ばいあぐらは新宿ライフクリニック。
【甘い物とED/勃起不全】
甘い物などの糖質は我々の生存に欠かせない重要な栄養源です。
特に脳などの中枢神経はほぼ糖質のみをエネルギー源にしている事も有り、
我々は糖質を摂取せずに暮らしていく事は出来ません。
しかし、先進国である本邦やアメリカにおいては、食料自給率の上昇に伴い、
こうした甘い物などの過剰摂取が段々に健康上の問題として認識されるようになって来ました。
甘い物の過剰摂取は、肥満や糖尿病を介して、
脳梗塞や心筋梗塞などの致命性の高い大血管障害を引き起こす事が有ります。
また、特にファーストフードなどの大容量の加糖液は「ペットボトル症候群」と呼ばれるような、
急峻に発症する代謝障害を引き起こすリスクの一つとしても認識されています。
今、先進国に居住する人々は、どのように甘い物などの糖質と付き合っていくべきか、
再検討すべき状況にあると言う事が出来ます。
肥満や糖尿病はED・勃起不全発症のリスクファクターとされているので、
甘い物の過剰摂取は肥満や糖尿病の発症を介して、
間接的にインポテンスを引き起こす可能性が有ると言えます。
しかし、昨今の研究によると糖質の過剰摂取が直接的に血管機能を抑制して、
インポテンスを引き起こす可能性も指摘されています。
すなわち、甘い物は間接的にも、直接的にもED/勃起不全を発症させる可能性が有ると言う事です。
本項では、甘い物による間接的なED/勃起不全の発症に関して、
また甘い物によって惹起される血管機能障害から直接的にED/勃起不全が発症し得るという報告に関して、
またそれらの想定される対策に関して、それぞれ記載させて頂いております。
【甘い物の間接的影響によるED/勃起不全】
上述したように甘い物の慢性的な過剰摂取は、
肥満や糖尿病を引き起こし、これらは脳梗塞や心筋梗塞などの大血管障害の原因になるばかりでなく、
局所的にはED/勃起不全などの機能障害をも引き起こす可能性が有ります。
つまり甘い物の慢性的過剰摂取は間接的にED/勃起不全を引き起こすと言えます。
甘い物の慢性的過剰摂取によって引き起こされる肥満は、
どのようなシステムでインポテンスを発症するのでしょうか?
勃起の発生には、陰茎の血管平滑筋の弛緩など、血管機能の働きが欠かせませんが、
肥満自体がこの血管機能を障害させる直接的要因になり得るとも言われております。
またテストステロンに代表される男性ホルモンの存在は、
性欲の維持や勃起機能の維持に欠かせないホルモンですが、
肥満者は非肥満者に比較するとテストステロンの分泌量が低下すると諸家の報告にも有り、
ホルモン分泌障害すなわち内分泌性に肥満がED/勃起不全を引き起こす可能性も有ります。
一方、甘い物の慢性的過剰摂取によって引き起こされる糖尿病は、
どのようなシステムでインポテンスを発症するのでしょうか?
糖尿病がED/勃起不全を引き越す原因は端的には3種類ほど有るとされています。
一つは糖尿病による血管機能障害です。
上記の肥満以上に糖尿病は血管機能障害の大きな要因になり得ます。
二つ目は糖尿病による自律神経障害です。
自律神経は勃起機能の成立上極めて重要なものになり、自律神経障害がベースにあるインポテンスは、
難治な傾向が否めません。
三つ目は糖尿病によって引き起こされた動脈硬化による血流障害です。
勃起は動脈血の流入によって成立する生理現象なので、血流の障害はダイレクトにインポテンスを引き起こします。
【甘い物の直接的影響によるED/勃起不全】
それでは、今回のメインテーマですが、
甘い物の摂取による直接的影響によって発症するED/勃起不全とはどのようなものなのでしょうか?
上述したように勃起という生理現象の発現では、陰茎の血管平滑筋の弛緩がまず発生して、
血液が陰茎海綿体に流入し始めるので、
この血管平滑筋の弛緩は勃起の有無を左右する非常に重要な反応と言えます。
本邦の研究によると、この陰茎海綿体組織のアセチルコリンによる弛緩反応が、
ブドウ糖濃度400mg/dlで有意に低下し、ブドウ糖濃度100mg/dlで有意に回復したと報告されました。
この反応は高い糖濃度による浸透圧の上昇によるものでは無く、糖濃度自体に依存したものである可能性が高く、
陰茎海綿体組織の提供者は糖尿病などの既往が無い方が選択されているので、
糖尿病でない人でもソフトドリンクなどの急激な摂取によって血糖が急上昇した場合に、
一過性にインポテンスを発症する可能性がある事が示唆されました。
この結果は、今後のこうした領域での研究の進展に従い、インポテンスの患者さんに対する生活習慣指導の中に、
性行為直前の甘いものの摂取を控えるような指導が追加される可能性も検討させます。
【甘い物によるED/勃起不全の予防として】
この甘い物とED/勃起不全の関係性は、アルコールとそれの関係性に似ている傾向が有ります。
アルコールもまたED/勃起不全に対して間接的影響と直接的影響が有ります。
アルコールの間接的影響としては、
長期慢性の大量飲酒は陰嚢の萎縮を引き起こしてテストステロン分泌の低下を招き、
結果としてED/勃起不全を発症させる可能性が有ります。
また直接的影響としては、勃起関連の神経作用に対してアルコールが抑制的に作用する事で、
ED/勃起不全を発症させる可能性が有ります。
ゆえに甘い物によるED/勃起不全の発症予防指導は、
アルコールによるED/勃起不全の発症予防指導と近似していて、
まず、直接的影響を予防する為に、セックス直前の甘い物の摂取を控える事、
そして、間接的影響を予防する為に、甘い物の慢性的な摂取量の削減や甘い物の摂取する頻度の削減が必要になってまいります。
すでに糖尿病として治療や指導を受けている場合には、より詳細な食事指導が必要になるので、
必ず主治医の先生の指導に従われるようお願い申し上げます。
written by しありす処方なら新宿ライフクリニック.