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『バイアグラを使用できないのはどんな人?日本性機能学会専門医がバイアグラを服用してはダメな人を解説』

バイアグラを使ってはダメな人がいます

『バイアグラを服用する事が出来ない人』 がいます。


バイアグラ(viagra、シルデナフィルクエン酸塩錠)はファイザー株式会社から販売されている、 世界で最も有名な勃起不全治療剤ですが、 実は、 『適応上の理由』 、そして 『健康上の不利益』 からこれを服用してはダメな人がいます。


本剤を服用出来ない人は大きく分類すると

  • ―小児/女性・・・・・・どちらも適応が有りません。本剤の適応は成人以降の男性のみです。
  • ―特定の病気や健康状態の方・・・・・・使用する事で健康上の不利益があります。
  • ―特定のクスリを使っている方・・・・・・併用する事で健康上の不利益があります。

このようになります。


逆に言えば、成人男性で、顕著な既往疾患が無く、健康診断上の問題がなく、病院の定期通院や定期処方が全く無い方、 つまり 『健康な成人男性』 は本剤のご利用は問題ありません


大変申し訳ない事に、当院にせっかくご来院頂いたのに、本剤を処方する事が出来ない方が時にいらっしゃいます。 そこで、日本性機能学会専門医がバイアグラの使用をご検討されている方に向けて、 『本剤を使用できない人』 を分りやすく解説させて頂きます。
ご来院前に是非とも、ご参照下さいませ。


<当ページの項目リスト>

  1. 【小児/女性はどんな人でもダメです】
  2. 【どういった病気(健康状態)の人が使用できないのか?】
  3. 【とういったクスリを使っている人が服用できないのか?】

1.【小児/女性はどんな人でもダメです】

小児と女性は服用してはダメ

バイアグラを使用できない代表的な人としては、小児ならびに女性が挙げられます。 本剤は、成人男性にのみに適応が有ります。


本剤の効果は、成人男性を対象に、 性行為の際、ペニスの疾患である勃起不全を一時的に改善させる作用です。 一方で本剤には性欲を高めたり、引き出したりする作用は全く有りません。


すなわち、元々ペニスの無い女性には投薬の意味は有りませんし、 また小児は性交をしないので、これも投薬の意味が有りません。


また男性に関しては幾重にも安全性の確認がされており、 適応や用法用量を守る限りにおいて本剤は安全性が高いクスリと言えますが、 元々、適応のない女性や小児に関してはこのような広範な安全性の確認はされていません。


つまり女性や小児に対する本剤の投与は、 意味も無い上に、服薬自体が危険な可能性が有ります。 特に性的活動期にある女性は、妊娠している可能性もあり、 胎児の事を考えますと、服薬は大変危険です。


女性や小児はバイアグラを服用しては絶対にダメです。 もし服用しようとしている女性や小児がいましたら必ずとめて頂きますようお願い申し上げます。


2.【どういった病気(健康状態)の人が使用できないのか?】

特定の病気や健康状態の人が使用できません

バイアグラはたとえ成人男性であったとしても、 特定の健康状態や特定の疾患のある方は本剤を使用する事ができません。


それは、そうした方が本剤を服用する事で、生命や健康に重大な悪影響を引き起こす可能性があるからです。 こうした特定の健康状態もしくは疾患は 『禁忌』 というカテゴリーに分類されます。


《病気や健康状態の禁忌》

  • 1. この製剤に対して薬剤性アレルギーがある
  • 2. 心臓の血管に問題がある (心筋梗塞や狭心症など心血管障害)
  • 3. 性行為が不適当と思われる疾患がある
  • 4. 重い肝臓の障害がある (肝硬変など)
  • 5. あるレベル以上の低血圧症がある
  • 6. 治療管理されていない、あるレベル以上の高血圧症がある
  • 7. 6ヶ月以内に発症した脳梗塞・脳出血・心筋梗塞のいずれかがある
  • 8. 網膜色素変性症 (もうまくしきそへんせいしょう) がある

以上が代表的な本剤の病気や健康状態の禁忌です。 これらに該当する方は、絶対に本剤を服用しては絶対にダメな人です


※3.の 『性行為が不適当と思われる疾患がある。』 は、2.の 『心臓の血管に問題がある。』 に重複します。 これは主に心血管障害などがあって、性行為自体が医師に禁じられているケースが該当します。


※4.の 『重い肝臓の障害がある。』 は肝硬変や急性肝炎などが該当します。 軽い脂肪肝などはこれに含まれません。


※8.の網膜色素変性症とは、遺伝性かつ進行性に網膜の視細胞が変性する事で、視力が低下していく眼科領域のお病気です。


こうした 『禁忌』 以外にも 『慎重投与』 というカテゴリーに分類される病気や健康状態もあり、
この 『慎重投与』 に該当する場合、本剤の投薬には高度な専門的判断が必要です。


このように上記の 《病気や健康状態の禁忌》 以外にも、投薬にあたっては専門的判断を必要とするケースが有りますので、 EDクリニックにご来院の際は、健康診断や病院での検査の結果などをお持ち頂いた方がより安全です


3.【どういったクスリを使っている人が服用できないのか?】

特定のクスリを使っている人が併用できません

バイアグラには併用が危険なクスリがあり、 こうした特定の薬剤を服用している方は当然ながら本剤を使用する事ができません。


一般にお医者さんが処方するクスリの中には、 『一緒に用いる事が出来ない薬剤の組み合わせ』 が有ります。 その中でも生命や健康に悪影響を起こしうる取り合わせは、上述の病気や健康状態と同様に、 『禁忌』 にカテゴリーされます。 これら併用禁忌薬剤は、基本的には薬局で売っているものではなく、お医者さんが処方するクスリが該当します。


こちらはその具体的なリストです。


《 本剤の併用禁忌薬剤 》

  • 1. 硝酸剤/一酸化窒素供与薬など 『ニトロ系』 (主に狭心症・心筋梗塞に使用されます)
  • 2. 塩酸アミオダロン (主に心室細動や心室頻拍などの重症不整脈に使用されます)
  • 3. 可溶性グアニル酸シクラーゼ刺激剤 (主に肺動脈性肺高血圧症に使用されます)

以上が代表的な本剤の併用禁忌のクスリです。 これらの併用禁忌薬剤が処方されている、もしくは服用する予定がある、 あるいは非常時にこれらを服用する可能性がある方は全て、 バイアグラを絶対に使用する事が出来ない人です


※1.の硝酸剤/一酸化窒素供与薬など、一般に 『ニトロ系』 と呼ばれるものは、 主に狭心症や心筋梗塞などの心血管系障害に使用されます。 飲み薬や貼付薬、舌下錠など様々な剤型が有り、また商標名も数多く有ります。 心血管系障害を指摘されていて、その上で 「心臓の血管を開くクスリ」 「胸が痛い時に使用するクスリ」 などと説明されているクスリは、 この硝酸剤/一酸化窒素供与薬の事になります。


※2.の塩酸アミオダロンは、不整脈のコントロールを目的とした薬剤で、 主に、他剤無効の心室性不整脈、および肥大型心筋症に伴う心房細動など、重症の不整脈がその適応です。


※3.の可溶性グアニル酸シクラーゼ刺激剤とは、 主に、肺動脈性肺高血圧症という肺の動脈圧が上がる事で失神、呼吸困難、胸痛を来す進行性疾患に使用される薬剤になります。



こうした 『併用禁忌』 以外にも 『併用注意』 に指定されているクスリもあり、 この併用注意に指定された服薬がある方は、本剤の投与には高度な専門的判断が必要です。


このように、元々の服薬内容との併用にあたっては専門的判断を必要とするケースが多く、 そのためEDクリニックにご来院の際には、服薬状況のわかるお薬手帳などをお持ち頂いた方がより安全です


以上、3項目にまたがり、 『バイアグラを服用してはダメな人』 に関して解説させて頂きました。

(記載:新宿ライフクリニック-日本性機能学会専門医:須田隆興、最終確認日:2019-06-18)


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