抗精神病薬の性欲減退,勃起不全EDに悪影響を来たす可能性が高い



抗精神病薬の性欲減退,勃起不全EDに及ぼす影響

Sexual Dysfunction in Male Subjects Receiving Trifluoperazine, Risperidone, or Olanzapine: Rates Vary With Assessment Questionnaire.
Prim Care Companion CNS Disord. 2012;14(2).


新宿でバイアグラは新宿ライフクリニック.


統合失調は、その有病率が100人に1人と、比較的頻度の高い精神病です。 ここ数年、統合失調症の治療薬は、様々な新薬が登場しており、治療の選択肢が増えています。 治療により、全く健常人と同様に生活されている方も、数多くいらっしゃいます。 当然ですが、統合失調症の方でも、恋をすることも可能ですし、ご結婚されている方も当然いらっしゃいます。 挙児希望の方もいらっしゃいます。
統合失調症自体が、性欲減退、勃起不全EDの原因となる可能性もございますが、統合失調症治療薬が、高頻度に薬剤性性欲減退、勃起不全EDを引き起こすことが、知られています。
これらすべての性機能の副作用を含めると、相当数に上るとされています。

統合失調症に使用される抗精神病薬は、そのほとんどが、脳内の神経伝達物質であるドーパミンを抑制いたします。 これに伴い、脳下垂体から分泌されるプロラクチンというホルモンが過剰に分泌されるようになります。 高プロラクチン血症は、男性では性欲減退や勃起不全ED、乳汁分泌症などを引き起こし、女性では、生理不順(月経不順)等を引き起こします。

抗精神病薬の性機能への副作用は、経度の性欲減退から、勃起不全、オーガズム障害、完全な性機能障害まで、様々です。
ある報告では、25-60%に、性欲減退や勃起不全EDなど、何らかの性機能障害が副作用として出現し、この性機能障害が出現が、服薬を順守しない原因にもなりうると指摘しています。
初期の抗精神病薬や、リスパダール(リスペリドン)は、比較的、性機能障害の副作用が多く、セロクエル(クエチアピン)、ジプレキサ(オランザピン)、エビリファイ(アリピプラゾール)、ジプラシドン(本邦未発売)は、比較的性機能に対する影響が少ないとされています。
リスパダール(リスペリドン)、セロクエル(クエチアピン)、ジプレキサ(オランザピン)を比較した報告では、最も性機能に影響を及ぼしたのはリスパダール(リスペリドン)で、逆に、最も性機能に影響を与えなかったのは、セロクエル(クエチアピン)であったとしています。
また、2002年以降の総説では、性機能障害を及ぼす薬剤順として、
リスパダール(リスペリドン)>定型抗精神病薬(セレネース:ハロペリド―ル)>ジプレキサ(オランザピン)>セロクエル(クエチアピン)>エビリファイ(アリピプラゾール)
としています。
統合失調症治療薬は、性生活にいては、マイナスの要素を含みますが、薬剤によって、性欲減退、勃起不全EDに対する影響は、様々です。
一般的には、バイアグラ、レビトラシアリスの使用、抗精神病薬との併用は、問題ございません。

多くの研究報告が、各々違った性機能障害の評価スケールを使用しているため、研究同士の比較が難しく、そのため、どの薬剤が、最も性機能障害を来たしやすいか判断する事が困難です。

ここでは、セロクエル(オランザピン)、リスパダール(リスペリドン)、トリフロペラジンの勃起不全EDに対する影響を、3種類の問診票(the Arizona Sexual Experience Scale (ASEX)、the Psychotropic-Related Sexual Dysfunction Questionnaire (PRSexDQ)、the sexual side effect section of the modified Udvalg for Kliniske Undersøgelser Side Effect Rating Scale (UKU) )を用いて、各薬剤を比較しています。
100名のインド北部の精神疾患に罹患した被験者を対象としています。 セロクエル(オランザピン)50例、リスパダール(リスペリドン)30例、トリフロペラジン20例。薬剤の選択は、研究に当った施設で、多く処方している抗精神病薬を対象にしているためとのことです。
この結果、リスパダール(リスペリドン)が最も性機能に与える影響が強く、トリフロペラジンと続き、セロクエル(オランザピン)が最も、性機能に与える影響が少なかったとしています。 これは、評価にあたり使用した問診票に因らず、リスパダール(リスペリドン)が最も性機能障害に影響を与えています。
性機能障害の出現率は、用いた問診票により差を認めていますが、1/3の被験者に、何らかの性機能障害が認められております。
最も頻度の高い性機能障害は、性欲減退です。(ただし、ASEXのリスパダール(リスペリドン)を除く)
その他の性欲減退、勃起不全含む性機能障害も多数生じています。
以下に、一覧表を記載いたします。ご参考にしてください。

抗精神病薬と性機能障害
比較項目 トリフルオペラジン
n=20
リスパダール
n=30
ジプレキサ
n=50
X2
ASEX
性欲減退 5(25) 10(33) 11(22) 1.26
性的興奮 1(5) 7(23) 5(10) 4.36
勃起不全 1(5) 8(27) 8(16) 4.06
オーガズム障害 4(20) 11(37) 10(20) 3.11
オーガズム不満 4(20) 12(40) 10(20) 4.36
性機能スコア平均 14.2(3.68) 16.5(5.0) 14.1(4.3) 3.10
性機能不全 4(25) 13(30) 8(16) 7.80
PRSexDQ
性欲減退 5(25) 10(33) 11(22) 1.26
射精遅延 1(5) 6(20) 4(8) 3.67
無射精 4(20) 8(27) 7(14) 1.97
勃起不全 3(15) 8(27) 8(16) 1.64
性機能不全総数 7(35) 15(50) 15(30) 3.26
1domain以上の性機能不全 4(20) 10(33) 9(18)
Modified UKU
性欲減退 6(30) 10(33) 11(22) 1.26
勃起不全 1(5) 8(27) 8(16) 4.06
射精不全 4(20) 8(27) 7(14) 1.33
オーガズム不全 4(20) 11(37) 10(20) 1.33
性機能不全総数 8(40) 15(50) 17(34) 2.00
1domain以上の性機能不全 4(20) 10(33) 12(24)

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