『バイアグラの耐性・依存性。バイアグラは効きが段々悪くなる事も、無しではいられなくなる事も、そのどちらもがない事を日本性機能学会専門医が解説』

バイアグラの耐性・依存性
  • バイアグラは耐性を理由として、連用で効きが段々と悪くなる事は有りません
  • バイアグラは依存性を理由として、それ無しではいられなくなる事も有りません
  • この耐性・依存性の話は本剤が性欲亢進させて機能する薬剤であるという誤解に由来しています
  • バイアグラは局所の血管拡張薬に過ぎないので、性欲亢進・耐性・依存性いずれも有りません

  

結論から申し上げるとバイアグラには明かな耐性も依存性も、どちらも発生しないと言われています。 睡眠薬や麻薬のようなものとイメージが被るのか、 外来においても、何故か 「バイアグラを使い続けると段々と効きが悪くなるのでしょうか?」 つまり薬物耐性に関する質問、 また 「バイアグラを使い続けるとそれ無しではいられなくなるのでしょうか?」 つまり依存性に関する質問。 この二つの質問を日本性機能学会専門医としてお伺いする事がよく有ります。


何故に、この二つの質問が、出やすいのかに関しては、 おそらく、バイアグラが 『性欲を亢進して勃起させる』 という薬物動態上の誤解がその根底にあり、 『性欲のような情動に作用する』 = 『麻薬的な薬剤』 という考え方に起因しているのではないかと推測されます。


しかし実際の所、バイアグラには性欲を亢進させる作用は全く有りません。 バイアグラは 『性欲の亢進を前提として』 ペニスの血管を開くお薬、つまり純然たる局所の血管拡張薬になります。


こちらのページではバイアグラに、耐性・依存性が無い事を中心に、 バイアグラを飲み続けるとバイアグラの効きが段々と悪くなる事、 またバイアグラを飲み続けるとバイアグラ無しではいられなくなる事、 このどちらもが全くない事を、 新宿ライフクリニックの日本性機能学会専門医が解説させて頂いております。
よろしければ御一読くださいませ。


<当ページのもくじ>

  1. 【バイアグラの薬物耐性】
  2. 【バイアグラの依存性】

1.【バイアグラの薬物耐性】

バイアグラの薬物耐性

飲んでいると薬の効きが段々と悪くなる事、つまり薬物の反復投与により薬理効果が次第に減弱化する事、 これをいわゆる 『薬物耐性』 と言います。 こうした耐性を生じやすい薬物としては、バルビツレート系の睡眠薬、またモルヒネのような麻薬性鎮痛薬が代表的です。


結論から申し上げると、バイアグラにはこうした明かな薬物耐性は無いと言われています。 つまりバイアグラを継続的に使用しても耐性を事由として、効きが段々悪くなるという事は無いと言う事です。 しかし、バイアグラには何故か 『耐性がつく』 『使用していると効きが段々悪くなる』 というユーザー側の誤解が根強くあります。


こうした誤解が生まれた背景には主に2つの原因が推察されます。 一つはバイアグラが性欲を引き起こす薬剤であるという間違った認識によるものです。


『性欲という情動に作用する』 → 『すなわち麻薬的なもの』 → 『すなわち耐性がつきやすい』 という連想から発生した、 バイアグラの作用への間違った認識が、バイアグラの連用は耐性がつく、使用していると効きが段々悪くなる、という誤解を扶育したものと思われます。


もう一つの原因は、バイアグラの使用方法が安定していない方において、 効果が出たり出なかったりするという作用の不安定性がある事です。


ある時は効くのに別の機会では効かないといった不安定性もまた、バイアグラに耐性がつく、 あるいは効きが段々悪くなる、という誤解を扶育しているものと思われます。


元々、バイアグラを初めとするPDE5阻害薬という勃起改善薬のグループは、実は空腹ならびに素面でないと薬効が落ちてしまう傾向があり、 こうした使用方法を守らないで使用している方においては、 バイアグラは効いたり効かなかったりと作用が不安定になりがちです。


つまり逆に言えば、使用方法が安定している方においては、 バイアグラの連用によって、睡眠薬や麻薬における耐性のごとく、効きが段々悪くなる事を自覚する事はまず無いかと存じます。


バイアグラは専門医による指導に従い適正に使用しましょう。 これらの勃起改善薬は使用方法が間違っていると薬効を全く示さない事も有ります。


ちなみに使用方法をキチンと守っていたとしても、10年、20年という長期的なスパンにおいては、 バイアグラの薬効の減弱化を感じる事も有るかと存じます。 しかし、これは耐性によるものではなく、10年、20年という経過にともなう、ご自身の肉体の老化による性機能の低下から、 バイアグラの薬効を相対的に弱く感じるようになった事が原因と思われます。


2.【バイアグラの依存性】

バイアグラの依存性

依存性、特に薬物が体から抜ける時に離脱症状が出現するため、その薬剤無しではいられなくなってしまうような傾向を 『身体依存』 と言います。 身体依存を形成する薬物としては主に、上記したモルヒネのような麻薬性鎮痛薬など中枢神経機能を抑制するものが多いとされています。


バイアグラの開発・販売元のファイザー株式会社によって、バイアグラにはこうした明かな依存性は無いと公式報告されているにも関わらず、 今だに 『バイアグラには依存性があり、始めると無しではいられなくなる』 といった誤解を日本性機能学会専門医としてお伺いする事があります。


これも上記の 『薬物耐性』 同様に、バイアグラは性欲を引き起こす薬剤であるという間違った認識から連想された、 麻薬的イメージによるものだと思われます。


薬物依存性とは一般的に 『薬物の効果を体験するため、もしくは、その薬効が切れたときの不快感からのがれるため、その薬物を強迫的に求め, あるいは使いたいという欲求を持続的に有する行動や反応』 と定義されています。


もちろん、セックス時におけるバイアグラの利便性から、精神的にバイアグラに依存してしまう事はあるかと存じますが、 しかしそれは、麻薬など身体依存を示す薬剤とは、明確に立ち位置が違います。


繰り返しますが、バイアグラはペニス局所に作用する血管拡張薬であり、血管拡張薬であるという意味合いにおいては、 血圧を下げる降圧薬の方が、麻薬性鎮痛薬よりバイアグラには断然近い立ち位置の薬剤です。


例えば高血圧に対して処方された降圧薬に、依存性があって、 一旦始めると、それ無しではいられなくなると考える方は、ほとんどいらしゃらないと思われます。 バイアグラの場合においては、セックスの際に使用する薬剤が故に、 こうした麻薬的誤解が抱かれやすい側面もあるかと思われます。 しかしバイアグラには、こうした降圧薬などど同様、麻薬的な要素は全くなく、 依存性を示す事も、またそれ無しではいられなくなる事も全く有りません。 皆様、何卒、安心してご利用下さいませ。



以上、バイアグラの耐性・依存性をメインテーマに、バイアグラが耐性を理由として、連用で効きが段々と悪くなる事、 ならびに、バイアグラが依存性を理由に、それ無しではいられなくなる事、 このどちらもが全く無い事を新宿ライフクリニックの日本性機能学会専門医が解説させて頂きました。


バイアグラは用法用量をキチンと守って使用しないと、その効果はキチンと出ません。 また適応ならびに用法用量をキチンと守って使用する分には、バイアグラは安全な薬剤と言えます。
処方をご希望される方は、なにとぞ、ご近在の日本性機能学会専門医にご相談下さいませ。

(記載:新宿ライフクリニック-日本性機能学会専門医:須田隆興、最終確認日:2022-03-06)

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