Effects of phosphodiesterase-5 inhibitor vardenafil
on testicular androgen-binding protein secretion,the maintenance of foci of advanced spermatogenesis
and the sperm fertilising capacity in azoospermic men.
Andrologia 2012, 44, 144–153.
新宿でレビトラは新宿ライフクリニック.
不妊治療中の男性で、排卵日に合わせてセックスをするために、ED治療薬を使用する男性がいます。
実際に、産科でも、しばしば、男性用に、ED治療薬が処方されています。
ED治療薬の使用は、精子への影響は無いのでしょうか?
ここでは、無精子症で挙児希望の男性で、レビトラを使用した場合における、
卵細胞質内精子注入法に対する影響が調べられています。
閉塞性無精子症および閉塞性無精子症の男性に、レビトラ(バルデナフィル)20mg/日を10~14週間服薬していただき、
その前後で、精巣に対する組織生検を行っています。
ここでは、アンドロゲン結合蛋白と言う、精巣内のセルトリ細胞の機能を反映する物質を測定しています。
アンドロゲン結合蛋白は、精巣機能が低下すると、その分泌が低下するとされています。
今回の報告では、非閉塞性無精子症の男性では、両側の精巣から精子が得られた場合と、
片側のみで精子が得られたとしています。
片側でのみ精子が得られた例での、その精巣におけるアンドロゲン結合蛋白の濃度が、
精子を得られなかった反対側の精巣に比較し、有意に高値であったとしています。
さらに、閉塞性無精子症の例では、よりアンドロゲン結合蛋白の濃度が高値であったとしています。
レビトラ服用後の精巣生検からは、非閉塞性無精子症例、閉塞性無精子症例ともに、
アンドロゲン結合蛋白の濃度が増加していることが認められています。
このことから、レビトラの服用は、アンドロゲン結合蛋白の増加を促すと考えられます。
得られた精子による卵細胞質内精子注入法の成功率は、レビトラ服用前後で、変化が無かったとしています。
さらには、精子数や精子生成にも変化が無かったとしています。
この報告では、単純にアンドロゲン結合蛋白の増加を示したのみで、その他の有益な結果が得られていませんが、
もう一歩踏み込んで、このアンドロゲン結合蛋白の増加は、
どのような利益をもたらす可能性があるのか考察されてます。
先にも述べましたが、アンドロゲン結合蛋白は、精巣機能や精巣内のセルトリ細胞機能を反映していると言えます。
つまり、アンドロゲン結合蛋白を増加させることにより、精巣機能を維持できる可能性があります。
レビトラが、なぜアンドロゲン結合蛋白を増加させたのでしょうか?
レビトラは、フォスフォジエステラーゼ5(PDE5)阻害剤に分類され、サイクリックGMPの分解を抑制いたします。
精巣の管腔周囲の細胞におけるPDE5の発現は、管の収縮性を制御し、
精子の輸送に影響を与える可能性が指摘されています。
加えて、管腔周囲の細胞おけるPDE5よるサイクリックGMPの制御は、細胞外器質と成長因子の分泌にも影響を与えます。
分泌された一部の物質は、セルトリ細胞に好影響を及ぼします。
さらに、ライデッヒ細胞におけるPDE5の発現は、分泌時の重要な役割であるとされています。
一方、セルトリ細胞では、PDE5の発現が認められなかったとする報告もあり、
セルトリ細胞では、PDE5以外のPDEが、サイクリックGMPの代謝に関与しているとされています。
実際、セルトリ細胞では、サイクリックGMPの加水分解は、カルシウム/カルモジュリンにより制御され、
この加水分解反応は、PDE1によるものとされています。
このため、レビトラが、直接的にセルトリ細胞に作用するのでなく、間接的に作用していると考えられます。
レビトラにより、PDE5が阻害されたライディッヒ細胞が活性化し、分泌能とテストステロン合成を活発化し、
セルトリ細胞を活性化したと想像されます。さらに、精巣の管腔周囲の細胞からの成長因子や、
その他の物質の分泌促進も、一因の一つと推測されます。
以上は、あくまでこの文献中の仮説であり、今後の研究報告いより明らかになることも多数あるとは思いますが、
レビトラ(タダラフィル)の可能性、PDE阻害剤の可能性を指摘しています。
この報告以前にも、レビトラを服用すると、精子数、運動能が増加するという報告がございました。
また、逆に、影響はないとする報告もあります。まだ、一定の見解が得られていません。
生殖に関わる、新しい命にかかわる問題ですので、簡単に治験をするというわけにもいかないと思いますが、
今後の報告に期待がもたれます。
このPDEという分野は、勃起不全以外にも、まだまだ不明な点も多く、今後も、興味深い報告がされると思われます。