EDは神経のお病気の初期症状である事がまれに有ります。
勃起不全症は日本人男性の4人から5人に一人がもっている、 とても一般的なお病気です。 そのほとんどはストレスや生活習慣病などを原因として発症しますが、 まれに神経の疾患を原因として発症する場合が有ります。
それはどんな神経のお病気かと言うと 『多系統萎縮症』 と言います。 この疾患は神経の障害から、歩行障害やたちくらみ等を引き起こしますが、 その初発症状が勃起不全症である場合が有ります。
多系統萎縮症は神経変性疾患の一つで、神経細胞が変性し、消失してしまう、 今もって原因不明の疾患です。日本人の10万人に一人が罹患しているとされています。
こちらのページでは、初発症状としてEDを引き起こす事のある神経のお病気、多系統萎縮症に関して、 それを疑うべきED患者さんとは? 疑わしい場合どこで相談すべきか? なぜこの神経のお病気がEDを引き起こすのか? こうした場合の勃起不全治療はどうするのか?、 このそれぞれについて日本性機能学会専門医が、優しく解説しております。
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勃起不全症が神経の疾患である多系統萎縮症の 『初発症状』 として疑わしい状況とは、 一般的なEDの発症要因が希薄で、 その上で、多系統萎縮症 固有の症状が随伴もしくは後発している場合です。
一般的なEDの発症要因とは、 『糖尿病・高血圧などの生活習慣病』 『ストレスや抑うつなどの心理状態』 『肥満』 『喫煙習慣』 『前立腺肥大症』 『下腹部の手術歴』 などです。
一方、多系統萎縮症の固有の症状としては、『立ちくらみ』 『尿失禁や排尿困難などの排尿障害』 『呼吸停止を伴ういびき』 『歩行の障害』 などです。これらの症状は自律神経症候、パーキンソニズム、小脳失調からそれぞれ引き起こされます。
こうした一般的なEDの発症要因が希薄で、多系統萎縮症の固有の症状が後発して来る、もしくは伴う場合、 中年期男性における勃起不全症は、神経の疾患である多系統萎縮症の初期症状である可能性が有ります。
もし、ご本人のEDが、多系統萎縮症の初発症状である事が疑わしい場合、 まずは神経内科にご相談に行きましょう。
神経内科は、少し耳慣れないかもしれませんが、 神経の問題を専門とする医科の事です。
神経内科における問診や診察で、神経の病気である多系統萎縮症の可能性が高いと判断された場合、 心電計や起立負荷などを利用した自律神経機能検査、 膀胱の収縮や残量をチェックする排尿機能検査、 また脳のMRI検査などをそれぞれ進めていき、 多系統萎縮症の確定診断をつけていきます。
多系統萎縮症の、典型的な脳のMRI所見では、 小脳・橋・基底核のそれぞれに萎縮所見が見られます。
なぜ神経のお病気がEDを初発症状として引き起こすのでしょう?
これは多系統萎縮症による 『自律神経障害』 が原因です。
自律神経とは、文字通り 『自律』 して作動する神経の事で、 これは指先のように自分の意思で自由に操作する事ができない種類の神経です。
この神経は血管の収縮や消化管の運動など体の多岐にわたって活躍していますが、 実は勃起をコントロールしているのも、この自律神経なのです。
多系統萎縮症の初期症状は、この自律神経の障害によって引き起こされるので、 EDが本疾患の最初の症状として発生する事が有ります。
多系統萎縮症に合併した勃起不全症の治療に関しては、日本性機能学会専門医にご相談ください。
本疾患の治療は基本的に対症療法になるので、 多系統萎縮症の初期症状としてEDが出ている場合は、 EDに関してはEDのプロフェッショナルに相談された方が宜しいかと思われます。
たとえ神経の病気に合併したEDであっても、 勃起不全症治療はバイアグラなどの勃起改善薬が基本となってきます。
ただし、勃起改善薬自体が 『立ちくらみ』 を引き起こす可能性があるので、 多系統萎縮症によって引き起こされる 『立ちくらみ』 の程度に応じて、 使用する薬剤の種類、また服用量を調整する必要が有ります。
また、勃起改善薬は副作用として 『鼻づまり』 を起こす事があり、 多系統萎縮症によって、睡眠時無呼吸症候群が引き起こされている場合、 鼻づまりが症状を悪化させてしまう可能性があるので、 やはり病状の程度に合わせて、勃起改善薬の種類や量を調整する必要が有ります。
多系統萎縮症に伴う勃起不全症にてお悩みの方は、 是非とも、お近くの保険外診療対応のEDクリニックにて、 日本性機能学会専門医にご相談くださいませ。
(記載:新宿ライフクリニック-日本性機能学会専門医:須田隆興、最終確認日:2020-05-05)
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