限局性前立腺癌に対する放射線治療後にタダラフィルを使用すると性機能の温存を図れる可能性があります。



放射線治療とシアリス

【放射線治療とシアリス】
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放射線治療の小線源処置を施行した限局的前立腺癌患者にシアリスを定期投与したところ、 それをしていない群に比較して前者の方が性機能が良かったという統計的な報告がされています。
前立腺における疾患は、その外科的処置、またその疾患の存在自体も、 ED/勃起不全などの性機能障害を引き起こすことが多くあるとされています。
しかし前立腺疾患は前立腺肥大にしても、前立腺癌にしても本邦に置いては増大傾向です。 前立腺肥大は加齢に伴いその疾患頻度は上昇する傾向があるので、 未曾有の高齢化社会を迎える我が国においては、その疾患頻度も当然上昇傾向にあります。 一方、前立腺癌は二次大戦前は我が国においてはとても低頻度な悪性腫瘍だったのですが、 大戦後の食生活の極端な欧米化の後にその発症頻度はどんどん上昇して来ていると報告されています。
しかし、前立腺肥大はともかく、前立腺癌は悪性腫瘍の中では加療の効果が比較的出やすいものと言え、 それがゆえに加療後の長期的な生活を考慮する必要、 もっと言えば、生活における性機能などを勘案する必要性があると言われています。
ゆえにこれら前立腺の疾患による、またはこれらへの処置によって発症するEDの予防やコントロールは、 近年の泌尿器科学会などの臨床学会における主題の一つとして継続的に検討されてきているテーマです。
放射線治療はいわば電離現象を利用した細胞への障害を癌に対して活用したものになり、 外科的手術などに比較すれば性機能に対するダメージは少なめと言えますが、 それでも正常組織・細胞への悪影響はゼロとは言えません。
今回、ご紹介させていただく報告はこの限局的前立腺肥大に対する、 放射線治療:小線源の処置を施行した症例においてシアリスを長周期的な定期投与した場合に、 性機能の温存が図られた、つまりED/勃起不全の発症が緩和されたという内容であり、 シアリスなどのPDE5阻害薬の使用方法のバリエーションを広げる可能性のあるものです。 本稿ではその他、放射線治療に関する解説などもさせていただいております。 ご参照くださいませ。


【放射線治療とは】
シアリスがその施行後の性機能温存に有効性を示した放射線治療とはどのようなものなのでしょうか?
放射線治療は電離放射線を人体に投与する処置方法の総称になります。 その対象は基本的には癌が大部分になりますが、 その増大を抑制する目的で、ごく一部の他の疾患にも使用される場合があります。 
この電離放射線は癌細胞だけでなく、正常な細胞にも影響を与えてしまうので、 投与前にコンピューターによって自己増殖する悪い細胞などを死滅させ、 かつ正常の細胞は回復するように放射線投与の量や頻度、期間を慎重に設定する必要があります。
また電離放射線の影響は長期的な影響を示すものなので、 数週間から数十年後の生体反応を見据えたスケジュールを規定する必要性があります。
放射線治療は根治的な意味合いの治療から、 悪性腫瘍増大による痛みの緩和を目的としたものまで、その適応の幅は広く、 その照射形態も外部からの照射や、今回の報告にある刺入・挿入された状態で効果を示す密封小線源など、 そのバリエーションは豊富です。
密封小線源とは金属のカプセルに放射性同位元素を封入し、 針や管状にしたものを癌組織に差し入れて行う放射線加療の一形態です。 前立腺癌に施行するタイプは細かくは組織内密封小線源治療と分類され、 前立腺癌以外にも頭頸部腫瘍、脳腫瘍、乳がん、肺がん、膵臓がん、膀胱がん、直腸がんなどにも施行されます。


【放射線治療後におけるシアリスの効果報告】
この報告は上記した密封小線源による限局的前立腺癌の放射線治療の後に、 対象者のセックスの実行・頻度関係なく、 シアリスを術後1週から2週毎に1回内服させた群と、 それを施行しない群の2群に分けて、複数の性機能スケールを比較したものになります。
シアリスはバイアグラ、レビトラ、シルデナフィルとともに、 厚生労働省に正式に承認されている勃起改善薬(PDE5阻害薬)で、 米国イーライリリー開発のもと、本邦では日本新薬がライセンス生産している薬剤です。 副作用の少なさと長期効果の薬効に優れ、 バイアグラ、レビトラとはまた違った使用上の個性から広い用途があります。
この2群の統計的な検討の結果 EPIC性ドメイン総合得点自体は両群で差を認めなかったものの、 その下位尺度である性機能は投与群の方が良好な傾向を認めたと報告されています。
つまりシアリスは前立腺癌への放射線治療後において、 性機能の温存や改善に好影響を与えている可能性が示唆されます。


【シアリスなどのPDE5阻害薬の使用方法の展開】
シアリス、バイアグラ、レビトラ、シルデナフィルなどのPDE5阻害薬は、 その薬剤のメインの用途としては、セックスの時に一時的に勃起機能を改善させるものにすぎません。
しかし、 今回の放射線治療後の定期的なシアリス服薬による性機能の温存もしくは改善の報告のように、 定期的なこれらPDE5阻害薬の投与による性機能の維持・改善・リハビリ効果が、 様々な領域で報告されてきており、 これらのバイアグラ、レビトラ、シアリス、シルデナフィルなどのPDE5阻害薬が、 一過性の勃起改善薬としてだけでは無く、 定期投与によるベーシカルな勃起機能の改善薬として活躍するようになるという可能性が期待されています。
これらシアリス、バイアグラ、レビトラ、シルデナフィルは前提として、 保険適応外に該当する処方箋医薬品なので、 保険適応薬剤のように適応方法に拘泥することなく、 様々なアプローチがしやすいのも、こうした副次的効果を模索するのには好都合であるとも言えます。 こうした良い副次的効果の今後の続報が期待されます。
(記載:日本性機能学会専門医-須田隆興)


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