奥さんの収入の方が多いとEDになりやすい? 夫の給料の方が少ない事で勃起不全が発症する3つの原因について日本性機能学会専門医が解説

奥さんの収入の方が多いとEDになりやすい

  • 奥さんの収入の方が多いとEDになりやすい
  • 夫の給料の方が少ない事で勃起不全が発症する原因には3つある
  • それは 『家庭内でのストレス』 『社会生活上のフレッシャー』 『自分の中から来るストレス』
  • これらは心因性EDを引き起こす原因になる
  • この3つの原因は家族の関わり方次第で軽減する事も可能

奥さんの収入の方が多いとEDになりやすい傾向が有ります。 こうした夫の給料が奥さんより少ない事で勃起不全症が発症するケースには、3つの原因が有ります。



北欧のデンマークにて共働きの夫婦約300万人を対象に調査した所、奥さんが夫より高収入な場合、 夫がバイアグラなどの勃起不全治療剤を使用する頻度が明らかに高かったとの事で、 夫の給料が奥さんより少ない事で、男性のED発症率が上がってしまう可能性が示唆されています。
また、こうしたケースにおいては夫の精神疾患系薬剤の使用頻度も明らかに高かったと報告されています。


デンマークの女性労働力率は約60%と、日本の40%台に比較してとても高く、そこにはデンマークの男女における同権意識の高さが見受けられます。 このようなデンマークですら、上述のような状況なので、 男性の家父長意識がより高い日本においては尚更、奥さんの収入の方が多い場合、 夫がEDになりやすい傾向は強まると推察されています。


実際に当新宿ライフクリニックにおける問診上も、 奥さんの収入の方が多い状況が、夫のED発症に関連しているケースをお伺いする事が有ります。


聴取上、こうした状況においては主に3つの原因が同定されており、 それは 『家庭内でのストレス』 『社会生活上のフレッシャー』 『自分の中から来るストレス』 の三つになります。


本稿では、夫の給料の方が少ない事で勃起不全が発症する原因、その主な三つについて日本性機能学会専門医が解説をさせて頂いております。
よろしければご一読下さいませ。


<当ページのもくじ>

  1. 【家庭内でのストレス】
  2. 【社会生活上のプレッシャー】
  3. 【自分の中から来るストレス】

1.【家庭内でのストレス】

自律神経障害

奥さんの収入の方が多いとEDになりやすい。その原因について最初のご紹介は 『家庭内のストレス』 についてです。


一般に家庭という小集団では、誰かがリーダーシップを取る必要が有ります。 それは旧来の家父長制では、家庭の収入の軸である夫が担当していました。


しかし夫と奥さんの収入が逆転してしまうと、奥さんにリーダーシップが移行する事が多くなります。 これは家庭内での重要な決め事には高額な金銭が関連する場合が多いからです。


家や車の購入、家族旅行などイベントの出費、子供の学費など、 こうした高額な支払の可否においては、自然と収入が多い方の意見が主体になっていき、 奥さんの方が収入が多い場合、奥さんにこれらに対するイニシアティブが交代していきます。


そしてイニシアティブの交代は、二次的に夫婦の行動の変化を引き起こします。 つまり夫が奥さんの指示で動く事が次第に増加して行きます。
これは家庭内におけるリーダーシップの移行です。


こうした小集団内での立場の変化は、もともとリーダーシップを保持していた夫側には、とても大きなストレスを与えます。


またリーダーシップの移行は、子供達にも影響を与えます。 特にまだ幼い子供の場合は、こうしたリーダーシップの移行に伴う、環境・家庭内のムードの変化に戸惑う場合が多いでしょう。 こうした子供達の戸惑いもまた、もともとリーダーシップを保持していた夫側に大きなストレスとなって返ってきます。


逃げ場の少ない家庭内で発生したストレスは、心因性EDの典型的原因の一つと言えます。
このように夫の給料の方が少ない事で発生した 『家庭内のストレス』 は勃起不全の発症する原因となり得ます。


2.【社会生活上のプレッシャー】

社会生活上のプレッシャー

夫の給料の方が少ない事で勃起不全が発症する、その原因について、続いてのご紹介は 『社会生活上のプレッシャー』 についてです。


上述のように、夫と奥さんの収入が逆転する事で、家庭内で奥さんがリーダーシップを取る事が増えて来ると、 ほとんどの男性が 「自分の収入を増やさなければ」 という社会生活上のプレッシャーを感じるようになってきます。 しかし収入を能動的に増やす事は勿論難しく、 こうしたプレッシャーは有効には作用せず、 心理的悪影響のみを遷延させてしまう事が往々にして有ります。


一方、こうしたリーダーシップの奥さんへの移行は、 例え、話して無かったとしても、 時間をかけて、家の周囲の人々や仕事場の人々に伝わってしまう傾向が有ります。 このような状況においては、周囲からの目線も夫側への社会生活上のプレッシャーとなり、心理的悪影響を引き起こしてしまう事が有ります。


改善しにくい、これらの社会生活上のプレッシャーによる心理的悪影響もまた。心因性EDにおける典型的原因の一つと言えます。 このように、奥さんの収入の方が多い事で発生した 『社会生活上のプレッシャー』 もまた勃起不全が発症する原因になり得ます。


3.【自分の中から来るストレス】

自分の中から来るストレス

奥さんの収入の方が多い事でEDになりやすくなる、その原因について、最後のご紹介は 『自分の中から来るストレス』 についてです。


日本において男女雇用機会均等法が制定されたのは1972年と比較的最近の事である事を考えると、 現在、夫として家庭を持っている男性のほとんどは、夫がリーダーシップを持つ、家父長制の中で育っていると推察されます。


そうした環境で育った男性が、奥さんの収入の方が多くなり家庭内のリーダーシップが移行するような状況に適応しやすいかと言うと、 ほとんどの男性が自分の生育環境と現在の状況とのギャップに 『自分の中から来るストレス』 を感じるようになってきます。


こうした家庭内の変化に抵抗なく馴染む事が出来る男性も勿論いるとは思われますが、 現実的には、なじむ事の出来ない男性の方が多数派で、こうした方は継続的に自分の中からやって来るストレスによって、 次第に症状が精神面だけでなく、身体化していく事が有ります。
つまり自分の中からやって来たストレスによって、 次第に勃起不全などの身体症状を感じるようになっていきます。


改善しにくい、自分の中から発生するストレスもまた、心因性EDの典型的原因の一つです。 このように夫の給料の方が少ない事で発生した 『自分の中から来るストレス』 もまたEDを発症させる原因になり得ます。



以上 奥さんの収入の方が多いとEDになりやすくなる、その主な3つの原因に関して解説をさせて頂きました。 夫であり父である、つまり家庭を持つ成人男性は、実は奥さんや子供達が考えているよりも、とてもナイーブです。 序盤で紹介したデンマークの報告ではED薬の使用頻度だけでなく、 精神疾患系薬剤の使用頻度も増加したと報告されています。


上記させて頂いた、勃起不全が発症する3つの原因である 「家庭内でのストレス」 「社会生活上のフレッシャー」 「自分の中から来るストレス」 は家族の関わり方次第で軽減させる事も可能です。
また発生したEDをだけ治すのでは無く、 もともとの心理的原因にアプローチする事はメンタルヘルスにとっても良い結果をもたらすと思われます。

(記載:新宿ライフクリニック-日本性機能学会専門医:須田隆興、最終確認日:2021-02-08)

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