精巣決定遺伝子と性別


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精巣決定遺伝子とY染色体


【精巣決定遺伝子とは】
精巣決定遺伝子sex-determining region Yとは、 SRY遺伝子とも呼ばれ、胎児の分化されていない性腺を、 精巣に分化するように誘導するY染色体上の遺伝子になります。 この精巣決定遺伝子が作用する事によって精巣ができ、順次男性化が進行して行きます。 精巣決定遺伝子の作用機構は、 女性の子宮の原基であるミュラー管を抑制させる因子:ミュラー管抑制因子などの発現促進を促す事で、 男性化を進めます。


【精巣決定遺伝子の異常により発生する疾患】
この精巣決定遺伝子が障害される事により、さまざまな性分化障害が出現します。 遺伝子型は46XXで女性なのに男性型の表現型を示すXX男性や、 遺伝子型は46XYで男性なのに女性系の表現型を示すスワイヤー症候群などがあります。 これらは精巣決定遺伝子の移動や突然変異によって発生します。


【精巣決定遺伝子異常により発生するXX男性とは】
精巣決定遺伝子の異常により発生するXX男性とは、 性逆転症候群の一種で、遺伝子型が46XX女性でありながら、 精巣を有するなどの内生殖器・外生殖器の男性化がみられる疾患になります。 本来、Y染色体上にある精巣決定遺伝子がX染色体上に移動してしまい、 精巣決定遺伝子をもつX染色体が誕生します。 この精巣決定遺伝子をもつX染色体がXX男性発生の主因とされています。 XX男性はこうした形質の基本が男性でありながら、尿道下裂や女性化乳房などを合わせて持っている場合があり、 これら形質の異常や男性不妊によって本症であると気が付かれる事が多いとされています。


【精巣決定遺伝子異常により発生するスワイヤー症候群とは】
精巣決定遺伝子の異常により発生するスワイヤー症候群とはXY型純粋性腺形成異常症とも呼ばれ、 遺伝子型が46XYでありながら、内生殖器・外生殖器の女性化がみられる疾患になります。 性腺は痕跡的な精巣があり、30%以下の頻度で腫瘍化するとされています。 ゆえにスワイヤー症候群の性腺は取り除く必要があると言われています。 本症はY染色体上にある本遺伝子が突然変異を起こすことで発症します。 その他にもスワイヤー症候群を発症する因子が有りますが、SRY遺伝子の突然変異によるものが 10~20%と言われています。


精巣決定遺伝子の移動によって、表現型が男性化した女性型遺伝子所有者は、 男性としての不妊症すなわち男性不妊からXX男性である事が判明する事があります。 勃起不全:EDも射精の障害から男性不妊を示すことがあります。


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