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『シアリス:タダラフィルとオーガズムとの関係についての文献を新宿ライフクリニックの日本性機能学会専門医からご紹介』

【専門医解説:シアリス(タダラフィル)とオーガズムとの関係】


シアリス(タダラフィル)とオーガズムとの関係

シアリス:タダラフィルはオーガズム障害ならびにオーガズムの改善、 このどちらに関しても報告があり、 本剤はED薬:勃起改善薬の中ではオーガズムとの関連性が高い製剤と言えるかと存じます。


オーガズム(orgasm 医学名オルガスムス 別称オルガスム)とは、性的な刺激によって引き起こされる、 強い快感と身体反応が一体となった生理現象を示す言葉で、 男性の場合は一般的にこれに身体反応としての射精が伴います。


こうしたオーガズムに関連した問題がある状態を 『オーガズム障害』 (OD:orgasm disoreder)と言います。 男性のオーガズム障害は大きく2つに分類する事ができ、 一つはオーガズムにまで至れない状態、 そしてもう一つは非常にまれでは有るのですが、オーガズム後疾患症候群(POIS)という、射精を伴うオーガズム後に、インフルエンザ様症状、筋肉痛、関節痛、筋力低下、頭痛、めまい、 抑うつまたは不安を自覚するという、オーガズムに伴って自覚される不快な症状が発生する状態になります。 オーガズム後疾患症候群(POIS)は通常、射精直後に現れ、最大7日間継続する事があると報告されております。


オーガズム後疾患症候群(POIS)の補足説明ですが、この疾患は典型的には、思春期または若年成人期における性交または自慰行為による射精後に、 明らかな誘因なく発症するものとされておりますが、その発生率自体、非常に低く、報告数も非常に少ないため、様々な研究が行われてはいるものの、 その原因因子や誘因についてはいまだ特定されきってはおりません。  その病因についてはいくつかの仮説が提唱されておりますが、 現在はWaldinger らによって提唱された説が広く受け入れられており、 被験者の 88% が自分の精液に対して皮膚プリックテスト陽性反応を示したのに対しプラセボ(偽薬)に対する皮膚反応を示した人がいなかった事から、 本疾患は免疫学的現象である可能性が高いとこの仮説では提唱しております。 これは、すなわち自分の精液の精漿成分に対する自己免疫反応またはアレルギー反応が関与しているというものになります。

※『皮膚プリックテスト』とは主にⅠ型アレルギー反応(即時型アレルギー)のアレルゲン(アレルギーの原因物質)を調べる検査で、 被検者の正常皮膚にアレルゲン液を滴下し,そこに針を軽く刺し(プリック)アレルゲン液を拭きとったあと15分後の膨疹反応を観察してアレルギーの有無を判断する検査です。


シアリス:タダラフィルはこうしたオーガズム障害の発生、そして逆にオーガズム障害の改善、 このどちらに関しても報告があり、 勃起改善薬の中ではオーガズムとの関連性が高い製剤と言えるかと存じます。 Googleなどで 『シアリス タダラフィル オーガズム』 といった組合わせの検索が存在するのは、 こうした報告の累積による影響かと思わる所です。


こちらのページではこうした状況を鑑みて、シアリス:タダラフィルとオーガズムに関連した近年報告されている3つの文献に関して、 新宿ライフクリニックの日本性機能学会専門医からわかりやすく解説をさせて頂いております。
宜しければご一読くださいませ。


1.【文献1:シアリス:タダラフィル試験に参加した男性の過半数になんらかのオーガズム障害が見うけられた】

タダラフィル試験に参加した男性の過半数にオーガズム障害があった

元々、ED:勃起不全をお持ちの方は、オーガズム障害も伴っている場合が多いとされております。


こちらの文献ではシアリス:タダラフィル試験に参加したED:勃起不全の患者さんにおけるオーガズム障害の頻度とその危険因子を明らかにする研究に関して記載がされております。 オーガズム障害の評価に関しては、国際勃起機能指数『IIEF』の10番目の質問 「射精の有無にかかわらず、どのくらいの頻度でオーガズムを感じましたか?」 が使用されております。 つまりこの研究におけるオーガズム障害とはオーガズム後疾患症候群(POIS)などを内包しない 『オーガズムに至れない状況』 のみで規定されております。


本研究では、28件のED:勃起不全に関連した試験のデータベースを統合し、包括的にこれを分析しています。 12,130 人の研究参加者のうち、ED の重症度に関係なく、オーガズム障害が無いと報告したのは 4,321 人 (35.6%) だけでした。 つまり残り64.4%、およそ過半数の方が何らかのオーガズムの問題を自覚している事になります。


そして、このオーガズム障害の頻度は、ED:勃起不全症の重症度が増すにつれて増加を示す傾向があったとの事で、 またオーガズム障害のある男性は、それがない男性に比べて年齢が若い傾向があったとの事でした。


オーガズム障害の相対リスクを上昇させる要因の検索上では、心筋症の存在(相対リスク 1.59)、心不全の存在(相対リスク 1.22)、抗精神病薬の使用履歴(相対リスク 1.30)、 選択的セロトニン再取り込み阻害薬の使用履歴(相対リスク 1.27)、および三環系抗うつ薬の使用履歴(相対リスク 1.28)がそれぞれ有意だったとの事です。


まとめますと、シアリス:タダラフィル試験に参加したED:勃起不全症の男性の過半数においてベースライン時点からオーガズム障害が確認され、 またED:勃起不全症の重症度に応じてオーガズム障害の頻度は増加を示す傾向が見られたとの事でした。


こちらの文献では、前提としてED:勃起不全とオーガズム傷害は、重複する傾向の高い病態同士である事が指摘しており、 どちらかの症状がある場合は、もう片方についても検討するか、精査をするべきっであると推奨しております。


2.【文献2:シアリス:タダラフィルの中止でオーガズム障害が消失した症例】

シアリス:タダラフィルの中止でオーガズム障害が消失した症例

こちらでご紹介する文献2においては、オーガズム障害の内、文献1に記載させて頂いた 『オーガズムにまで至れない状態』 についてでは無く、 シアリス:タダラフィルを利用した性行為における 『オーガズム後に発生する自覚症状』、 すなわちオーガズム後疾患症候群(POIS)を思わせる症状を呈した患者さんに関しての報告が記載されております。


こちらの症例は、26歳、既婚のバングラデシュ人男性で、過去2週間、シアリス:タダラフィルを服用した性交を行い、 オーガズムを伴う射精後の15分以内に、強い倦怠感、めまい、頭痛、動悸、認知機能の低下、不安感、 死が迫っているのではないかという恐怖、これらの症状を感じ、医療機関の受診に至ったという内容になります。 この症状はオーガズムを伴う射精後、約1~2時間の間持続し、その後、特に具体的な治療をする事なく自然に症状が軽快していったとの事でした。


最初に上記の症状が出現した翌日の晩も、シアリス:タダラフィルの使用で同様な症状が出現し、その際には短時間の失神発作も伴ったとの事でした。 その後、シアリス:タダラフィルの服用を4日間中止した所、この期間中にはオーガズムを伴う射精後も特に症状は見られず、 そして、最初に症状が出た日から5日経過後、シアリス:タダラフィルを今までの半分の量で内服し、オーガズムを伴う射精に至った所、 症状は再発したものの前2回よりは病状が軽く、また症状は10分以内には完全に消失したとの事でした。 その後、患者はシアリス:タダラフィルの常用量を毎日服薬はするものの、症状の再発を恐れて性交中は射精を避けていましたが、 意図しない射精の後、やはり約1時間にわたって同様な症状が出現したとの事でした。


この症例の患者は、その既往歴において精神疾患、アレルギー疾患、また慢性疾患などは一切見られず。 受診時の採血検査 (血球、赤沈、随時血糖、血清クレアチニン、テストステロン値なども含む)、また尿検査などを内包した全ての臨床検査において一切の異常値が確認されず。 問診・理学所見上も感染症やその他の全身疾患の兆候は一切認められなかったとの事でした。


症状のパターンにおいては、患者は突然の症状出現、切迫した死の恐怖、再発への恐怖、そして発作の自動的な消失を呈していたため、パニック障害もその鑑別疾患として考えられたとの事でしたが、 これらの症状は明確にシアリス:タダラフィルの服用後の射精後のみに出現しており、 服用中止後は症状が完全に消失している事が確認されているため、 パニック障害など精神的疾患は除外されると判断がされています。


その後、医師の指導によってシアリス:タダラフィルの服薬は中止となり、 患者はタダラフィルなしで性交を再開。 その後、2週間の追跡調査後もこうした症状の再発はまったく見られなかったとの事でした。


本症例の症状は、オーガズム後疾患症候群(POIS)の典型的な症状、頭痛、めまい、不安感などと共通点が多く、 また射精後に一過性に自覚されている症状なので、 強くオーガズム後疾患症候群(POIS)を疑わせるものになります。 ただ、オーガズム後疾患症候群(POIS)はシアリス:タダラフィルとの関連性をこれまで指摘されていません。 しかし、本症例患者はそれまでの5年間の定期的な性行為において、こうした症状の既往は全くなく、シアリス:タダラフィルの服用開始後から、突然このPOIS類似様症状が出現するようになり、 またこれらの症状が服用の中止により完全に消失するという事は、オーガズム後疾患症候群(POIS)とシアリス:タダラフィルとの新たな病因学的関連性を示唆する可能性があると、 本文献では帰結しております。


POIS の病態生理は、仮説として、現在はWaldinger らによって提唱されている 『精漿成分に対する自己免疫反応の関与』 が有力視されております。 シアリス:タダラフィル自体が精液に対する免疫反応を直接引き起こす事は知られおりませんが、 その薬理作用が射精と免疫反応の両方を調整する神経血管経路また自律神経経路に間接的に影響を及ぼしている可能性はあります。 シアリス:タダラフィルのようなホスホジエステラーゼ5(PDE5)阻害剤は、一酸化窒素(NO)-cGMP経路を介して平滑筋の弛緩と血管拡張を引き起こし、 神経血管および自律神経の制御下にある射精の動態を変化させ、局所または全身の血流を変化させることで免疫微小環境に影響を与える可能性が本文献では検討されております。


3.【文献3:シアリス:タダラフィルの投薬はオーガズム障害を改善させる】

シアリス:タダラフィルの投薬はオーガズム障害を改善させる

上記、文献2.ではシアリス:タダラフィルによって引き起こされたと思われる、 オーガズム障害としての 『オーガズム後疾患症候群(POIS)類似の症状』 の症例報告に関してご紹介をさせて頂きましたが、 こちらでご紹介する文献3.では逆に、シアリス:タダラフィルによるオーガズム障害への 『改善効果』 に関して記載がされております。


シアリス:タダラフィルなどのホスホジエステラーゼ5阻害薬は、元々、ED:勃起不全だけでなく、 オーガズム障害の改善にも効果を示す可能性が指摘されており、 こちらの研究では、そうした内容について検証を行っております。


本研究では、17件のプラセボ対照研究のデータが統合され、合計3581人のランダム化された被験者に対して、 ED患者さんを対象に、必要に応じてシアリス:タダラフィルが投薬されております。 またオーガズム障害の評価に関しては、文献1.同様に国際勃起機能指数『IIEF』の10番目の質問「射精の有無にかかわらず、どのくらいの頻度でオーガズムを感じましたか?」が運用されております。


このデータに共分散分析を行い、オーガズム機能の平均を比較して、 カイ二乗検定にて、この国際勃起機能指数IIEFの10番目の質問に対するエンドポイント応答の差を評価した所、 その結果として、シアリス:タダラフィル10mgまた20mgによる治療はプラセボ(偽薬)と比較して、 約2倍におよぶオーガズム機能の有意な改善を示したとの事でした。


また改善の頻度としては、重度のオーガズム障害を伴うタダラフィル投与被験者の内、約66%で (プラセボ投与群では35%、P < 0.001) 、 つまりその過半数以上において、オーガズム障害の改善が報告されております。 この分析における限界としては、まずその遡及的な性質、そしてオーガズム障害の治療反応を測定する上で自己申告が主体となる質問票を使用している点、以上が挙げられ、 シアリス:タダラフィルによるオーガズム障害のへの改善効果に関しては、今後の前向き試験による、さらなる裏付けが必要であると本文献では帰結されております。


4.【総合まとめ:シアリス:タダラフィルとオーガズムの関係】

  • ―文献1:シアリス:タダラフィル試験に参加した12,130 人を動員した観察研究によると、 オーガズム後疾患症候群(POIS)などを内包しない 『オーガズムに至れない状況』 のみをオーガズム障害と規程した場合、 ED患者さんの過半数にベースライン時点からのオーガズム障害が確認されるとの事でした。 またED:勃起不全症の重症度に応じてオーガズム障害の頻度は増加を示す傾向があるとの事でした。

  • ―文献2:生来健康な26歳の既婚バングラデシュ人男性が、 『オーガズムにまで至れない状態』 についてでは無く、 オーガズムに伴う自覚症状の出現として規程されるオーガズム障害をシアリス:タダラフィルの服用後に自覚するようになったと報告がされております。 具体的にはシアリス:タダラフィルの利用下のオーガズムを伴う射精後に、頭痛、めまい、不安感などオーガズム後疾患症候群(POIS)類似の症状が自覚され、 シアリス:タダラフィルの利用中止後に、この症状が完全に消失したという内容になります。

  • ―文献3:3581人のランダム化された被験者を動員した観察研究によると、 オーガズム後疾患症候群(POIS)を内包しない 『オーガズムに至れない状況』のみでオーガズム障害を規定した場合、 シアリス:タダラフィル10mgまた20mgによる治療はプラセボ(偽薬)と比較して、約2倍におよぶオーガズム障害の有意な改善を示したとの事でした。 改善の頻度としては、重度のオーガズム障害を伴うタダラフィル投与被験者の内、約66%でオーガズム機能の有意な改善が見られたとの事です。

  • ―総合まとめ:オーガズムの問題である『オーガズム障害』 は主に2つに分類する事ができ、 一つはオーガズムにまで至れない状態、そしてもう一つはオーガズム後疾患症候群(POIS)など、射精を伴うオーガズム後に自覚症状が発生するものになります。 ED:勃起不全の患者さんはベースラインでその過半数が 『オーガズムにまで至れない状態』 である可能性があり、これはEDが重症になるほどその頻度が増加する傾向があります。 またシアリス:タダラフィルは 『オーガズム後疾患症候群(POIS)類似症状』 を引き起こすという症例報告もあります。 またシアリス:タダラフィルはEDに伴う 『オーガズムにまで至れない状態』 の有意な改善を示すという可能性があり、 EDに重度の『オーガズムにまで至れない状態』 が伴う状況において、その約66%で有意なオーガズム機能の改善が示されたと報告がされております。

5.【Q&A:シアリスとオーガズムに関してのよくある質問】


―Q1.「シアリスを飲むとオーガズムの障害が改善されますか?」
A.改善する可能性が報告されております。 シアリス:タダラフィルは研究にて、 EDに伴うオーガズムに至れないタイプのオーガズム障害の約66%にて有意な改善を示したと報告がされております。


―Q2.「勃起できても「イケない」「快感が薄い」 人にもタダラフィルは効きますか?」
快感に関しては末梢の感覚神経の問題もあり一概には言えませんが、 オーガズムに至れないタイプのオーガズム障害に対しては、シアリス:タダラフィルによって改善が示されたという報告があります。


―Q3.「副作用でオーガズムがおかしくなる事はありますか?」
A.極めて稀な状況ですが、 外国からの報告で、シアリス:タダラフィルを使用した性行為におけるオーガズムを伴う射精後に、 頭痛、めまい、不安感などのオーガズム後疾患症候群(POIS)類似の症状の出現があった事が報告されております。


―Q4.「シアリスのバイアグラやレビトラとの違いは?」
A.シアリス:タダラフィルは長時間薬効が特徴のED薬なので、旅行などに運用しやすい製剤と言えます。 また本剤はバイアグラ系・レビトラ系と比較してオーガズムに関連した報告が比較的多く、 EDに伴う、オーガズムに至れないタイプのオーガズム障害の有意な改善、 またオーガズム後疾患症候群(POIS)類似の症状の出現など、 オーガズムに関連したポジティブな報告、ネガティブな報告、どちらも存在している状況です。


【引用文献】


1.Factors associated with ejaculatory and orgasmic dysfunction in men with erectile dysfunction: analysis of clinical trials involving the phosphodiesterase type 5 inhibitor tadalafil.
Journals:BJU international. 2012 Apr;109(7);1060-7. doi: 10.1111/j.1464-410X.2011.10504.x.
Author:Darius A Paduch, Alexander Bolyakov, Anthony Beardsworth, Steven D Watts
※原著はこちら


2.Postorgasmic Side Effects of Tadalafil: A Case Report.
Journal:Clinical case reports. 2025 Oct;13(10);e71033. pii: e71033.
Author:S M Yasir Arafat, Sadeed Hossain, Md Rokon Uddin
※原著はこちら


3.Effects of 12 weeks of tadalafil treatment on ejaculatory and orgasmic dysfunction and sexual satisfaction in patients with mild to severe erectile dysfunction: integrated analysis of 17 placebo-controlled studies.
Journal:BJU international. 2013 Feb;111(2);334-43. doi: 10.1111/j.1464-410X.2012.11656.x.
Author:Darius A Paduch, Alexander Bolyakov, Paula K Polzer, Steven D Watts
※原著はこちら


(記載:新宿ライフクリニック-日本性機能学会専門医:須田隆興、最終確認日:2026-01-05)

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