バイアグラは飲んでもムラムラしないです。こうした 『バイアグラが性欲を上げない』 という理由は大きく2つ有ります。
時に個人の方のブログなどを拝見しますと、 バイアグラを使用した後 「もうその晩はムラムラが抑えきれず大変だった」 「なんどセックスしても性欲が上がりっぱなしだった」 と言った、 バイアグラがまるで脱法ドラッグかのごとく、その効果が記載されているのをお見かけする事が有ります。 しかし、こうした内容はハッキリ申し上げて 『都市伝説』 です。 バイアグラはただの局所血管拡張薬になりますので、飲んでもムラムラはしませんし、性欲を上げる事ももちろん有りません。
これはバイアグラに対して 『局所の血管拡張薬としてEDを改善させる薬剤である』 という、本来の機能への正しい認識ではなく、 『性欲を亢進して、その結果EDを改善させる薬剤である』 など、バイアグラに対する薬理動態上の誤解が根本に有るため、 こうした流言がネット上に横行してしまうものと推察致します。
ひどいケースではパートナー女性の性欲を上げる目的で、男性側が女性側にこっそりバイアグラを飲ませようとするケースもあるようです。 こうした誤解に基づいた、危険な行為を予防するためにも、 こちらのページでは、バイアグラではムラムラしない、つまりバイアグラが性欲を上げないという、 その代表的な二つの理由を新宿ライフクリニックの日本性機能学会専門医が解説をさせて頂いております。 宜しければご一読下さいませ。
<当ページのもくじ>
バイアグラでは人はムラムラしない、つまりバイアグラが性欲を上げないという、その2つの理由の内、 こちらでは 『バイアグラは男性ホルモンの分泌を高めない事』 に関して解説をさせて頂きます。
人間の男性の場合、男性ホルモンの分泌亢進を重要な土台として、視覚や触覚の性的刺激が入る事で、脳の視床下部・大脳辺縁系などで 『性欲』 という情動が生まれ、 段々と高まっていくというシステムになってます。 つまりこの性欲の重要な土台である、男性ホルモンの分泌を直接的に亢進させられる薬剤があったとしたら、 この薬は性欲を高める方向にも作用する可能性が有ります。
しかしバイアグラは、血管の拡張に関わるお薬ではあっても、 男性ホルモンの分泌を直接的に高める効果に関しては、全く有りませんので、 やはりバイアグラを服薬したとしても、ムラムラはしませんし、性欲を上げる事も有りません。
仮にある種の薬剤が男性ホルモンの分泌を亢進させる事で、性欲を上げようとする意図のものであるならば、 薬理動態としては、脳の視床下部-下垂体から性腺に至るどこかの内分泌腺を刺激をする必要性がありますが、 バイアグラは薬剤として、こうした内分泌腺を刺激するような薬理的な力をそもそも持っていません。
このようにバイアグラには 『男性ホルモンの分泌亢進作用が無い』 という理由から、 バイアグラが人をムラムラさせる、性欲を上げる、という作用を持たない事がおわかり頂けるのではないかと存じます。
バイアグラが人をムラムラさせない、性欲を上げない、その2つの理由、 こちらでは、バイアグラが視床下部/大脳辺縁系における 『性欲の中枢』 に影響しない事に関して解説をさせて頂きます。
いまだ諸説有りますが、人間の性欲という情動の中枢は、視床下部および大脳辺縁系にあり、 この性欲の中枢に直接作用できる薬剤があるとしたら、これは性欲を高める方向にも働く可能性が有ります。
しかしバイアグラは血管の拡張作用をもつお薬では有っても、 視床下部および大脳辺縁系などの脳/中枢神経に直接作用するような薬理的な力は全く無いので、 バイアグラはこうした性欲の中枢を直接刺激する事で、人をムラムラさせたり、性欲を上げたりする事は、全くできません。
性欲を高める作用は有りませんが、こうした視床下部に作用する現用薬剤の代表としては、抗不安薬などが有ります。 これらは視床下部に作用する事で不安などの情動をやわらげる作用があり、 実際に不安神経症やうつ病などに対して臨床利用されています。
このようにバイアグラには 『性欲の中枢』 に直接影響する事が全く無い事からも、 人をムラムラさせたり、性欲を上げたりという作用は呈さない事がお分かり頂けたのではないかと存じます。
以上 『バイアグラではムラムラしない』 という話を主題に、バイアグラが性欲を上げない理由を2つに分けて、 新宿ライフクリニックの日本性機能学会専門医が解説をさせて頂きました。 男性の体の中で、性欲を発現させ、更に高めるシステムの何れにも、本剤バイアグラが全く関わらない事がお分かり頂けたのではないかと存じます。
バイアグラは自然な性欲があるという前提で、ペ二スなど局所において血管拡張を図る、EDの一時的な改善薬にすぎません。
なにとぞ、性欲を上げるような目的で、バイアグラをご利用にはなられませんよう、重ねてお願い申し上げます。
(記載:新宿ライフクリニック-日本性機能学会専門医:須田隆興、最終確認日:2023-02-21)
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