果糖の一種が勃起障害の発症に関連する可能性が報告されています。


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フルクトースの過剰摂取によるEDの発症

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【フルクトースとEDの発症】
フルクトースは食品とくにスイーツなどの甘味に非常に多用される事の多い天然の甘味料の一つですが、 長期に渡るフルクトースの過剰摂取がED:勃起不全の発症に関連する可能性に関して報告がされています。
現在、ED/勃起不全はこの日本だけで1300万人もの患者さんがいるとも想定されています。 このEDという疾患は、非常に多様な原因で発症するもので、 糖尿病・高血圧・脂質異常症・メタボリック症候群などの生活習慣病、 喫煙などの嗜好品の習慣、ストレス、プレッシャー、加齢、 男性ホルモンの生理的な低下・もしくは非生理的な低下、 肥満、運動不足など、ざっと挙げただけでもこのボリュームです。
というのも、勃起という生理機構は非常に繊細なシステムによって構築されており、 そのシステムを構築する要素の障害の一つ一つがEDの発症原因に成り得るからなのです。
その原因の中における中核は上述した生活習慣病であり、 特に多数派疾患の糖尿病や高血圧などはED発症の非常に大きな原因となっていると報告されています。 またこうした生活習慣病自体の頻度も上がってきておりますので、 ED患者数も今後もっと増加してくる可能性は非常に高いと言えます。
生活習慣病と言えば、基本的には不適切な食事・運動不足などの生活習慣が根幹にあると言えますが、 食事に関して、昨今では特定の食材や食事内の成分が、 これらの疾病発生にかかわるという報告が続いております。 トランス脂肪酸による生活習慣病発症のリスクなどもこうしたカテゴリーに入ります。
今後の生活習慣病の治療もしくは予防においては、 漠然とカロリーを抑えるとか、繊維質をとるようにするという指導だけではなく、 特定の成分を避けるなど、より詳細な食事指導が発達していく可能性が想定されます。
今回、ご紹介させていただくフルクトースによるED発症リスクの可能性の報告も、 こうした流れに属するものと思われます。
本稿ではフルクトースとは何か、またフルクトースの長期過剰摂取によるED発症の危険性の報告、 フルクトースによるED発症のロジックの考察、 今後の「食の安全」について私見を交えて記載しております。ご参照くださいませ。


【フルクトースとは何か?】
フルクトースとは果汁中に多く含まれる果糖、 すなわちフルーツの甘みを示している成分になります。 メロンやはちみつ等の甘みは主にフルクトースが表出しているものです。
フルクトースは単糖であり、すべての糖分の中で最も水に溶けやすいとされています。 また天然に存在する糖分の中では最も甘みが強く、 スクロースなどの約1.7倍甘いとされています。
水に溶けやすいこと、また甘みが強いこと、また工業的な精製が比較的安価にできることから、 フルクトースを精製したものは、お菓子や料理など非常に商業的に利用されやすい傾向があり、 年間24万トンものフルクトースが結晶合成されているとの事です。
すなわちフルクトースは実は我々の暮らしの中で、 とくに強く意識されることもないままに非常に多用されてきた側面があります。


【フルクトースの長期過剰摂取によるED発症の危険性の報告】
この報告はラットを利用した動物実験であり、 フルクトース5%溶液とフルクトース15%溶液を8週間与えた、 コントロール群を含めた複数のラットにおける勃起機能に関して調査したものです。
ちなみに勃起機能に関しては海綿体神経の電気刺激による陰茎海綿体内圧の変動を持って判定したとの事です。
実験の結果としてはそれらラットは体重の変化はなかったものの、 コントロール群に比較して5%フルクトース群、 15%フルクトース群ともに、勃起機能が優位に低下していたとの事でした。 すなわちフルクトースの継続的な過剰摂取によって哺乳類がEDになる傾向を結果として示したとの事でした。


【フルクトースによるED発症ロジックの考察】
このフルクトースによるED発症のロジックはいまだ明確には解明されておりません。 上記の報告は統計的な処理によってフルクトースによる哺乳類のED発症傾向が示唆されたものになります。
それではフルクトースの長期過剰摂取がなぜにED発症傾向に結びついたのでしょうか? フルクトースには他のグルコースなどに比較して、 満腹に関連して分泌されるホルモンのピークが低く、 実は甘味の割に満腹感を与えにくいことが指摘されています。 つまり通常の糖質に比べて比較的摂取量が増大しやすい傾向があると言うことです。
満腹感を感じにくいフルクトースは、通常の糖質よりも結果として、 量的にも過剰な摂取になってしまう可能性が高く、 それが結果的に血管内皮機能に悪影響を与えて、 ED発症傾向を示した可能性が検討されます。
しかしフルクトースが独立したED発症のリスクと言えるかどうかは、 より詳細な実験や統計報告を重ねるなどの検証が必要と思われます。


【今後の食の安全】
フルクトースの長期過剰摂取がED発症に結びつく可能性があるとの報告をご紹介させていただきましたが、 こうした総体的なカロリー制限などのざっくりした内容ではなく、 食事内容の細かい成分が何らかの疾患発生につながりやすいと言った報告は現在、 医療の世界では一つのトピックと言え、 またこの傾向は近年どんどん加速していく可能性があります。
それは「食の安全」という言葉が示すように、 一般市民の食事に対する疑念が高まっている事を反映しての事と思われます。
こうした食事内容に対する疑念の始まりは、 おそらくは文明の肥大化に伴う食材の生産者と購買者の距離感の拡大が、 食材の正体をどんどん不明瞭にさせてしまったことも一因として考えられます。
食事内容の細かい成分が何らかの疾患発生につながりやすいと言った報告には今回、 ご紹介させていただいたフルクトースとED発症の可能性に関する報告以外にも有名なもので、 トランス脂肪酸の摂取による生活習慣病発症リスクや、 天然ではなく人工の甘味料による耐糖能障害つまり糖尿病発症リスクなどがあります。
今後は便利な食材もしくは調味料として使用されてきたものに関して、 現在の調査・解析技術による再検討がどんどん進むと思われます。 しかし、その情報の受け取り手としては、そのリスクが過大なものなのか、 もしくは許容範囲内の微小なものなのか、リスクの有る無しだけでなく、 そのリスクのボリュームに関しても検討する必要が有ります。
ちなみに糖質過剰摂取による血管内皮機能障害からのEDに対しても、 バイアグラ、レビトラ、シアリス、 シルデナフィルなどのPDE5阻害薬は効果的です。 お悩みの方は是非とも当新宿ライフクリニックにご相談されてくださいませ。
(記載:日本性機能学会専門医-須田隆興)


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