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【夫婦仲とED発症のリスク】
海外の報告にて、EDなどの性機能障害の発症リスクを統計的に検討した所、
夫婦関係に対する不満など、パートナーとの関係性にまつわる因子が、複数、有意に選択されたとの事で、
夫婦仲の良さがEDの発症予防に関連する可能性が認識されました。
ED:勃起不全の発症は日本だけでなく、
全世界的に見ても増大傾向にあり、
その原因は非常に多岐にわたるとされています。
それは医療技術の進歩に伴う長寿高齢化、
食料自給率の上昇・運動量の低下に伴う生活習慣病の増大、
経済偏重の近代社会における就労時間の延長化・男女共働き化など、
文明の発達、科学の発達、社会形態の変遷に伴って増大しているものでも有ります。
特に経済偏重の傾向が強い近代社会においては、
男女雇用機会均等化による女性の社会進出もどんどん進んでおり、
その事自体はジェンダーによる権利の偏在を是正する上では非常に望ましい事ですが、
夫婦の関係性がこれらとともに変遷してきている事は、
パートナーとのリレーションシップの有り様を多様化させて、
前提にナイーブな男性、つまり夫の心理的負担となるケースも確認されています。
こうした心理的負担はEDの発症原因になる事が有り、
例えば北欧からの報告によると、結婚以降の妻の年収の増大が夫の収入を凌駕する事が、
夫のED発症に明らかに関連すると言った統計報告も出て来ています。
夫婦間のセックスはその共同生活においては、
生殖行為であると共にその強い心理的結びつきの象徴とも言え、
それ故に心理的結びつきの悪化、つまり夫婦仲が悪い事は、セックスに対する弊害である所の性機能障害、
EDの発症に結び付く事は想像に難くありません。
本項では、こうした夫婦仲などのパートナーリレーションシップに注目して、
EDなど性機能障害のリスクファクターを検討した統計報告を中心に、
夫婦仲とED発症に関して記載させて頂いております。
どうぞご参照くださいませ。
【夫婦仲とEDの統計的関連性の報告】
夫婦仲などのパートナーリレーションシップを検討因子として内包した、EDのリスクファクターの統計的報告が、
海外よりされました。
この報告は性機能障害を有する98名の男性に関して、
各種の独立した変数を多変量解析にてEDの発症に関連するか検討したものになります。
結果として、性機能障害全体のリスク因子については、
「夫婦関係に対する不満」や「妻主導の性交を認めない」と言った夫婦仲に関連した項目が、
有意に選択されたとの事でした。
また性機能障害をさらにEDに限定して解析した所では、
やはり「妻主導の性交を認めない」などの夫婦仲に関連した項目が有意に選択されたとの事でした。
つまり統計解析上、夫婦仲などのパートナーリレーションシップの悪さは、
男性のEDなどの性機能障害の発症に関連したリスクファクターと言うことが出来ます。
【今後の社会生活と夫婦仲そしてEDの予防に関して】
新宿ライフクリニック、池袋スカイクリニックにおける、
セックスレス夫婦やご主人に発症したEDに関する数千件に及ぶ面談を通して、
我々が実感する事は、首都圏における夫婦の有り様、
つまり夫婦仲は時代とともに加速度的に変化してきていると言う現実です。
我々が子供だった時の夫婦の有り様と現在の有り様はあまりにも違いすぎて、
今まで観察し、蓄積してきた学習・経験則が通用せず、
悪化した夫婦仲を中々修復出来ない為に、戸惑っている男性・夫を多く拝見致しました。
その変化の加速度に対しては、
どちらかと言うと男性の方がついて行けてないと言うのが正直な印象です。
しかし男性・夫における問題というのは相対的には夫婦の問題であり、夫婦仲の問題に還元できます。
今回、ご紹介させて頂いた報告は上記の面談を通して得た我々の経験から照らし合わせても、
その結果は深く納得できるものでした。
つまり夫婦仲はEDなど性機能障害の発症に、
実際の臨床上の経験からも大きく関連するという実感が有ると言う事です。
つまりEDを予防する為に、夫婦仲を改善させる事は有用なアプローチと言えます。
現代日本の夫婦仲の有り様が非常に多様化している事は上述した通りです。
ゆえに夫婦仲の悪化に対する、その解決策はオーダーメイド的なものにならざるを得ません。
つまり逆説的には漫然とした、全カップルに共通のゴールデンルール的解決策はこの場合、存在しないとも言えます。
しかし相談の段階で強く感じるのは解決策を提示する前段階に有られる方がとても多い事です。
解決策を検討しようにも、相談対象者は夫もしくは妻が、何をしてあげれば喜ぶのか分からない事が多く、
また何故に夫もしくは妻が自分を拒むのか全く分からない事が多々あります。
つまり解決策を講じる上で必要な情報が相談対象者から得られない場合が多いと言う事です。
もっと分解して申し上げますと、夫婦間で長い時間を過ごしているのにも関わらず、
心情吐露・話し合いが総体的にとても少ないと言う事が印象として強いです。
人は語り、訴える事を省いては人と分かりあう事はできません。
分かりえない事を改善する事は、非常に困難と言えます。
あるいは話し合う事で問題点が自然と浮き彫りになり、
そのまま夫婦仲を悪化させていた要因が解決してしまう事も多々あると思います。
あるいは全カップルに共通のゴールデンルール的夫婦仲の改善策が存在するとしたら、
それはよく「夫婦間の対話をする」という事なのかもしれません。
孫子に曰く「敵を知り、己を知れば百戦危うからず。」と申しますが、
これは人間関係・夫婦関係に関しても言える事なのかもしれません。
御夫婦の方はお互いをよく知られて下さい。
これはご夫婦間におけるEDやセックスレスの解決、
また夫婦仲の改善に対して非常に大切な事と存じます。
(記載:日本性機能学会専門医-須田隆興)
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