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『レビトラ:バルデナフィルは鼻から吸入できるようになるのか?新宿ライフクリニックの日本性機能学会専門医から最新の文献をご紹介』

【専門医解説:レビトラ:バルデナフィルは鼻から吸入できるようになるのか?】


レビトラ:バルデナフィルは鼻から吸入できるようになるのか?

レビトラ:バルデナフィルは日本で承認されているED治療薬:PDE5阻害薬の中では、即効性に定評がある薬剤で、 おおよそ30分で薬効が安定化するスピードは、他のバイアグラ:シルデナフィル、シアリス:タダラフィルより群を抜いて早いと言えます。


しかし、性欲という衝動性の高い情動を考えると、それでも遅いと感じるユーザーが中にはいて、 投薬のスケジューリングから、より早い薬効を求める声も少数派ながら存在致します。


またED治療薬:PDE5阻害薬の共通の問題点として食事中の脂肪分に応じて、その吸収が低下してしまう傾向があるので、 基本的にこれらは空腹時での服薬が推奨されている事があり、内服によって運用するPDE5阻害薬の薬理特性上しょうがない要素でありながらも、 そこに不満を感じているユーザーも存在いたします。


より早く安定化する薬効、食事の影響を気にせず運用できる利便性、 この二つを同時に解決できるとしたらどうでしょうか? こうした要望に応じて研究が進められている薬理概念がレビトラ:バルデナフィルに関して一つございます。


それはスプレーポンプによるレビトラ:バルデナフィルの鼻腔内からの吸入による投薬です。 スプレーポンプによる鼻腔内からの吸入であれば、消化管を介して吸収される内服薬より、薬効が早く表れる可能性があるので、 ただでさえ薬効の安定化が早い、レビトラ:バルデナフィルの効能の出現がより早くなってくる可能性があり、 また経鼻吸入であれば、消化管を介さずに体内に薬剤が吸収されるので、食事の影響を気にせずに使用ができる可能性も出てきます。 なおかつ水なしで運用できる点も利便性が高いポイントと言えるでしょう。


こうしたユーザーの夢を乗せて、世界中の研究者たちがレビトラの経鼻吸入製剤の実験を重ねており、 その結果が段々と報告され始めております。 近年「レビトラ バルデナフィル 鼻から吸入」といった検索キーワードが増加している背景には、 こうした報告の蓄積が影響している可能性も有るかと存じます。


こちらのページではレビトラ:バルデナフィルの吸入あるいは経鼻投薬に関して近年報告がされた最新の文献3つを新宿ライフクリニックの日本性機能学会専門医から ご紹介させて頂いております。
宜しければご一読くださいませ。


1.【文献1.レビトラ:バルデナフィルの内服薬と鼻からの吸入製剤の比較検討】

レビトラ:バルデナフィルの内服薬と鼻からの吸入製剤の比較検討

まず最初にご紹介させて頂く文献としては、レビトラ:バルデナフィルの既存の内服薬と、アルコールベースで作成されたレビトラ:バルデナフィルの鼻スプレー製剤、 これらを比較検討した内容についてのものになります。


このパイロット臨床試験は、健康な若年ボランティア12名を対象に、レビトラ:バルデナフィル10mg錠剤の、経口からの内服、 またはワンプッシュで3.38mgの投薬になるレビトラ:バルデナフィルのアルコールベースで新規作成された点鼻スプレー、 これらを比較した 『ランダム化クロスオーバー試験』 との事です。 またレビトラ:バルデナフィルの血液中の濃度は、液体クロマトグラフィー-タンデム質量分析法を用いて測定がされたとの事でした。


この研究の結果として、鼻からの吸入と経口からの内服の比較上、平均の消失速度定数、消失半減期、最高血中濃度などはこれらの間で同等だったとの事でしたが、 鼻からの吸入の方が血中濃度のピークへの到達時間の中央値がはるかに短かった(10分対58分、P < 0.001、Mann-Whitney U検定)、 つまり最高血中濃度に至る時間は鼻からの吸入の方がはるかに速かったとの事でした。 ただ、レビトラ:バルデナフィルの鼻からの吸入では、 被験者の半分に、内服薬では見られない、一過性の局所的な鼻の症状(鼻の刺激感・違和感・くしゃみ)が観察されたとの事でした。


結論として、この実験においてはレビトラ:バルデナフィルは鼻からの吸入ですと、 経口からの内服に比べて三分の一程度の投与量で同程度の最高血中濃度が得られ、 また最高血中濃度に至る時間もはるかに短かくなったと、 鼻からの吸入に対して、非常に好意的な結果で完結しております。 ただし対象の被験者がEDの患者さんではなく、 若く健康な被験者であった事はこの研究における一つの解釈上の限界として本文献内でも触れております。


2.【文献2.レビトラ:バルデナフィルの吸入製剤の肺高血圧症への実用の検討】

レビトラ:バルデナフィルの吸入製剤の肺高血圧症への実用の検討

実は、レビトラ:バルデナフィルと同じPDE5阻害薬である、バイアグラ:シルデナフィルならびにシアリス:タダラフィルは、 この日本において、ED:勃起不全症だけでなく、 その有効成分は 『肺高血圧症』 などの難病のコントロールにも実用されている状況になります。


※肺高血圧症とは、肺血管構造の変化によって、肺に血液を送る血管である 『肺動脈』 内の圧が上昇してしまう事で、 労作時の呼吸困難、失神、または右心不全の徴候を示す疾患であり、日本の300強ある指定難病の一つで、本疾患も重病になります。


こちらでご紹介する文献2.は、文献1.ならびに文献3.の 『ED:勃起不全症への』 レビトラ:バルデナフィルの鼻からの吸入の検証から少し離れ、 このバイアグラ:シルデナフィル、シアリス:タダラフィルと同じ薬剤カテゴリーである、 レビトラ:バルデナフィルの鼻からの吸入剤形が 『肺高血圧症』 に対して有用であるかどうかを検討したものになります。


本文献では、レビトラ:バルデナフィルの内服と違い、吸入での投薬は、 気道を通過し、疾患本体である肺にダイレクトにこの薬理成分を届ける事が出来るので、 消化管を介した吸収に比べて、効果がより高まる可能性が有る事、 また吸入での投薬は内服と違い局所への投薬となるので、全身的な副作用が軽減できる可能性がある事 ( 特に肺高血圧症のコントロールを目的とした場合はED:勃起不全症と違い毎日使用する事になるので副作用面への配慮はより重要と言えます )、 以上の理由から、肺高血圧症に対しては内服より吸入での投薬が望ましい可能性がある事を指摘しております。


ただ、レビトラ:バルデナフィルを吸入にて実用するには、使用される分子の薬物動態パラメータを詳細に分析し、 これを十分に理解する事が、用量最適化と医薬品開発において不可欠であり、そうした薬物動態への十分な理解があって初めて、 病態、被験者間の変動、吸入剤および吸入デバイスが臨床PK特性に及ぼす影響を検討できるようになる事も併せて本文献上は指摘されております。


この様にレビトラ:バルデナフィルの 『鼻からなどの吸入製剤』 は、 ED:勃起不全症だけでなく、難病である肺高血圧症への転用も検討がされている状況になります。


3.【文献3.レビトラ:バルデナフィルの鼻からの吸入製剤と内服薬の間には生物学的同等性があるのか?】

レビトラ:バルデナフィルの鼻からの吸入製剤と内服薬の間には生物学的同等性があるのか?

文献1.の結果として、レビトラ:バルデナフィルの鼻からの吸入は、経口からの内服に比べて三分の一程度の投与量で同等の最高血中濃度が得られ、 また最高血中濃度に至る時間もはるかに短かくなったと、レビトラ:バルデナフィルの鼻からの吸入に対して非常に好意的な結果で完結しております。


一方、この文献3.は、その文献1.よりも後年に報告されている研究であり、 レビトラ:バルデナフィルの鼻からの吸入が経口からの内服と同様な 『生物学的同等性』 を示すのかどうかを主眼に検証しているものになります。


この 『生物学的同等性』 とは、製剤の薬理効果を評価する際のとても重要な要素の1つで、同一薬物を同量含有する製剤間において、血中濃度を比較し, バイオアベイラビリティが同じと判断された場合、これらの製剤は 『生物学的同等性』 を有すると、つまり同等な臨床効果が期待できるという評価がされます。 この 『生物学的同等性』 について検証をしている本文献3.は、上記の文献1.よりもレビトラ:バルデナフィルの鼻からの吸入剤と経口の内服との比較に関して、 より一歩踏み込んだ内容となっていると言えます。


本研究では、健康な男性を対象に、レビトラ:バルデナフィルの鼻からの吸入と経口からの内服薬との薬物動態を比較しております。 こちらの第1相試験では、単回投与、無作為化、非盲検、2群間クロスオーバー試験を実施し、健康な男性19名(平均年齢30.2 ± 5.7歳)を無作為に割り付け、 レビトラ:バルデナフィルの鼻からの吸入と経口からの内服を3日間の休薬期間後、それぞれ投薬を再開したものになります。 なお薬物動態のパラメータは、参加者個々の血漿濃度から算出され、 その生物学的同等性は薬物動態パラメータの90%信頼区間(CI)が80~125%の範囲内に完全に収まっている場合に判定がされたとの事でした。 ちなみに、この生物学的同等性の判定基準はFDA (米国食品医薬品局、U.S. Food and Drug Administration) の基準に則ったものとの事です。


この検討の結果として、レビトラ:バルデナフィルの鼻からの吸入では投与後0.15~0.25時間、経口の内服では投与後0.5~2.5時間で、最高血中濃度に到達したとの事でした。 しかしこの最高血中濃度は経口投与(平均AUC0-t 42.17±25.79 h*ng/mL、平均Cmax 16.74±14.50 ng/mL)の方が経鼻投与(平均AUC0-t 23.10±14.88 h*ng/mL、平均Cmax 12.89±9.07 ng/mL)よりも、 高い結果となりました。 また本研究の主眼となっている 『生物学的同等性』 に関しては、 AUC0-t、AUC0-t/D、AUC0-∞、AUC0-∞/D、Cmax、およびCmax/Dのパラメトリック解析の結果、 残念ながらレビトラ:バルデナフィルの鼻からの吸入の製剤は、経口からの内服に比較して、生物学的同等性の基準を満たす事が出来ないという結果が示されてしまいました。


文献3.の結果をまとめますと、レビトラ:バルデナフィルの鼻からの吸入製剤は、文献1.と同様に、その血中濃度の立ち上がりは、経口の内服薬よりも断然早いのですが、 本研究では、これらは同じ最高血中濃度を示す事ができず。また鼻からの吸入製剤はFDAの 『生物学的同等性』 の基準を満たす事が出来ませんでした。 すなわち、この文献3.の結果からは、レビトラ:バルデナフィルの鼻からの吸入製剤は、これを剤型違いの新しい商品としてリリースする事が難しいという可能性を提示してしまい、 今後に大きな検討の要素を残す結果となってしまいました。


4.【総合まとめ. レビトラ:バルデナフィルの鼻からの吸入製剤と経口からの内服薬の比較に関して】

  • ―文献1.健康な若年ボランティア12名を対象に、レビトラ:バルデナフィル10mgの錠剤の経口投与、 またはワンプッシュで3.38mg投薬になるアルコールベースで作成された点鼻スプレー、 これらを比較した 『ランダム化クロスオーバー試験』 を行った所、鼻からの吸入は内服に比べて三分の一程度の投与量で、 同程度の最高血中濃度が得られ、また最高血中濃度に至る時間もはるかに短かくなったと、 鼻からの吸入製剤に非常に好意的な結果にて完結しております。

  • ―文献2.レビトラ:バルデナフィルの鼻からなどの吸入は、ED:勃起不全症に比べ、『肺高血圧症』 の方が、 気道を通過して、疾患本体である肺にダイレクトに薬理成分が届けられるので、効果がより高まる可能性、 ならびに肺局所への投薬となるので、全身的な副作用が軽減できるという可能性、これらが見込めるため、 肺高血圧症に対しては経口からの内服よりも鼻からの吸入製剤の方が望ましいという可能性が本文献にて提示されました。

  • ―文献3.文献1.よりも後年に報告された研究において、健康な男性19名(平均年齢30.2 ± 5.7歳)を無作為に割り付け、 単回投与、無作為化、非盲検、2群間クロスオーバー試験を実施した所、 文献1.と同様にレビトラ:バルデナフィルの鼻からの吸入の製剤は、血中濃度の立ち上がりは経口の内服薬よりも断然早かったのですが、 同じ最高血中濃度を示す事はできず。またFDAの 『生物学的同等性』 の基準も満たす事が全く出来ませんでした。 すなわち、この文献3.の結果からは、鼻からの吸入製剤は新しい剤型違いの製剤としてこれをリリースする事が難しいという結果が提示されてしまいました。

  • ―総合まとめ.レビトラ:バルデナフィルの鼻からの吸入製剤は実用ができれば、水なしで運用出来る上に、 経口内服よりも血中濃度の立ち上がりが早いので、ED患者さんにとって利便性が高い製剤となってくれる可能性が有ります。 また肺局所にダイレクトに投薬ができるので、ED:勃起不全症だけでなく、肺高血圧症にとっても、 高い薬効や少ない副作用が見込まれ、より望ましい製剤となってくれる可能性があります。 しかし、最新の研究上では鼻からの吸入製剤は、FDAの基準を満たす 『生物学的同等性』 が確認できないという結果になってしまい、 レビトラ:バルデナフィルの鼻からの吸入製剤は剤型違いの商品としてはリリースする事が難しいという可能性が示唆されております。

5.【Q&A|レビトラ・バルデナフィルの鼻からの吸入製剤に関するよくある質問】


―Q1.「レビトラは実際に鼻から吸えるのですか?」
A.米国では鼻からの吸入を目的としたスプレー製剤の研究が進められていますが、 日本国内で現在、承認・処方されているレビトラ:バルデナフィルの鼻吸入製剤は一切存在致しません。


―Q2.「鼻から吸入すると、どれくらい早く効きますか?」
研究によって効く早さの報告はいまだ可変的ですが、一環しているのは鼻からの吸入の方が、 経口の内服に比べて最高血中濃度に至る時間は断然はやく、 複数の研究から抽出すると、おおよそ3倍から10倍ほど早くなる可能性が有ります。


―Q3.「副作用は増えますか?」
A.複数の研究報告を解析すると、火照りや動悸などの全身的副作用は、鼻からの吸入と経口からの内服とで同程度と言えますが、 鼻からの吸入製剤固有の副作用として、鼻の刺激感・違和感・くしゃみなどが一過性に出現する事があるようです。


―Q4.「将来、鼻スプレーのレビトラ:バルデナフィルは使えるようになりますか?」
A.様々な有用性(水なしでの運用、速効性、副作用の軽減、肺高血圧症では肺へのダイレクトな投与)が見込まれておりますので、 今後の研究次第では使えるようになる可能性はゼロではありませんが、 近年の研究報告にて、レビトラ:バルデナフィルの鼻からの吸入製剤がFDAの 『生物学的同等性』 基準を満たせなかったとも報告がされており、 これは鼻からの吸入製剤が剤型違いの新商品としてリリースする事が難しい事を一点指し示している可能性が有ります。 このテーマに関しては今後の後続の研究が待たれる所でも有ります。


【引用文献】


1.Pharmacokinetics comparison of vardenafil as administered by an intranasal spray formulation vs a 10-mg oral tablet.
Journal:The journal of sexual medicine. 2023 Jun 28;20(7);1004-1009. doi: 10.1093/jsxmed/qdad056.
Author:Jeffrey Wang, Sheryl L Chow, Moses S S Chow, Amy Paik, Stan G Louie, Fanglong Dong, Airani Sathananthan, Stephanie White
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2.Clinical Pharmacokinetics of Inhaled Drugs for Pulmonary Hypertension.
Journal:Clinical pharmacokinetics. 2025 Jul;64(7);973-986. doi: 10.1007/s40262-025-01525-0.
Author:Yu Lin, Yuanqi Su, Zhongjie Cheng, Bing Zhu, Qi Pei
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3.Pharmacokinetics of an oral versus intranasal delivered formulation of the phosphodiesterase type 5 inhibitor vardenafil in healthy men - a phase 1, randomized, open-label, single-dose, two-period, two-treatment, cross-over study.
Journal:European journal of pharmaceutical sciences : official journal of the European Federation for Pharmaceutical Sciences. 2025 Oct 01;213;107226. doi: 10.1016/j.ejps.2025.107226.
Author:Eric Chung, Christopher Argent, Geoff Strange
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(記載:新宿ライフクリニック-日本性機能学会専門医:須田隆興、最終確認日:2026-01-26)

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