肛門性交と性行為感染症



肛門性交のリスク

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【肛門性交とは】
肛門性交pederastyとは、セックスの際に膣ではなく肛門に陰茎を挿入する性交で、 人類史上、かなり古くからおこなわれてきた擬似的生殖行為です。
膣を持たない男性同性愛者同士を主体に行われており、鶏の交尾に似ている事から鶏姦とも呼ばれます。
アナルセックスとも呼ばれます。

本行為は、膣での性行為と違い解剖学的特性上、より性感染症に感染しやすくなると、容易に想像できます。
また、短期的には直腸の損傷、長期的には括約筋の慢性的障害による便失禁などのリスクも増加いたします。


【肛門性交の解剖学的理解】
肛門性交を解剖学的側面から説明します。
本行為において、陰茎はまず肛門を通過します。 肛門には、括約筋によって粘膜がリング状に絞扼され、内腔を閉ざす事により、便失禁を防ぐ機能が有ります。
この肛門括約筋は、膣に比べ筋力が有るため、いわゆる”締り”に関しては、 より強い刺激が得られるものと思われます。
次に、陰茎は全長3㎝の肛門管と呼ばれる細い管状の部位を通過します。 肛門管には、柱と呼ばれる襞、ならびに三日月状の弁状襞が存在します。
その後、陰茎は、全長約13㎝の直腸と呼ばれる大腸の最下部に到達します。 直腸のさらに下部には、直腸膨大部と呼ばれる内腔が広がった領域があり、 通常ここに糞便をストックして排泄を行います。
陰茎の平均的サイズから考えると、肛門性交の際、陰茎の頂部は直腸内に到達すると考えられます。


【肛門性交のリスク①:感染症】
肛門性交には、通常のセックスと比較して、発生する感染症にある程度の特異性が有り、 また解、剖学的機能の関係上、疾患によっては感染リスクが上昇しやすい傾向が有ります。
本行為に伴い合併しやすい代表的な性感染症は、淋病、単純ヘルペス、クラミジア、尖圭コンジローマ、 ランブル鞭毛虫症、アメーバ症などです。
通常のセックスに伴う性行為感染症としても一般的なものも含まれます。

アメーバ赤痢ならびにアメーバ性肝膿瘍は、肛門性交を行う人に発生する可能性が高い感染症です。
アメーバ赤痢とは赤痢アメーバによって感染する腸アメーバ症の事です。
大腸の潰瘍性病変や損傷部から侵入し、肝臓に膿瘍を形成する疾患になります。
本症は本来、発展途上国に発生が多い疾患です。

また、肛門管等は、その解剖学的な機能の関係上、精液を直腸内に貯留させるため、感染率を上昇させます。
これは、元々、糞便を直腸膨大部にてストックする機能が有る為です。
膣性交であれば、セックスの後に感染源である精液が体外に流出しやすいのですが、 肛門性交では、感染源の精液が直腸内に長時間残留する可能性が高くなります。


【合併症】
長期・頻回に及ぶ肛門性交によって、括約筋障害が慢性化して、便失禁が定常化する可能性がございます。
また、短期的にも乱暴な挿入などによって括約筋障害や腸管壁の損傷が発生する事が有ります。


【リスクマネジメント】
本ページは、肛門性交を推奨している訳ではありません。
しかし、本行為をする場合には、精液を媒介した感染症の発生率が高いのは事実であり、 コンドームなどの感染予防デバイスの使用を推奨致します。
また、本行為に伴う括約筋障害や腸管壁の障害を予防する為にも、 挿入を容易にするための潤滑剤等の使用が、コンドームの使用と合わせて推奨されます。


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