ばいあぐらは新宿ライフクリニック。
【人工肛門とED/勃起不全】
人工肛門を使用している患者さん、
特に直腸癌などで人工肛門増設に至った患者さんは、EDの発症頻度が高いと言われています。
人工肛門を増設するに至った原因疾患の影響や、人工肛門の増設ならびに原疾患に対する手術の影響、
人工肛門の存在自体による心因的影響など、様々な影響が、ED発症に関与しています。
EDの発症原因によっては、
人工肛門に対する工夫やバイアグラ
、レビトラなどの勃起不全治療薬によって勃起機能を改善できる可能性も有ります。
本稿では、こうした人工肛門に伴う勃起機能障害に関して、
原因、対策などを詳述しております。
ご参考下さい。
【人工肛門とは】
人工肛門とは、手術的に増設された腹壁の消化管排泄口の事で、ストーマとも呼ばれます。
人工肛門は、小腸で増設する場合と、大腸で増設する場合とが有り、正式には、
小腸に人工肛門を作る場合を回腸造瘻術、大腸に人工肛門を作る場合を結腸造瘻術と言います。
また、その形式は、ループ式と終末式が有り、
永久的な人工肛門は、終末式が採用される事が多く、
一方、一時的な人工肛門の場合は、多くは、ループ式が採用されます。
EDの合併頻度が高い方式は、大腸に人工肛門を作成する結腸造瘻術による、
永久的な人工肛門(終末式人工肛門)です。
これは直腸癌の摘出に際し、肛門を温存できなかった場合に対して施行される事の多い処置です。
直腸癌とは、大腸の末尾、肛門の直上の直腸にできる大腸癌の事です。
ほとんどが腺癌とされています。
現在、本邦においても急増中の大腸癌の中で、
S状結腸癌に続いて、二番目に多いとされる部位です。
解剖学的には、直腸S状部下縁から上がS状結腸で、下が直腸になります。
また、直腸自体も上部と下部に分けられます。
この上部直腸にできる癌や下部でも早期発見のものに対しては、
人工肛門の増設が必要ない場合が有りますが、
発見が遅い下部の直腸癌は、広範な外科切除を要する為、肛門機能の温存が難しく、
人工肛門が増設されるケースが多くなります。
本邦はこの大腸癌(直腸癌)が急増しており、
その一因として、食生活の欧米化に伴う動物性蛋白の消費量増加が関連していると想定されています。
食生活の欧米化は、生活習慣病ばかりか、悪性腫瘍の増加ももたらしている可能性が指摘されています。
【人工肛門、直腸癌におけるEDの発生機序】
EDの合併機序は、大きく3種類の因子の関連が想定されます。
まず、直腸癌の手術が、勃起機能に大きく関連する可能性があります。
直腸は骨盤内臓器に当り、直腸の近傍には、多くの勃起に重要な働きをする神経が走行しています。
また、勃起機能に直接的に関連していない神経でも、間接的に勃起に関与している場合も有り、
骨盤内臓器に対する手術自体が、神経障害によるED発症のリスクとも言えます。
例えば、直腸同様の骨盤内臓器である前立腺や膀胱に対する処置も、
勃起不全を発症する事が有ると報告されています。
続いて、直腸癌自体の影響が勃起機能に大きく関連する事が有ります。
癌は、慢性重症性疾患の側面も有り、その存在下では、代謝や栄養状態の悪化、
消耗状態の惹起など、全身的な影響を与えます。
体重の減少なども、こうしたものに関連して発生していると言えますが、
EDも体質性勃起不全症と言って、慢性的な重症疾患である癌の悪影響によっても発症する事が有ります。
最後に、人工肛門の存在自体に伴う心因の影響が、
EDを発症するケースをご紹介します。
人工肛門とは、腹壁に半透明の排便用の袋を設置する必要がございます。
視覚で認知される排便用の袋の存在は、性行為中にそれを見られてしまうことが、性交への抵抗感を生み、
EDを発症させる原因(心因)となる事が有ります。
その他、人工肛門に伴う匂いや、動きに伴う排便用袋の離脱への心配など、
様々なものが同様の心因として作用する可能性が有ります。
国内のある臨床発表によりますと、人工肛門を増設されている男性11人の性機能調査上、 IIEF:国際勃起機能スコアが13点の中等症ED1例を除いて、 残り全員が5点以下の重症EDであったと報告されています。 年齢というバイアスを差し引いたとしても、 人工肛門によって、かなり高率にED誘発、合併している可能性が示唆されます。
【対策】
人工肛門の外観や匂い等に伴う心因性EDでは、、ご自宅における工夫やセックスパートナーの理解・協力で、
回避もしくは改善できる可能性が有ります。
外観に関しては、明かりを消す、遮光カーテンを用意するなど、
視界をある程度遮る事が、対策となり得ます。
また、それが出来なかったとしても、排泄用の袋にカバーを取り付けたり、腹巻を着用する、
性交時の体位を腹壁が見えないものにする事で、対策とする事が可能と思われます。
匂いに関しても、香水や消臭剤などをこまめに使用する事で、気にならないレベルに調整する事が可能です。
以上の工夫を試みていた抱きたいのですが、心因の削減上で、何よりも大切なのは、
セックスパートナーである恋人や奥さんの暖かな協力と理解であることを、心にとめていてください。
次に、直腸癌・人工肛門増設の手術に伴う影響についてですが、 昨今は、手術前の聞き取り上で、挙児希望などの性交に対するニーズが強い場合は、 勃起機能などに関連性の高い神経を温存する手術が選択される場合が有ります。 勿論、救命優先になるので、選択できない状況もございますし、 選択したとしても、部分的に神経が障害されてしまって、それでも勃起機能障害を発症してしまう事も有ります。
心因性にしても手術による神経障害にしても、レベルが軽度にものは、 バイアグラ・レビトラ ・シアリスのようなED治療薬による治療効果が期待できます。
written by れびとら処方なら新宿ライフクリニック.