ダイアモックスとシアリスの併用は、より高山病を予防する


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高山病予防に対するシアリスcialisとダイアモックスの併用の可能性

Tadalafil and Acetazolamide Versus Acetazolamide
                for the Prevention of Severe High-Altitude Illness.
                         J Travel Med 2012; 19: 308–310.


新宿でシアリスcialisは新宿ライフクリニック.


高地障害症候群は、高山病や高地脳浮腫、高地肺浮腫に分類されます。
一般の方は、高山病が重症化したものが高地肺浮腫であり、高地脳浮腫であると考えてください。
高山病の症状は、軽症であれば、軽い頭痛、労作時の息切れ、中等症では、しばしば、二日酔い様と表現され、頭痛、おう気おう吐、倦怠感が生じます。 重症では、頭痛、呼吸困難が増強し、乏尿、運動障害や意識障害を来たし、最悪、死に至ります。
しばしば、睡眠とともに高山病の発症が見受けられます。鎮痛剤や睡眠薬は、高山病を増悪するとされています。

高山病は、2,500m以上の高所登山で、しばしば認められる疾患です。 富士山でも標高3,000m以上有りますので、富士山でも高山病の発症に注意が必要です。
さらに、アフリカのキリマンジャロは、5,895mございまが、 通常、キリマンジャロの登山では、高地に順応するには短すぎる、5-6日間の短時間で登頂を目指すことになります。
勃起不全治療薬であるシアリスですが、勃起不全以外にも、原発性肺高血圧症や前立腺肥大症にも適応がございます。 様々な効果を有するシアリス(タダラフィル)ですが、高山病予防にシアリスが有効であるとの報告です。


高地肺浮腫は、低酸素によって引き起こされる肺血管の収縮反応により、肺高血圧症が生じるために発症します。
シアリスcialis(タダラフィル)は、フォスフォジエステラーゼ5阻害剤(PDE5阻害剤)であり、 高地肺浮腫の既往がある方などでは、高地肺浮腫のリスクを低減する可能性が指摘されていますが、 シアリス等のPDE5阻害剤の重度の高山病に対する効果は、いまだ、評価されていません。
加えて、ダイアモックス(アセタゾラミド)を高山病予防として使用していても、キリマンジャロ登頂にともなう重篤な高山病の頻度が増加しているとのことです。
そのため、新たな高山病予防薬剤としてシアリスcialisが注目され、高山病予防薬としての効果を、評価されるに至っています。
この研究の目的は、シアリスcialisを、通常の高山病予防薬であるダイアモックス(アセタゾラミド)に追加投与をした場合の、キリマンジャロ登頂に伴う高山病の予防効果を検討されています。

ここでは、シアリスcialis20mgとダイアモックス(アセタゾラミド)125mgを投与しています。
全てのグループは、6日間かけてキリマンジャロの登頂を目指しています。
睡眠、休憩を取る高度は、3,000m、3,800m、4,600m、4,100m、4,700mで、6日目に5,895mの山頂に登頂し、3,200mまで下山する予定です。
シアリスの服薬は、登頂開始3日目に行っています。

登山参加者の条件として、18歳未満、重度の高山病(高地脳浮腫、高地肺浮腫)の既往、心臓疾患、 シアリスの服用禁忌、ダイアモックス(アセタゾラミド)の服用禁忌である場合、除外しています。
エンドポイントは、重度の高山病(高地肺浮腫、高地脳浮腫)の発症とし、高地肺浮腫の診断は、1991年の国際低酸素血症シンポジウムの診断基準に従い、 高地脳浮腫の診断は、ルイーズ湖で行われたシンポジウムの診断基準に従っているとの事です。
全てのグループに、高山病の診断と治療のトレーニングを受けた内科医を同伴させ、評価しているとのことです。
二次エンドポイントは、高山病の発症で、診断は、ルイーズ湖で行われたシンポジウムの診断基準に従い、2日に一度、高山病かどうか問診票にて評価を行っています。

2006年から2009年にかけて、5グループ68名の参加希望者があり、55名の参加者は、 参加基準を満たし、51名がこの研究を完遂しております。
51名の参加者中8名に重度の高山病の出現を認めています。 重度の高山病は、シアリスcialis服用群で、有意に発症率が低い事が明らかになりました。
(シアリス服用群4.2%vs対象群25.9%:オッズ比8.05)
最も差が生じたのは、高地肺浮腫の発症で、シアリス服用群で、4.2%であったのに対し、対象群で22.2%に認められています。
重度の高山病と診断された者は、登頂日に症状が増悪しています。登頂から4-5日目、シアリスcialis群で、対象群に比較しても、高山病が増悪しています。

この報告では、高地肺浮腫、高地脳浮腫の既往のない者に対するシアリス(タダラフィル)のダイアモックス(アセタゾラミド)への追加投与が、 これら高地肺浮腫、高地脳浮腫のリスクを低減するとしています。
最も差があったのは、高地肺浮腫の発生頻度が、シアリス併用群で低率であったことです。
この結果は、過去に報告された高地肺浮腫の既往がある者(高地に過敏である者)に対する、 シアリスやデキサメサゾンの予防効果と一致しています。 今回の報告は、高地肺浮腫の既往が無い者に対しての効果です。 これにより、既往があろうが、なかろうが、シアリスの高地肺浮腫の予防効果が示されたことになります。
シアリス含むPDE5阻害剤は、cGMPの分解を抑制し、血管を拡張させます。 そのために、低酸素血症による肺血管の収縮を抑制し、肺高血圧症の発症を抑制すると考えます。

重篤な高山病の発症は、特に極高所を目指す登山家にとって、致命的な危険となりえます。
一般的には、一日あたり300m程度の登山は、重度の高山病の予防になるとされていますが、キリマンジャロやヒマラヤなどでは、 より短時間での極高所の登頂を目指すことになり、推奨される高地順応時間を満たすことは稀です。
このような短期間の登頂は、ダイアモックス(アセタゾラミド)を使用していても、重度の高山病を高率で引き起こします。 実際に、ダイアモックス(アセタゾラミド)を予防的に服用していてもキリマンジャロ登頂では、 80%程度に高山病が発症したとの報告もあります。 さらには、高山病の発症は90%におよび、高地肺浮腫は18%、高地脳浮腫は13%に認めたとの報告もあります。
キリマンジャロでは、1996年から2003年にかけて、14名の登山家が高山病の発症により命を落としたとされています。

シアリスの服用により、標高4,100~4,700m地点で、軽度の高山病様の有害事象が認められています。 対象群に比較し、頭痛の発生頻度が上昇しています。 これらは、登頂日には認められていません。

シアリスの副作用として、高地低地関係なく、ED治療薬として使用された場合に、頭痛が生じることが知られています。 もしかすると、今回認められている頭痛の発症は、これと関係があるのかもしれません。 低地にいる場合、逆に副作用としての頭痛が表立ってしまったのかもしれません。


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