『男性ホルモンが多い人はながいき?男性ホルモン(アンドロゲン)が多いと長寿になる3つの理由を日本抗加齢医学会専門医が解説』

男性ホルモンが多い人はながいき

  • 男性ホルモン (アンドロゲン) が正常範囲内で多いと 『ながいき』 の傾向があるとされています
  • 男性ホルモンが持つ 『抗メタボリック症候群』 『抗糖尿病』 『抗動脈硬化』 の3つの効果がその代表的な理由です
  • 男性ホルモンは 『適切な筋肉トレーニング』 や 『良質な睡眠をとる事』 などで、その低下を抑制する事ができるとされています

男性ホルモン (男性ホルモンは 『アンドロゲン』 とも言います) は、 その正常範囲においては、その値が高いほど、『ながいき』 になる傾向があると報告されています。


これは統計調査上で、男性ホルモンが適正な血中濃度の範囲内で高値を示している方に、 長寿の傾向があったという医学報告を参照したものです。 こうした結果に至る理由としては多くの事が考えられますが、 代表的には男性ホルモンが持つ 『抗メタボリック症候群の効果』 『抗糖尿病の効果』 『抗動脈硬化の効果』 が主要な理由としてあげられます。


ちなみにアンドロゲンが適正な血中濃度の範囲を逸脱して上昇する事は、 前立腺癌などのアンドロゲン依存症疾患のリスクが上がってしまうので、むしろ望ましくありません。


こちらのページでは、男性ホルモンが正常範囲で多いと、ながいきになる、 その代表的な3つの理由を日本抗加齢医学会専門医 (アンチエイジング専門医) がやさしく・詳細に解説しております。
宜しければご参照下さいませ。


<当ページの項目リスト>

  1. 【抗メタボリック症候群の効果】
  2. 【抗糖尿病の効果】
  3. 【抗動脈硬化の効果】

1.【抗メタボリック症候群の効果】

抗メタボリック症候群の効果

男性ホルモン (アンドロゲン) が正常範囲で多いと、ながいきになる、 その第一の理由としては、抗メタボリック症候群の効果が有ります。


メタボリック症候群は、通称 『メタボ』 とも呼ばれ、その認識もだいぶ一般化して来ましたが、 この病態は、一般的には腹部肥満に生活習慣病がともなう状態です。 メタボリック症候群は慢性化すると、より致命性の高い疾患を引き起こしてしまうので、 健康長寿に悪影響を及ぼします。


アンドロゲンには、このメタボリック症候群を抑制する作用があり、 すこし難しい話になりますが、 内因性のアンドロゲン受容体の活性化が、レプチン-STAT3シグナルの活性化を示す事で、 抗メタボリック症候群作用を示すと報告されています。


すなわち、男性ホルモンが正常範囲内で高い値を維持すると、 健康長寿に悪影響を与えるメタボリック症候群が抑制されるので、 結果として、ながいきに繋がるという事です。


2.【抗糖尿病の効果】

抗糖尿病の効果

男性ホルモン (アンドロゲン) が適正な血中濃度内で高値を示すと、ながいきになる、その第二の理由としては、 抗糖尿病の効果があげられます。


糖尿病は三大生活習慣病の一つで、免疫能の低下、失明、腎機能障害の発症、神経の障害など様々な合併症から、 人々の健康寿命に悪影響を及ぼします。


アンドロゲンは、上記の抗メタボリック症候群への効果と同じシステムになりますが、 内因性のアンドロゲン受容体の活性化から、レプチン-STAT3シグナルの活性化を介して抗糖尿病作用、 つまり糖尿病を抑制する作用を示すと報告されています。


すなわち男性ホルモン値が正常範囲内で高い状態が続く事は、 人々の長寿を損なう糖尿病が抑制されるので、 長生きに良い影響を与えると推察されます。


3.【抗動脈硬化の効果】

抗動脈硬化の効果

男性ホルモン (アンドロゲン) が正常値内で高いレベルだと長生きが出来る、 その第三の理由としては抗動脈硬化の効果があげられます。


動脈硬化は有名ですが、具体的には、どういった事になるのかピンと来ない方もいらっしゃるかと思われます。 動脈硬化とは、動脈の内腔が段々と狭くなる事で血流が低下していく状態で、 初期段階では自覚症状は殆どないのですが、最終的には脳梗塞や心筋梗塞などの致命性の高い疾患を作り上げる事で、 人々の長寿を阻害してしまいます。


アンドロゲンは、すこし難しい話になりますが、 LOX-1という動脈硬化を促進するタンパク質の発現を制御をする事で 抗動脈硬化性を示す、つまり動脈硬化を抑制する作用があると報告されています。


すなわち、男性ホルモンが正常上限の値を継続する事は、 寿命に悪影響を与える動脈硬化を抑える事に繋がるため、 ながいきに良い影響を与えると推察されます。



男性ホルモンは一般的に加齢に応じて低下していく傾向が有りますが、 『筋肉を増加させる運動を適切に行う事』 『良質な睡眠をきちんと取る事』 『新しい事にチャレンジする事』 『気心の知れた仲間達と楽しく競い合う事』 など、生活上の工夫でその低下を抑制する事が出来ます。


みなさまも、ながいきのために、適切な筋肉トレーニングや良い睡眠を日頃から心がけましょう!

(記載:新宿ライフクリニック-日本性機能学会専門医:須田隆興、最終確認日:2020-05-12)


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