「バイアグラ(シルデナフィル)」 はED治療薬として世界的に有名ですが、近年では 「バイアグラ 不整脈」 や 「バイアグラ 期外収縮」 といった新しいテーマでも注目を集めています。 つまり、本剤は勃起不全治療薬としてだけではなく、心臓のリズム障害(不整脈)を抑えるという心臓に良い作用を持つ可能性が注目され始めているのです。 特に 「期外収縮」 と呼ばれる余分な拍動に対して本剤が抑制効果を示すという報告が出てきております。
こちらの記事では、新宿ライフクリニックよりバイアグラ:シルデナフィル
と不整脈:期外収縮 という観点から、最新の研究結果の文献をわかりやすく解説させて頂いた記事をお届けさせて頂いております。
宜しければご一読下さいませ。
期外収縮とは、心臓が本来のリズムから外れて「余分に拍動してしまう」状態と言え、これは健康な人にも起こり得るものです。 その多くは心配のいらないものですが、頻繁に出現すると 「動悸感」 「胸の違和感」 として感じられるようになり、 不安や生活の質の低下にもつながってしまいます。
また心室性の期外収縮は危険なタイミングで発生してしまうと、稀に、より重症である心室性不整脈(心室頻拍や心室細動)へ進展してしまうような危険性もあります。 そのため「期外収縮を減らしたい」 という患者さんのニーズは非常に大きく、 「バイアグラ 期外収縮」 というインターネット上での検索が生まれる背景にもなっています。
シルデナフィルは血管を拡張し、血流を改善させる薬理成分で、 勃起不全(ED)治療薬である 「バイアグラ」 の主成分として世界的に使用されています。 本剤は勃起不全症以外にも肺高血圧症やレイノー現象に対する治療薬としても運用がされており、 血管系に対しての幅広い作用が既に認知されています。
この薬が 「不整脈」 や 「期外収縮」 に作用を示すのではないか?と想定されるのは、 この薬理成分が心筋のカルシウム動態や電気的安定性に影響を与える可能性があると示唆されているからです。
イギリスから2025年に報告された症例研究の文献によると、もともと心臓に心室性の 「期外収縮」 が見られ、日常的に動悸症状を感じられていた50歳の女性に、 レイノー現象を制御するためにシルデナフィルを投与した所、レイノー現象だけでなく、期外収縮も大幅に減少したと報告がされています。
内容としては遅いタイプの期外収縮は消失し、早いタイプの期外収縮は頻度が大幅に減少し、 残った期外収縮も 「危険なタイミング」 から 「安全なタイミング」 へとほとんどが移動したとの事でした。 そしてシルデナフィルを止める事で、この状態は元の状態に戻っていったとの事です。
これは 「バイアグラ(シルデナフィル)が人間の期外収縮を抑える可能性を示した初めての報告」 になります。
この2004年の動物実験に関する文献では、ハンガリーの研究チームが12匹の犬にシルデナフィルを飲ませ、 その翌日に麻酔下で心臓の主要な冠動脈を25分間一時的に塞ぐ処置を行ったものが記載されております。
この状況は、人間でいう 「狭心症」 や 「心筋梗塞の初期状態」 に相当します。 閉塞中つまり心筋虚血時の心室性期外収縮はシルデナフィルの投与群では有意に低下したとの事でした。 また、こうした状態では命に関わる 「心室頻拍」 や 「心室細動」 などの危険な不整脈も出現しやすくなるものですが、 実験ではこれらの重症不整脈の発生頻度もシルデナフィル投与群で有意に低下した上、 その重症度に関しても低下していたとの事でした。( VF 17 vs. 60%、心室性期外収縮 140+/-52 vs. 437+/-127%、心室性頻拍 4.0+/-3.2 vs. 19.3+/-7.7%、全てP<0.05 )
つまり、「バイアグラ 不整脈」 というテーマは、不整脈のコントロール上、動物実験においても有望視されているものになっております。
さらに詳しいメカニズムの解明のために、羊による動物実験と単離された心筋細胞での研究も行われております。
この文献によると羊に対して薬剤によって不整脈を起こしやすい状態を人工的に作り出した後、 シルデナフィルを投与する事によって 「トルサード・ド・ポワント」 と呼ばれる危険な不整脈や心室性期外収縮の出現頻度が明らかに減少したとの事でした。
また単離された心筋細胞における研究では、こうした不整脈の原因となる可能性のあるものとして、 「カルシウム波(Ca²⁺ waves)」 という、細胞内のある場所でカルシウムイオン(Ca²⁺)濃度が上昇し、 それが細胞全体に波のように伝播していく現象が同定されました。
シルデナフィルは 「PKG(プロテインキナーゼG)」 という酵素を介して、筋小胞体 (心筋細胞のカルシウム貯蔵庫) 内のカルシウム量を減少させて、 この 「カルシウム波(Ca²⁺ waves)」 の発生を抑制するという可能性がこの研究において示唆されております。
この研究によって、バイアグラ (シルデナフィル) による抗不整脈作用の 「細胞レベルでの仕組み」 の解明が一歩進みました。 単なる偶然ではなく、明確なメカニズムに基づいて効果が示されているという可能性が指摘されたのです。
つまり、「シルデナフィル(バイアグラ)は期外収縮や重症不整脈を減らす可能性がある」という流れが、 基礎研究から臨床まで少しずつ積み上がってきている状況になります。
こちらは注意点について解説しております。
今後も臨床研究そして臨床試験が進んでいけば 「バイアグラ(シルデナフィル)」 が新しい不整脈治療薬として認められるという可能性もあります。 将来的には、勃起不全治療薬としてだけでなく 「心臓を守る薬」 として処方される日が、もしかしたら来るのかもしれませんね。
―Q1. 「バイアグラは不整脈に効きますか?」
A. 現時点では「効果がある可能性がある」 としか言えません。研究では、バイアグラ(シルデナフィル)が期外収縮や心室性不整脈を減らすという結果が出ています。
ただし、まだ症例も臨床試験も少ないため、正式に 「不整脈の薬」 として認められているわけではありません。
―Q2. 「シルデナフィルは期外収縮を抑えるのですか?」
A. はい、一部の研究では「期外収縮の数が減った」という結果が報告されています。
例えば上記2025年の症例報告では、シルデナフィルを服用した女性で期外収縮が大幅に減少し、
その発生のタイミングも安全なものにずれるという効果が確認されています。
―Q3.「 バイアグラを不整脈治療に使っても安全ですか?」
A. 現時点では自己判断での使用は危険です。絶対におやめください。
本剤は副作用として頭痛や血圧低下などがあり、
また心臓病などの疾患を持つ方には使用上のリスクもあります。
医師の指導なしに 「不整脈治療の目的」 でバイアグラを飲むのは絶対にやめましょう。
―Q4.「 今後、バイアグラは不整脈の薬になる可能性がありますか?」
A. はい、可能性があります。
動物実験・細胞実験・人間での症例、この全てで効果が確認されているため、
今後大規模な臨床試験が行われるようになれば、
新しい不整脈治療薬として承認されるという可能性も考えられます。
―Q5.「シルデナフィル 期外収縮」 「バイアグラ 不整脈」 で検索する人は何を知りたいのですか?
A. 多くの場合は 「バイアグラが心臓に悪影響を与えるのでは?」 「心臓への安全性は大丈夫なの?」
といった不安や疑問を解消したい気持ちが、こうした検索のニーズの主体と思われます。
この記事ではそれに対して、科学的な研究成果を踏まえた安心できる情報を提供させて頂きました。
まとめです。
バイアグラ(シルデナフィル)は期外収縮を抑える可能性が示唆されている。
動物実験や細胞実験でそのメカニズムが確認され、人間の症例でも効果が報告されている。
しかし、まだ研究段階であり、自己判断での使用は危険。
将来的には「不整脈治療薬」としての応用の可能性がある。
1.Hutchings DC, Denton CP, Venetucci L, Trafford AW. Suppression of premature ventricular complexes with the PDE5 inhibitor sildenafil: First clinical experience. Experimental Physiology. 2025;1–7. doi:10.1113/EP092932
※原著はこちら
2.Nagy O, Hajnal Á, Parratt JR, Végh Á. Sildenafil (Viagra) reduces arrhythmia severity during ischaemia 24 h after oral administration in dogs. British Journal of Pharmacology. 2004;141(4):549–551. doi:10.1038/sj.bjp.0705658
※原著はこちら
3.Hutchings DC, Pearman CM, Madders GWP, Woods LS, Eisner DA, Dibb KM, Trafford AW. PDE5 inhibition suppresses ventricular arrhythmias by reducing SR Ca²⁺ content. Circulation Research. 2021;129(6):650–665. doi:10.1161/CIRCRESAHA.121.318473
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(記載:新宿ライフクリニック-日本性機能学会専門医:須田隆興、最終確認日:2025-09-17)
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