ファイザー社バイアグラ(シルデナフィルクエン酸塩錠)をいくつかの施設で処方された事のある方はおわかりだと思われますが、 このクスリは施設によって処方に要するお薬代が違います。
「あれ? お医者さんの出すクスリって全国どこでも一緒の料金だよね?」
そう思われる方もいらっしゃるでしょう。
しかし本剤はそうでは有りません。
地域によっても違いが有りますし、もしくは同じ地域内でも違いがあります。
それは、この薬剤が 『薬価基準未収載』 だからです。 薬価基準未収載なので、施設によって費用が変わってきますし、保険外診療になるのです。
このページではバイアグラの価格が各地域、 また各施設によって違う理由を薬価基準未収載をベースに説明しています。 本剤の値段がどのように決まって行くのか、わかりやすく記載させて頂きました。
<当ページの項目リスト>
バイアグラは薬価基準未収載と冒頭より申し上げておりますが、 そもそも 『薬価基準』 って何なのでしょうか?
実は東京で高血圧の処方してもらっても、 福岡で処方してもらっても、 同じ製剤ならば、保険診療上クスリに支払うお金は全く変わりません。
この共通のお薬代を取り決めているのが 『薬価基準』 です。 この薬価基準とは保険診療上で使用する薬剤の公定価格を取り決めたものです。 これは厚生労働大臣告示によって定められており、 薬剤卸業者や医療機関での調査を参考に決められています。
そもそも保険診療の支払は、その大半が公的医療保険でカバーされているので、 施設や地域によってその費用に差があったら、おかしいですよね?
しかし、その一方で同じお医者さんが処方するクスリでも、 施設や地域によって請求額が違うものが有ります。 それは公的医療保険でカバーする必要が無いと判断された薬剤です。
そうしたクスリは保険外診療で処方する事になり、薬価基準も定められていません。 つまりその処方に当たっての費用は各施設によって自由に定められているのです。 つまり賃貸料や人件費などのランニングコスト、そして仕入値と処方する総量、見込む利益などを総合的に勘案して 、その価格が決められると言う訳です。
バイアグラはまさにそれに該当します。
それ故に本剤は地域や施設によって値段が大きく変わってくるのです。
以下の項目では何をもってその値段が変わってくるのかを解説しております。
結論から言うと都心でのバイアグラのお薬代は、 地方よりも安い傾向が有ります。 同じ薬価基準未収載品なのに、何故このように違うのでしょう?
普通に考えれば都心は土地が高いです。 坪単価平均で言うと、東京都は福岡県の約7倍土地が高いです。 また雇用スタッフにおける最低賃金も都心の方が高いです。 平成30年の地域別最低賃金においては、東京都は時給あたり985円に対して福岡県は814円です。
つまり都心の方がランニングコストが高いのに、 地方よりも安く処方が出来るという事です。 これはどうしてなんでしょうか?
その答えは 『患者さんの多さ』 です。 都心のクリニックには日本中から患者さんが集まるので、 一錠あたりの利益を地方のクリニックより下げたとしても、施設の運営が可能なのです。
また都心の場合は、EDクリニックも多いので、 価格の競合が発生する事でも、 一錠あたりの単価が低下しやすい傾向が有ります。
こちらも結論から申し上げると、地方でのバイアグラ処方における費用は、 都心の施設よりも高い傾向が有ります。
前述の様に、都心に比べて地方の方が、土地が安いですし、雇用者の最低賃金も低いです。 つまりランニングコストは地方の方が少なくなり、 また出しているのは同じ薬価基準未収載のクスリなのに、 何故にこうした違いが出るのでしょうか?
その理由はまさに 『人口比』 です。 都心に比べて地方は人口が少ない為に、 地方のEDクリニックは一錠あたりに見込む利益を都心よりも多めに設定せざるを得ません。
2015年の国勢調査によれば、 東京都と、東京都のベッドタウンを持つ隣接地域の埼玉県・神奈川県・千葉県の4地域の人口だけで、 日本の全人口の約30%にもなります。 これは日本人のほぼ3人に1人がこの4地域内に住んでいる事になり、 この圧倒的な人口差が背景となって、本剤の代金にもギャップが生まれるという訳です。
こちらも結論から申し上げます。 当院のバイアグラの価格は、同じ都心の施設と比較してもだいぶ安いです。 全く一緒の薬価基準未収載の医薬品なのに、これはどうしてなのでしょう?
こちらは当院の処方価を記載したものです。
<ファイザー株式会社 バイアグラの処方価>
もちろん、こちらは正規の薬剤卸から仕入れた、正規流通のものです。 ちなみに当院は本剤の販売元ファイザー株式会社から正規品のみを多く取り扱うクリニックとして、 感謝状を頂いております。
同じ新宿エリアのEDクリニックより当院が安く設定できている、 その理由は、供給元が違う訳でも、本剤の卸値が違う訳でもありません。 これは 『当院独自の様々な工夫』 によって、達成できているものです。
それは端的には、電子カルテや御会計のシステムなどを内製して運用している事、 また業務とスタッフの役割を詳細に規程する事でスタッフ数を制限出来ている事、 広告や診察券作成など外部委託をほとんどしていない事、 そして3万人以上の患者登録を背景に 『薄利多売』 の経営戦略がとれる事、
こうした工夫が背景にあって、当院はバイアグラの価格を都心の他施設との間で差別化出来ています。
また、これは本剤が薬価基準未収載だからこそ、こうした工夫をお値段に反映する事が出来るとも言えます。
なぜならば保険診療の製剤の場合は、お値段をクリニック単位で変える事は出来ないので。
(記載:新宿ライフクリニック-日本性機能学会専門医:須田隆興、最終確認日:2019-05-14)
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