運動は日常に導入できるED対策としては最も優れたものです。 加齢による性機能の低下は、生物としての宿命ですが、 適切な運動習慣は年齢なりの性機能を維持し、勃起不全症を防ぐ効果が有ります。
こうした勃起不全症を防ぐための運動習慣には、 『ランニングなどの有酸素運動』 と 『筋肉トレーニングなどのレジスタンス運動』 とが有ります。 このどちらもが勃起不全症を防ぐための運動として望ましいものですが、 実は、これらはそれぞれED対策の中での役割が違っています。
こちらのページでは、この運動によるED対策を、上記の有酸素運動、またレジスタンス運動の二つに分けて、
日本性機能学会専門医が解説をさせて頂いております。
宜しければご一読下さいませ。
<当ページのもくじ>
運動の中でも有酸素運動は、特にED対策として望ましいものです。
習慣的に行う有酸素運動は、EDのリスクファクターである 『糖尿病』 『高血圧』 『肥満』 『運動不足』 の直接的改善、 また肥満の是正による 『睡眠時無呼吸症候群』 の間接的改善を示します。
また昨今の報告では、適切な有酸素運動はストレスマネジメントにも効果的とされていますので、 有酸素運動は同じく勃起不全症のリスクファクターである 『心理的および精神疾患的要素』 の改善にも望ましい運動習慣と言えます。
つまり有酸素運動は、EDのリスクファクターとして報告されているものの約半数という、 広範な勃起不全症原因に一挙にアプローチできる非常に優秀なED対策なのです。
勃起不全症を防ぐために、どのような有酸素運動が望ましいかと言いますと、 やはり 『軽いジョギング』 や 『少し早めのウォーキング』 などが運動習慣として望ましいかと思われます。
具体的には、 一回あたり30分から45分程度で、50歳未満は心拍数を一分間に100~120回、50歳以上は心拍数を一分間に100回未満を目標に、 軽く息が切れ、汗ばむような、軽いジョギング、もしくは少し早めのウォーキングを、 運動によるED対策として、週3回以上を目安に、習慣的に行いましょう。
なお何らかの罹病がある方は、こうした運動を行って良いか、必ず主治医の先生に相談するようにしましょう。 また有酸素運動を行う時には、十分な水分摂取、転びにくい運動靴など、事前の準備をしっかりと行いましょう。
運動によるED対策として上記に、 『有酸素運動はたくさんのEDリスクファクターにアプローチ出来る素晴らしいものである』 と解説しておりますが、 レジスタンス運動も上記の有酸素運動とは、また別の効果から、勃起不全症を防ぐための運動習慣として望ましいものと言えます。
レジスタンス運動とは、おもりや抵抗負荷に対して動作を行う運動で、 いわゆる 『筋肉トレーニング』 がこれに相当します。
習慣的かつ適切なレジスタンス運動は、筋肉を増やす事によって、 成人の糖尿病発症原因の、その大半を占めるとされる 『インスリン抵抗性』 というホルモン障害を改善する事が出来ます。 実際、糖尿病の外来では上記の有酸素運動と共にレジスタンス運動を患者さんに盛んに指導しています。
糖尿病はEDリスクファクターの中でも、特に難治性の勃起不全症を引き起こす可能性がある生活習慣病ですので、 レジスタンス運動によって筋肉を増やす事は、実はとても良いED対策になるのです。
また、レジスタンス運動は男性ホルモンの分泌を促す効果が有ります。 男性ホルモンは男性の20歳代ころから徐々に低下が始まり、 分泌量が身体の必要量を下回る中高年以降になると、男性ホルモン不足による内分泌性の勃起不全症の発生も見られるようになります。
そこで、レジスタンス運動を習慣的に行う事によって、男性ホルモンの分泌を定期的に促すようにすると、 こうした内分泌性勃起不全症を防ぐための対策を立てる事にもなるのです。
レジスタンス運動の中でも自重トレーニングと言われる、腹筋、腕立て伏せ、スクワットなどの運動習慣は、トレーニングジムに行く必要もなく、 導入がし易いED対策です。 筋の肥大には1セット10回から15回できるくらいの負荷強度が良いとされています。 また頻度としては、2日から3日に一回くらいの頻度で行う事が筋肥大には宜しいとされています。
ただし、特にレジスタンス運動を始めたばかりの時、 自己流のレジスタンス運動は、関節や筋肉を痛めてしまう可能性があるので、 最初の内はプロのインストラクターに指導して頂いた方が、 先々、安全性も効率もどちらも良い、レジスタンス運動の習慣、ED対策になる可能性が高いと思われます。 また有酸素運動同様に、何らかの罹病がある方は、こうした運動を行って良いか、 必ず主治医の先生に相談してから行うようにしましょう。
以上、運動によるED対策として、有酸素運動とレジスタンス運動をご紹介させて頂きました。
これら勃起不全症を防ぐための運動習慣だけでなく、あらゆるエクササイズに共通して言える事は、
『やり過ぎ注意』 です。過剰な有酸素運動やレジスタンス運動はむしろED対策にマイナスの結果になる事すら有ります。
運動によるED対策は上記にご紹介した範囲を中心に、適切に行いましょう。
(記載:新宿ライフクリニック-日本性機能学会専門医:須田隆興、最終確認日:2021-08-18)
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