日本の女性はFSFIによる性障害に関する機能調査上、他国に比較して相対的にこれが低い傾向が有ります。



日本人女性のFSFIを利用した性障害に関する機能調査

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【日本人女性と性障害の機能調査】
日本人女性の性機能をFSFI:女性性機能指数にて調査し、 その性障害のレベルを解析した報告によると、 日本人女性には性障害が比較的多く、その性機能は国際的な平均に比較して低い傾向が有り、 前出している日本人男性の調査と合わせると、 日本人の総体的な性機能の低さが示唆される結果となりました。
性障害とは女性性機能障害(Female Sexual Dysfunction;FSD)とも呼ばれ。 その内容は「オルガズムの問題」、「性交疼痛」、「性嫌悪」、「性的欲求や興味の問題」、「性 的興奮の問題」、「ワギニスムス(腟痙攣)」などに分類されます。
日本人女性の性障害に関する機能調査は、とても頻度が少なく、 性障害にしても性機能にしても、その本質は長らく不明瞭な状態でありました。 しかし彼女らにこうした悩みが無いわけでは決してなく、 性交痛などに代表される性交困難症、または不妊症などの生殖障害で悩む女性はとても多く、 これらの原因の中にこうした女性ならではの性障害の問題が介在している可能性は高いと推測されます。
なぜに日本人女性の性障害に関する機能調査が他国に比較して低頻度であったかという理由には、 我々日本人の性に対する認識が大きく影響している可能性が有ります。 総じて日本人はこうした事柄に対して非常に奥ゆかしく、 公共の場でそれをおおっぴらにディスカッションする事を避ける傾向が有りました。 こうした傾向は子供も含めた風紀のコントロール上、 マクロな視点では望ましいとも言えますが、 性的なものを公的環境から不透明化する事で、 犯罪の密室化を招いたり、 性障害に関する情報の伝播をゆがめてしまったりと、 それに伴う弊害を生み出す土壌としても、 こうした環境が機能する状況が有りました。
殊に性に関するストレートかつ正確な情報の伝播が難しい状況によって、 若者を中心に間違った知識が横行したり、 性障害を治療するにあたっての、 医学的統計資料の収集を難しくさせてしまう事は大きな問題をはらんでいます。
こうした性的な障害を治療するにあたっての統計的資料の収集が難しい状況は、 女性においては男性よりも顕著と言えます。
しかし、インターネットというある意味での匿名性の高い情報ツールが一般化する事により、 こうした状況が打開されつつあります。 つまりインターネットを介した状況が匿名性を上げる事で、 質問紙を使用した性障害に関する機能調査が有る程度、収集し易い状況になってきたのです。
本項ではFSFIというスケールを利用した、 日本人女性の性障害に関する機能調査の報告を中心に、 日本人女性の性障害や性機能のこれからなどに関して記載させていただいていおります。 どうぞ、ご参照くださいませ。


【FSFI:女性性機能指数とは】
FSFI:女性性機能指数とは何かと申しますと、 FSFIは国際的に使用されている女性の性の障害や機能に関する調査様式で、 計19問の質問に対して、それぞれ5つの選択肢から、 自分の状況に合致するものを選択してもらい、 そのFSFIの結果から、記入者の性障害などをある程度、包括的に表現できるものになります。
FSFIによって対象者の性的な状況を数値化する事が出来るため、 そのFSFIの数値を個人と集団との間で比較をしたり、 個性の違う集団と集団との間でFSFIを比較する事が出来るようになりました。
このFSFIの質問紙で言う所の性行為とは愛撫、前偽、マスターベーション、膣性交を含んでおり、 いわゆるセックスとセックスに関連した行為を包括的に内包しています。
また性的刺激とはパートナーとの前偽、マスターベーション、性的な空想なども内包されます。
現在の、日本では日本語版FSFIが一般的と言えます。


【日本人女性の性障害に関する機能調査の報告】
この報告は20歳から79歳の女性、合計1034人から、 このFSFIを利用して得られた性障害に関する機能調査の結果を回収し、まとめたものとの事です。
このFSFIを利用した調査はインターネットを利用して回答を収集しており、 前提として匿名性が非常に高いものとして設定されています。
この調査の結果として、 性障害に関する機能調査におけるFSFIの全体の平均値は14.6点であり、 年代別によるFSFIの平均値に関しては20代が21点、30代が17.3点、40代が16.4点、50代が13.1点、 60代が10.9点、70代が9.78点という平均値を示す結果となりました。
この結果は、 2000年に報告された海外の女性における性機能調査でのFSFIの平均値30.5点を大きく下回るもので、 なおかつ同報告における性的興奮障害を罹患している方のFSFIの平均値が19.2である事を考えると、 日本人女性の性障害・機能の調査におけるFSFIの平均値は、 海外における性的興奮障害の罹患者のFSFI平均値を下回るという驚くべき結果となりました。


【日本人女性と性障害のこれから】
FSFIを利用した日本人女性の性障害に関する機能調査の結果、 その平均値が海外における性的興奮障害の罹患者を下回ると言う報告は、 真にショックな内容ですが、 しかしこの調査において、 このFSFIに回答する事自体に抵抗感を感じると報告した人が37.5%も存在している事は、 この母集団の心理的傾向がFSFIの結果に影響した可能性も示唆されます。
匿名性をこれほど高度に高めた調査においても、 性障害に関する機能調査への回答に抵抗感を感じるという日本人女性のマインド自体が、 その回答の傾向にネガティブな選択肢を選ばさせてしまっている状況は十分に考えられ、 こうした性障害の調査に抵抗感を感じる女性が1/3強存在するという、 その傾向自体が、あるいはまず改善を検討すべき事柄なのかも知れません。
日本人社会の今後の少子高齢化の進行を思えば、 男性のみならず女性においてもこうした調査の結果が低いという状況は、 国家の存亡に関わる問題とも言えます。 しかし調査の絶対数が少ない事は、いまだ全容を正確に表現できてない可能性も示しており、 今後は、こうした性障害などの機能調査を男性・女性問わず、 どんどん施行して行き、データを重ねて収集すべきと思われます。 特に女性の性障害に関する機能調査の現在の頻度では、 報告同士を比較検討する事もままならないので、 より積極的な介入が望まれる所です。
大きな調査を重ねる事で日本人の真の性障害・機能の有り様が浮き彫りになって行ければ、 その結果の出現に伴って、 本邦における少子高齢化などへの対策が自然に生まれいずる可能性が期待されます。 後報を期待します。
(記載:日本性機能学会専門医-須田隆興)


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