『くすりで勃起不全が起きるの?薬剤性EDの主な原因となる3種のクスリに関して専門医が解説』

薬剤性ED

お医者さんが出すクスリのごく一部ですが、薬剤性EDの原因になるものが有ります。 つまりごく一部の処方箋医薬品に、男性の性機能に悪影響を及ぼすものが有るという事なのです。


そうしたもの代表が、こちらの3種です。


  • ・降圧薬の一部:高血圧のクスリで、血圧を下げる働きが有ります
  • ・精神神経用薬の一部:うつ病などに使用される精神や神経に作用するクスリの事です
  • ・ホルモン関連製剤の一部:前立腺肥大・前立腺癌などに使用されるクスリで、男性ホルモンまたはその代謝物を抑制する働きが有ります

こうしたおくすりによって起こされる勃起不全は、実は新規発生のインポテンツの1/4とも報告されており、 無視できない頻度です。


しかし、そうした製剤がコントロールしている疾患もまた、勃起不全のリスクファクターである事がとても多く、 一概にそれらの服薬を止めれば、EDに良いという訳ではありません。 また服薬の自己中断は原疾患の悪化を招き危険でも有ります。


こちらのページでは日本性機能学会専門医が、こうした 『薬剤性EDの原因となる主要な3種のクスリ』 に関して、 やさしく解説をさせて頂いております。 宜しければご一読くださいませ。


<当ページの項目リスト>

  1. 【降圧薬】
  2. 【精神神経用薬】
  3. 【ホルモン関連製剤】
  4. 【その他の薬剤】

1.【降圧薬】

降圧薬

降圧薬は代表的な薬剤性EDの原因の一つです。


降圧薬とは血圧を下げるのが主な働きで、高血圧症に処方されます。 その種類はとても多いのですが、その全てのくすりが勃起不全を起こす訳ではありません。


こうしたおくすりの種類には①カルシウム拮抗薬、②利尿薬、③β遮断薬、④α遮断薬、 ⑤アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬、⑥アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB) と多数有ります。長く複雑な名前が多いですよね。


この中で、①カルシウム拮抗薬、②利尿薬、③β遮断薬は薬剤性EDの原因となると言う報告が多いです。 一方の⑥アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)に関しては、逆に男性の性機能に保護的に働くという報告が多いです。
一度、インターネットなどでご自身の飲んでいるクスリがどの種類に該当するのかチェックしてみましょう。


ちなみに 「降圧薬を中止すれば、勃起不全が改善するのか?」 と言うと、必ずしもそうとは限りません。 というのも高血圧自体もインポテンツの原因になりますので、 こうした製剤を中止する事で、高血圧が増悪する事も性機能にとっては悪影響になります。
また高血圧の急な増悪は健康上、望ましく無いのは言うまでもありません。


それ故に、ご自身の服薬内容に該当する製剤が有ったとしても、いきなり自分で止めるのでは無く、 まずは、おかかりの内科外来にて、その種類の変更や、用量の調整を医師に検討して貰いましょう。 こうした製剤は決してご自身で調整されないよう御願い申し上げます。


2.【精神神経用薬】

精神神経用薬

精神神経用薬もまた代表的な薬剤性EDの原因の一つです。


つまり 『こころ』 や 『神経』 に作用するおくすりのごく一部に 勃起不全を起こすものがあるという事です。


こうした精神神経用薬にはうつに対するもの、その他の精神疾患に対するもの、 そして睡眠薬などの種類が有りますが、この中ではうつに対するもの、つまり 『抗うつ薬』 が薬剤性EDの原因として報告される事が多いです。


しかし、抗うつ薬の種類には、 『セロトニン再取り込み阻害薬』 、 『セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬』 など複雑で長い名前のものが多いですが、 実はこの 『セロトニン再取り込み阻害薬』 一つをとっても、 勃起不全の発症に関わるという報告と関わらないという報告が混在している状況です。


そして前述の 『降圧薬』 と同様に、 必ずしも、こうした製剤を中止さえすれば勃起不全が改善するという訳ではありません。 というのも高血圧同様に 『うつ症状』 自体もインポテンツのリスクファクターの一つなので、 こうしたおくすりの中止によって、うつ症状が増悪する事は男性の性機能にとっても望ましく有りません。


それ故に、こうした製剤もまた、おかかりのメンタルヘルス外来にて、総合的にメリット・デメリットを検討して貰った上で、 調整してもらう必要が有ります。
とくに抗うつ薬の自己中断はうつ病の治療失敗に直結しますので、 くれぐれも精神神経用薬はご自身で調整されませんよう御願い申し上げます。


3.【ホルモン関連製剤】

ホルモン剤

ホルモン関連製剤のごく一部ですが、代表的な薬剤性EDの原因として報告されているものが有ります。


これは男性ホルモンまたその代謝物を抑制する作用のあるもので、 エストロゲン製剤、抗アンドロゲン剤、5α還元酵素阻害剤と呼ばれるものが主体です。 こうしたホルモン関連のくすりは勃起不全を起こす事が有ります。


これらのホルモン関連のくすりは主に前立腺肥大症、前立腺癌などに使用されます。 しかし、前立腺癌に対しての治療は、もちろん中断は出来ないとしても、 性機能の改善を目的に前立腺肥大症に対する服薬が中断できるかと言うと、これも難しい側面があります。


それは前述の 『高血圧』 『うつ症状』 と同様に 『前立腺肥大症による排尿障害』 もまたインポテンツを引き起こすからです。 ホルモン関連製剤を中断する事で、前立腺肥大症の症状が悪化する事は、実は男性の性機能にとっても望ましくありません。


ただ前立腺肥大症の排尿障害の改善に対しては、ホルモン関連の製剤以外も有りますので、 おかかりの泌尿器科外来にて、総合的なメリット・デメリットを検討して貰った上で、 他のおくすりへの切り替えや調整を検討して貰いましょう。


4.【その他の薬剤】

その他の薬剤

上記にて代表的な薬剤性EDの原因となる3種のクスリに関して解説させて頂きました。
一方のこちらでは報告数は少ないけれども、勃起不全を起こす可能性があるくすりを 『その他の薬剤』 として記載しております。


この 『その他の薬剤』 としては、スルピリドなど抗潰瘍剤の一部、 スタチン系などの脂質異常症治療剤の一部、抗ヒスタミン薬などのアレルギー用剤の一部、 テオフィリンなどの呼吸器官用剤の一部が有ります。 こうした製剤は高頻度では有りませんが、薬剤性EDの原因として報告がされています。



総合的にこうした薬剤性EDの原因になると報告されているクスリは、 その根拠の多くを症例報告に置いていて、実は、どうしてこれらのクスリが、 インポテンツを引き起しているのかは、未だに良く解明されていません。


また、お気づきかと思われますが、 『高血圧と降圧薬』 のように、 その製剤だけでなく、原疾患の方もEDを起こすものが、ほぼ主体となっていますので、 実はこれらはインポテンツを起こしている因果関係が大変分かり難くい状況とも言えます。


それゆえ現実的には、インポテンツの原因と思われたクスリの中止や変更は難しい場合がほとんどです。 ですので、こうした場合、薬剤の中止や変更をせずに、 バイアグラなどの勃起改善薬をこれらの製剤に併用する事で、 勃起不全に対応しているケースが主体となっています。


ただ勃起改善薬は飲み合わせが悪い製剤が少々ありますので、その処方の際は、 現在使用している製剤と併用が可能かどうかを検討する必要が有ります。 それゆえにED治療薬を専門クリニックにて処方して頂く場合、 医師から処方されている他の服薬がある方は、お薬手帳などお持ち頂いた方が万全です。

(記載:新宿ライフクリニック-日本性機能学会専門医:須田隆興、最終確認日:2019-09-16)


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