元々、セックスなどの性行為はほとんどのケースにおいて、マスク無し/15分以上/1m以内の接触になり、 仮に相手の方が新型コロナウィルスに感染している場合、濃厚接触の定義をダイレクトに満たしてしまいます。
またセックスは、コロナ禍における濃厚接触の例としてあげられがちな 『会食』 などに比べても、 より相手との距離が近く、また体液や粘膜への接触があるなど、 仮に相手に新型コロナウィルス感染があった場合 『会食』 などよりも、 はるかにウィルスに暴露されやすい状況と言えます。
20-30歳代に新型コロナウィルス感染症の発症者が多いのは、この年代層が性的活動期にある事と無関係とは思われず、 実はセックスなど性行為は、隠れたコロナ流行の中核になっている可能性も有ります。
そこでこちらのページでは、ニューヨーク市保険局が公布してる 『Safer Sex and COVID-19』 、
ならびにイエール大学が公布している 『Safer Sex During COVID-19』 など、
アメリカにて、コロナ禍における性行為に対して発表されている各種マニュアルを参照し、
これらの内容を4つの推奨事項に分類した上で、私見を添えて新宿ライフクリニックの日本性機能学会専門医が解説をさせて頂いております。
宜しければご一読くださいませ。
<当ページのもくじ>
コロナ禍における性行為についての4つの推奨事項。まずは新型コロナウィルス感染を回避する上で推奨されるセックスの 『お相手』 に関してです。
コロナ禍において、新型コロナウィルス感染を回避する上で最も望ましい性行為の 『お相手』 としては、
『他の多くの人々と交流していない、単一の一貫したセックスパートナー』 が強く推奨されています。
つまり、日頃から感染予防に努力をしている 『唯一の恋人』 もしくは 『婚姻関係にある人』 などがこれに該当すると思われます。
一方で、こうした 『単一の一貫したセックスパートナー』 がいらっしゃらない場合は、 『自分の社会的バブル内の人々』 を性行為の相手として限定する事が新型コロナウィルス感染を回避する上で推奨されています。 これは 『職場で同じセクションの同僚』 や 『同じグループのクラスメート』 などが該当すると思われます。
また、このコロナ禍においては、セックスのような性行為だけでなく、 挨拶的なものを含めた 『キス』 もセックス同様 『他の多くの人々と交流していない、単一の一貫したセックスパートナー』 もしくは 『自分の社会的バブル内の人々』 に限定して行う事が新型コロナウィルス感染を回避する上で推奨されています。
コロナ禍で性行為に推奨される4つの事項。続いては新型コロナウィルス感染を回避するための 『バーチャルセックス』 の推奨です。
バーチャルセックスと聞くと非常に電子的、ネットワーク的な性行為を連想してしまうも知れませんが、
これはどちらかと言うと、テレフォンセックスなどを内包する仮想的あるいは疑似的な性行為の事を示しているものです。
こうした仮想的なセックスは、新型コロナウィルス感染の回避上、コロナ禍における性行為として大いに推奨されています。
コロナ禍において推奨される、こうした 『疑似的な性行為』 の実例としては、 テレフォンセックスだけでなく、ビデオデート、チャットルームデート、 セクスティング(携帯電話やスマートホンを使って、性的なメッセージや画像などをやり取りする行為)、 セクシーなズームパーティーなど、様々なバーチャルセックスが新型コロナウィルス感染を回避するために推奨されています。
これら仮想的なセックスは、濃厚接触になる事もなく、また体液を交換する事もなく、様々な人と性的な交流が図れるので、 このコロナ禍において、新型コロナウィルス感染を回避する上では非常に合理的な性行為と思われます。
コロナ禍で推奨される、性行為についての4つの事項。 続いては新型コロナウィルス感染を回避するために推奨される 『セックス時の感染防護』 についてです。
まず、このコロナ禍におけるセックスでは、性行為中であっても普段と同様に、 フェイスマスクのキチンとした着用を継続する事が新型コロナウィルスの感染防護上、強く推奨されています。
また新型コロナウィルスの感染防護上、体液との接触を減らすため、コンドームならびにデンタルダムの使用も推奨されています。 デンタルダムとはラテックスまたはニトリルで出来た透明な正方形のシートで、 これを口に貼り付ける事で、性行為中における自分とパートナーとの間での口を介した体液の往来をブロックする事ができます。
またこのコロナ禍においては、新型コロナウィルスの感染防護上、セックスの前後でキチンとした手洗いをする事も推奨されています。 手洗いの内容としては、石鹸と水で少なくとも20秒間、両手を洗う事が推奨されています。
コロナ禍における性行為、4つの推奨事項。 最後にご紹介しますのは、新型コロナウィルス感染を回避するための 『自慰行為』 の推奨です。
自慰行為はセックスと同様、性行為に内包される性的活動の一つですが、 このコロナ禍においては新型コロナウィルスの感染回避上、 性行為としてはセックスよりも自慰行為の方が推奨されている状況になります。
イエール大学が公布している 『Safer Sex During COVID-19』 においては 「あなたはあなたの最も安全なセックスパートナーです」 と記載されており、 この文は、余人を交えず自己完結できる自慰行為は、 コロナ禍において新型コロナウィルスの感染回避上、最も推奨される性行為であるという事を表現しています。
またニューヨーク市保険局が公布してる 『Safer Sex and COVID-19』 においては、 パートナーと距離を保ち、フェイスマスクを使用した上で、 パートナーと一緒のタイミングで自慰行為をする事などが、新型コロナウィルスの感染回避上、 セックスの代換行為として推奨されております。
以上、新型コロナウィルスとセックスに関して、 コロナ禍における性行為に対して推奨される4つの事項を新宿ライフクリニックの日本性機能学会専門医から解説させて頂きました。
このいわば 『コロナ時代』 とでも言うべき新時代は 『人と人との距離』 がとても重要です。
そうした新時代において 『どのように性行為を行っていくか?』 というテーマは感染予防上も、人と人とのリレーションを保つ上でも、
キチンと検討すべきもののように思われます。
アメリカにおいては、上述のように早々にマニュアルが作製されました。
日本においても日本の実情にあったマニュアルの作製が待ち望まれています。
(記載:新宿ライフクリニック-日本性機能学会専門医:須田隆興、最終確認日:2022-03-07)
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