腹腔鏡を使った前立腺の全摘術における勃起障害の発生に関して記載しております。


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腹腔鏡下前立腺全摘除術:LRPによるEDの発生

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【腹腔鏡下前立腺全摘除術:LRPとED】
腹腔鏡下前立腺全摘除術:LRP(以下LRP)の一般化によって、 従来の手技に多くみられた神経障害などをベースとしたEDの発症は低下すると考えられていたものの、 海綿体-静脈閉鎖機能の異常によるEDの発症がLRP後に、 多くみられたと報告している発表が有ります。
LRPは前立腺癌の一般的な術式と言えます。 食生活の欧米化前は、日本においては前立腺癌は比較的まれな悪性腫瘍で、 その発症頻度は殆どがヨーロッパやアメリカが主体でした。 しかし日本の文物や生活が西欧化するにつれてその発生頻度は年々、 急速な増加を見せ、近い将来、日本での前立腺癌の発症率は、 欧米での発生率とほぼ同等になると推測されています。 こうした前立腺癌の発症頻度の上昇は、 一説には食生活における乳製品の摂取頻度に関連しているとも言われています。
こうした発症率の上昇によってLRPは手術手技として急速に一般性を持つに至りました。 さいわいな事にこの疾患は、他の悪性腫瘍に比較すると、早期発見における治療率は高く、 またそのスクリーニングも腫瘍マーカーと超音波など、感度・特異度ともに高いものがあるため、 その致命性は比較的低いと言えます。
しかしその分、手術後のQOLが問われやすい傾向があり、 その代表的問題と言えるのが男性性機能、特に勃起機能の問題と言えます。 前立腺に対する処置はED発生の確率がとても高く、 また発生した場合、バイアグラ、 レビトラ、シアリス、シルデナフィルなどのPDE5阻害薬が、 作用しにくい難治性EDになりやすい傾向があると認識されています。
難治性EDが多いという意味合いにおいては、 予防的対応、すなわち同疾患に対する処置によってEDをなるべく発生させないようにする事が、 対応上望ましいと言え、 近年、日本性機能学会、日本泌尿器科学会などでもこのカテゴリーに関しては、 非常に活発にディスカッションされています。
  こうした予防的対応の一つには術後早期の勃起リハビリテーションがあり、 これには上記のバイアグラ、レビトラシアリス、 シルデナフィルなどのPDE5阻害薬を利用したものも検討されています。
そしてもう一つの方法としては手術の手法自体の検討が有ります。 こちらでは機能温存手術を中心に検討されていますが、 最近ではその中でも手術侵襲が少ないロボット支援下のLRPに、 大きな期待が寄せられています。
本項ではこの腹腔鏡下前立腺全摘除術:LRPに関して、 またLRP後に発生したEDを検討した報告に関して、 そして今後のED発生予防を意識した前立腺処置に関して、記載しております。 ご参照くださいませ。


【腹腔鏡下前立腺全摘除術:LRPとは?】
腹腔鏡下前立腺全摘除術:LRPとは、呼んで字のごとく腹腔鏡を利用した前立腺癌に対する、 根治的手術手技の事になります。
この腹腔鏡とは腹腔内に直接挿入して臓器を直接観察するための内視鏡の一つであり、 これを利用した前立腺癌に対しての処置がLRPになります。
このデバイスには硬性鏡(直視鏡、斜視鏡)とフレキシブルな電子スコープとが有ります。 従来このデバイスは肝臓、胆嚢、腹膜疾患、婦人科臓器の診断検査などに使用されてきましたが、 フランスの産婦人科医がこれを利用して胆嚢摘出術を行って以来、 内視鏡によって腹腔内観察下に手術器具を挿入して行う手術が急速に普及して行きました。
通常は二酸化炭素の送気によって腹腔内を広げて(気腹法と言います)視野を確保して、 手技を行う事が多いとされています。
このデバイスを使用して前立腺癌の根治的処置をするのがLRPです。 また平成24年の保険収載によってロボット支援下のLRPが保険適応になったので、 今後はこちらの方が標準的術式となっていく可能性が想定されます。
ロボット支援下のLRPは三次元画像と高い自由度を有する鉗子によって、 より低侵襲な手技を実現させ、また安全性の向上、 尿禁制およびEDの予防などの機能温存面からも高い期待がなされています。


【腹腔鏡下前立腺全摘除術:LRPによって発生したEDに関しての検討】
上記にもありますが、LRPによる手技の低侵襲化によって、 EDの発生率が低下すると見込まれていた理由としては、 この前立腺に対する処置における神経障害発生の回避と動脈温存が中心と言えます。
しかしLRPを施行した後にEDを発症した症例を検討した所、 3DCTによる海綿体灌流造影検査において、 検査例の約57%が海綿体-静脈閉鎖機能の異常例として検出されるという結果となりました。
勃起という生理現象は、性的興奮の伝達から動脈平滑筋の拡張弛緩が発生して、 海綿体に血液が流入する事で海綿体が強固な結合組織である白膜内で海綿体が膨張し、 それによって白膜内で内圧が高まり、静脈が閉鎖して、 海面体に血液がプールされる事で発生します。
つまりこの静脈の閉鎖が勃起の機構としては非常に重要なのですが、 LRP施行後のおよそ半数以上が、 この静脈の閉鎖機構に問題が生じていたとの事でした。
このように本検討は術後EDの主体と思われていた神経障害、 動脈の切除以外の第三の因子が大きくクローズアップされる結果となりました。


【今後のED発生予防を意識した前立腺処置】
EDの原因自体は非常に多因子であり、さまざまな要因で出現すると言えます。 それはLRPなどの前立腺に関連した処置に関しても言える事で、 処置によって発症するEDも、その原因は一つでは無く、 手術手技によって発生するいくつかの勃起不全の原因が有ります。
しかしたとえば、今回の報告で使用されている3DCTは近年出てきた画像解析技術であり、 これが出現するまでは、このように正確な静脈閉鎖機構の障害を検出する事は難しかったと言えます。
いうなれば画像解析技術の進化が、性機能温存手術に新しいテーマをもたらしたと言え、 検査と処置は臨床の両輪である事を考えると、 このように様々な医療テクノロジーが樹木のように絡み合って、 より患者さんにとって望ましい技術の誕生に至るという近年の医学の進化の形が、 ここでも現出していると言えます。
術後EDの対策に関しては、こうした医療テクノロジーの進化が、 ダイレクトに反映されやすい傾向があり、 今後の報告が期待されます。
(記載:日本性機能学会専門医-須田隆興)


written by レビトラ処方を新宿で!新宿ライフクリニック!


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