初恋が早い人にはEDが少ない傾向があると報告されています。
この報告では、初恋の年齢が低い人ほど勃起機能が高い傾向があり、
また軽症~中等症のEDに相当する勃起機能の人には、母親との関係性が悪い傾向があったと発表しており、
初恋の年齢や母親との関係性などの 『生活歴』 と 『勃起の機能』 との関連性が示唆されています。
元々、EDは多くの因子が関わり合って発症する多因子疾患なので、 生活習慣病や脊髄の障害などの器質的な要因から、 ストレスやプレッシャ―などの心理的な要因まで、 様々な因子の影響を受けて、その発症に到ります。
近年のチェコスロバキア共和国における男性960人での検討では、 こうした 『勃起機能』 と初恋の年齢や母親との関係性などの 『生活歴』 との関連が報告されています。
この勃起機能の判定にはIIEF5:国際勃起機能スコアが使用されており、 これは5つの質問に対する点数の合計をもって勃起機能を判定するスコアリングで、 点数が高いほど勃起機能は良く、点数が低いほど重度のEDになります。
こちらのページでは生活歴を、 『初恋の年齢』 と 『母親との関係性』 に分けて、
その勃起機能との関連性に関して、
日本性機能学会専門医が解説をさせて頂いております。
宜しければご一読くださいませ。
<当ページのもくじ>
前述のチェコスロバキア共和国における検討では、 初恋が早い人ほど、勃起機能が高かったと報告されております。
つまり生活歴上では、初恋の年齢が低い人ほど、
後々のED発症が少ないという事になりますが、
これは、いったいどうしてなのでしょうか?
この理由としては、 初恋は基本的には思春期つまり性的な心身の成熟に伴い発生するものなので、 これが早いという事は、その個人においてはホルモンなど性的な内分泌環境の高い安定性を示している可能性があり、 これが男性においては、先々の勃起の機能的安定性に結びついている可能性が考えられます。
また初恋の年齢が早いという、心理的な成熟の速さは、 その個人の置かれている人的環境の安定性も示している可能性があり、 コンプレックスの少ない成育環境が、成人してからの性機能に好影響を与えている事も考えられます。
このような機序をもって、生活歴における 『初恋の年齢』 は、勃起の機能と関連している可能性が有り、 結果、初恋が早い人ほどEDが少ない傾向を示しているものと思われます。
『初恋が早い』 という生活歴の人にはEDが少ない傾向があると上述しましたが、 一方 『母親との関係性』 という生活歴は、どのように勃起機能に関わるのでしょう?
前述のチェコスロバキア共和国での検討では、これについて軽症~中等症のEDに相当する勃起機能の人には、 母親との関係性が悪い傾向があったと報告しております。 これは詳細には、国際勃起機能スコアが12~16点のグループにおいて、 母親との関係性が肯定的でない人が有意に多かったという事になります。
こうした影響を示すようになる、その理由としては、 母親は男性にとって最も近しい女性である事を考えると、 その近しい女性との葛藤は、 女性のロールモデルとの関係性の失敗として、 性機能に悪影響のある心因を作り出し、 それが後々のED発症や勃起機能の低下につながってしまったという可能性が考えられます。
また、母親と子供の間における長期慢性の愛情関係の問題は、 子供の側に成長ホルモンなどを含めた内分泌環境への悪影響を与える事があり、 低身長などの身体的症状を引き起こす事もあると言われています。 こうした心理面の内分泌環境への悪影響も、 母親との関係性が不良な状況における、後々の勃起機能の低下、 ED発症の原因として考えられます。
こうした機序をもって、生活歴における 『母親との関係性が悪い事』 は、後々の勃起機能と関係してくる可能性が有り、 結果として軽症から中等症のED患者が多い傾向を呈しているものと思われます。
以上 『初恋の年齢』 や 『母親との関係性』 などの生活歴が、 EDならびに勃起機能に関連するという報告、 ならびに考えられるそれらの機序に関して日本性機能学会専門医が解説をさせて頂きました。
この他にも 『奥さんとの関係性』 や 『離婚歴』 などもEDや勃起機能に関連する生活歴になる可能性があると考えられます。
(記載:新宿ライフクリニック-日本性機能学会専門医:須田隆興、最終確認日:2021-04-19)
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