産元であるファイザー株式会社のインタビューフォームによる正式な報告で 「バイアグラには依存性はない」という正式なコメントが出されております。


当ライフクリニックは、東京にある保健所認可ED治療施設です。 当院では2万人近くのed患者さんが登録されており、 毎日50~100人ほどのED患者さんを診療しております。
日々ED患者さんの診療をしていますと、頂く質問に一定の傾向があり、 その中でもバイアグラを初めて処方される方において 「バイアグラに依存性はあるのか?」とバイアグラの薬物依存性に関して、 心配の気持ちから質問される方が複数いらっしゃる事に気が付きます。
バイアグラを始めて使用される患者さんには、 本剤に関する情報がもちろん少ない事もあって様々な事を多角的に心配されている方が多いです。


これはバイアグラのような処方箋医薬品に関する情報が医療情報としての規制対象になっているため、 みなさんの手元まで届く情報が少ない事が原因の一つと思われますが、 一方でバイアグラに関する正確な情報がみなさまユーザーの手元に届きにくい状況が、 本剤の依存性など様々な誤解を作り出している状況もあります。
本稿では、依存性薬物に関してのインフォメーション、 またバイアグラの依存性に関するファイザー社の報告など、 バイアグラと依存性の話を軸に記載しております。ご参照くださいませ。
そのほか、バイアグラの注意を要する所に関しては別項にて記載しております。 宜しければご参照くださいませ。 ⇒危険性の説明

≪注意≫

*ライフクリニックは依存性傾向のある薬物は取り扱っておらず、 本稿に記載のある依存性薬物に関する情報は、これらの乱用における危険を啓蒙するものであり、 使用を推奨するものではありません。 依存性薬物の中には、治療上の必要があり主治医より処方されるものもあるかと思われますが、 これらの用法用量は主治医の指導通りきちんと守られるようお願い申し上げます。



2.【依存性薬物とは】

冒頭よりバイアグラには依存性はないと報告させて頂いておりますが、 一方の依存性薬物とはどのようなものがあるのでしょうか?
依存性薬物とは

(主に臨床上使用する事があるものとしては)

  1. モルヒネなどの麻薬鎮痛剤
  2. バルビツール酸誘導体の催眠薬・睡眠薬
  3. ベンゾジアゼピン誘導体の催眠薬・睡眠薬

(また臨床上使用する事がほぼ無い薬物・物質として)

  1. アンフェタミンなどの覚せい剤
  2. シンナー類
  3. コカイン類
  4. アルコール
  5. ニコチン

等があります。

近年、我が国で薬部関連障害を引き起こしている乱用薬物として代表的なものは、 覚せい剤がもっとも多数派で、 それに次いで脱法ドラッグ・危険ドラッグが続き、 さらに睡眠薬・抗不安薬と言う順の頻度で問題になっているようです。
これらの薬剤や物質はその摂取により精神また身体の依存性をつくりだし、 習慣的に乱用する事で社会的な問題を引き起こす事も多くとても危険です。
これらの薬剤や物質の乱用により身体依存性が完成してしまうと、 薬の効果が切れる事で退薬症状(一般的には禁断症状と呼ばれる事が多いようです。)が現れるようになり、 この退薬症状は薬物からの離脱や社会復帰を妨げる大きな原因の一つです。


ちなみに薬物依存性の状態になっているかの判断に関して以下の状況を確認する事が大切です。

  1. 使用当初に比べて該当薬物の使用量・頻度があきらかに増加している。
  2. 該当薬物の使用による社会的・心理的・医学的な弊害が発生している。
  3. 該当薬物の使用を停止する、もしくは減らす努力が失敗している。

以上の三点が満たされる場合、薬物依存性があると診断される可能性が高いです。


3.【その悪影響とは】

上記にバイアグラなどの勃起改善薬ではない、 依存性薬物に関してその一部をご紹介させて頂きましたが、 こうした薬剤の悪影響は前述の精神・身体依存性だけでは有りません。
これらには精神・身体依存性だけでなく、 薬物精神病という精神神経症状を作り出してしまう事があります。 薬物精神病はこれら依存性薬物の摂取によって精神病症状を呈する状態です。 急激にでる症状としては幻覚や精神運動興奮が意識の変容によって発生する事がありますが、 本疾患の場合は一般的には精神病を自体を指しているようです。 これは長期的には慢性的な脳障害を基盤とした統合失調様の病像を示すともされています。


この依存性薬物による精神病は意識清明なのに幻覚や妄想が出現する事が多く、 診断としては顕著な幻覚または妄想が、薬物中毒または薬物からの離脱過程で出現する状況で、 そうした障害状態が依存性薬物の投薬と原因的に関連するものとされています。
こうした危険な事態を避けるためにも依存性傾向のある薬品は、 必ず主治医の規定した用法用量を遵守するようお願い致します。


4.【バイアグラに関してのファイザー社の正式報告】

さて、上記【依存性薬物とは】に代表的な薬物をリストしましたが、 この中にバイアグラのような血管機能薬剤が無い事に気が付かれたかと思います。
一般的な医学的ニュアンスにおいて、 バイアグラのような血管機能薬剤に薬物依存性があると考えている医療従事者はかなりの少数派です。 しかし、一般のED患者さんにおいては、バイアグラの依存性を心配される方は少なく無く、 こうしたED患者さんの情報ニーズに対応したものとして、 ファイザー株式会社のバイアグラ依存性に関する試験的検討ならびに、 その報告がバイアグラのインタビューフォームに明記されています。


これはバイアグラの一般薬理試験とバイアグラの反復投与毒性試験成績をファイザー株式会社で、 詳細に検討したもので、この詳細な検討の結果として、 バイアグラには上記の依存性薬物にみられるような、 中枢神経つまり脳などへの影響を及ぼす具体的な症状や兆候が見られなかったとの事です。
このバイアグラの中枢神経への作用がない事からファイザー株式会社ではバイアグラの有効成分である、 シルデナフィルには依存性を形成する傾向はないと判断に至ったという事のようです。
もちろんバイアグラはニトロ製剤を使用されている方や心血管障害のある方、 また発症6ヵ月以内の脳梗塞の方には使用できないなど、 バイアグラを安全に使用する為の使用制限や、使用方法に対する注意はたくさんあります。
しかし、その一方でバイアグラの依存性に関してのご心配は無用と言う事で、 こうした懸念を抱いているED患者さんにおいては、 ご安心して頂いて宜しいかと思われます。


5.【なぜにこうした誤解が生まれたのでしょう?】

上記の【依存性薬物とは】に記載されたモルヒネや睡眠薬、覚せい剤、アルコールなどと、 バイアグラは明らかに違う傾向の薬剤です。
それなのに何故、バイアグラは一般のED患者さんにおいてその依存性を心配する声が上がるのでしょうか? ライフクリニックは開設4年目にして日本でも有数のバイアグラ処方量を誇るED治療専門施設ですが、 開設当初はこのバイアグラの依存性を心配されるED患者さんの気持ちが不思議でした。
しかし詳細な問診を通して、なぜにED患者さんの中にバイアグラの依存性を心配される方が多いのか、 段々にその実像が見えて来たように思われます。
それは、一般的に保険外診療クリニックなどの医療施設において、 向精神薬や睡眠薬などの依存性傾向のある薬物を扱うクリニックがあり、 こうしたクリニックでこれらの薬物と並行して、 バイアグラなどの勃起改善薬を扱うケースがある事が一つの原因と思われます。


こうしたクリニックにて向精神薬や睡眠薬などの処方時にその依存性傾向に関しての注意を勧告される一方で、 同時にバイアグラなどの勃起改善薬の処方を受けた場合、 依存性傾向のある薬剤とその傾向のないバイアグラとのイメージが、 患者さんの中で混同されてしまう事があり、 これが原因となってバイアグラには依存性があるという誤解が生まれ、 それがインターネットなどを介して流布されたのではないかと推測されます。
大変残念な事に保険外診療のクリニックで向精神薬や睡眠薬を処方できる状況は、 これら依存性薬物による薬物依存患者を増やしている傾向は否めません。 当ライフクリニックでは純然たるED/AGA/にんにく注射のクリニックとして、 こうした依存性薬物の取り扱いは一切ありません。 それは当院が保険外診療のクリニックでこうした依存性薬物を扱う危険を危惧しているがゆえにです。


6.【バイアグラのパブリックイメージの改善の為に】

バイアグラが保険外診療のクリニックにおいて依存性薬物と一緒に扱われている事が、 バイアグラに依存性があるという誤解を形成した一つの原因ではないかと自説を上記しましたが、
その上で感じる事として、バイアグラには依存性があるとか、 性欲を変に煽ってしまうとか、ネガティブなイメージが付きやすい傾向があるようです。
バイアグラが前提としてセックスに使用する薬剤である所為なのか、 それともバイアグラの偽造品を扱うイリーガルな通販業者・個人輸入業者が多い所為なのか、 これに関しては判断はつきかねますが、 バイアグラには悪いパブリックイメージがある事は残念ながら具体的な事実です。
こうした本剤のパブリックイメージの悪さが、 ED治療の啓蒙を阻害している要因になっている事が危惧されます。


しかし、EDという疾患が人のQOL=「生活の質」を妨げたり、 少子高齢化促進の因子である事は間違い無いので、 日本に存在するという1100万人に及ぶED患者さんへの治療の啓蒙は社会的にも大きな意義のある事です。
当ライフクリニックだけでなく、ED治療専門クリニック、 またバイアグラなどの勃起改善薬の正規メーカーが一緒に力を合わせて、 本剤を始めとした勃起改善薬の「依存性」などに関する正しい情報提供に努力し、 これら勃起改善薬のパブリックイメージの改善を図る事は、 EDの社会的影響を考えると日本社会にとってもそれは望ましい事だと思われます。 ライフクリニックではこうした理念のもと、 今後もこうした情報提供を重ね、バイアグラの情報啓蒙を進めて行きたいと存じます。

(記載:新宿ライフクリニック-日本性機能学会専門医:須田隆興、最終確認日:2023-05-16)

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