バイアグラの胃粘膜保護効果



解熱鎮痛薬による胃粘膜障害をバイアグラは改善しうる

The role of sildenafil citrate in the protection of gastric mucosa from nonsteroidal anti-inflammatory drug-induces damege.
Turkish Journal of Tauma & Emergency Surgery 2007;13(4):268-273


新宿で正規バイアグラ.新宿ライフクリニック


非ステロイド性解熱鎮痛薬(NSAIDs)は、最も使用頻度の高い薬剤の一つですが、副作用に胃腸障害が挙げられます。 最近では、より胃腸障害の少ないCOX-2選択的阻害作用を有す非ステロイド性解熱鎮痛薬(NSAIDs)も開発されておりますが、 やはり、副作用の胃腸障害が完全に消失したわけではございません。
バイアグラシルデナフィル)等のED治療薬は、出血の可能性がある胃潰瘍がある場合、禁忌とされています。 それは、ED治療薬の血流改善作用が、胃潰瘍からの出血を助長させるためです。
しかし、今回の報告は、バイアグラ(シルデナフィル)が非ステロイド性解熱鎮痛剤(NSAIDs)いより生じた胃粘膜障害の改善作用を有していたとするものです。
インドメタシンンの副作用により生じた胃潰瘍に対して、バイアグラ(シルデナフィル)が有効かどうかが、研究報告されています。
では、読み進めてみます。


体重が200-220gの30匹の雌ラットに対して、25mg/kgのインドメタシンを経口投与し、これにより生じた胃潰瘍の観察を行っています。
ラットは、10匹ずつ3グループに分けられ、グループ1には50mg/kgのバイアグラ(シルデナフィル)を経口投与し、 グループ2には、抗胃潰瘍薬であるオメプラゾールを20mg/kgを経口投与しています。 これに対し、グループ3は、生理食塩水を0.1ml/kgを経口投与とし、対象群としています。
各薬剤は、インドメタシンの投与30分前に投与することとし、インドメタシン投与後6時間の時点で、 ラットから胃を摘出しています。 摘出されたラットの胃は、胃障害、胃潰瘍の程度、範囲等を評価しています。
また1gの胃組織を取り出し。これを検査にかけ分析しています。
一酸化窒素NOの測定のため、摘出した胃組織を撹拌し、遠心分離をかけ、 得られた上清を検査にかけ、二酸化窒素イオン、三酸化窒素イオンを測定し、これを血清一酸化窒素の指標としています。
病理組織学検査のため、胃組織をパラフィンで固定し、ヘマトキシリン-エオジン染色を行い、 2名の病理医に粘膜の出血、潰瘍、びらん、うっ血、浮腫、壊死などを評価していただいています。

胃潰瘍の平均数は、バイアグラ(シルデナフィル)群で4.0±2.3、オメプラゾール群で3.0±2.、対象群で21.4±8.4と、対象群で、非常に多くの胃潰瘍の形成が認められています。
バイアグラ(シルデナフィル)服用群あ、対象群と比較し、有意に胃潰瘍形成を抑制しており、 バイアグラ(シルデナフィル)群では、抗潰瘍薬であるオメプラゾールの投与群と同程度の胃潰瘍発生抑制効果を示しています。
胃潰瘍の面積は、バイアグラ(シルデナフィル)群で4.9±2.6mm2、オメプラゾール群で3.7±2.3mm2、対象群は24.6±9.3mm2で、 やはり、バイアグラ(シルデナフィル)群は対象群に比較し、有意に胃潰瘍の面積が小さく済んでいます。

胃組織の一酸化窒素NOの濃度は、バイアグラ(シルデナフィル)群が最も高濃度で、オメプラゾール群、対象群と続きます。
バイアグラ(シルデナフィル)服用群は、対象群に対して有意に一酸化窒素NO濃度が高値を示しています。

病理組織学的には、バイアグラ(シルデナフィル)服用群において、もっと出血、局所的な組織壊死が少ないことが示されています。
対象群では、広範な組織壊死や出血、粘膜化の浮腫が、多数認められています。

胃潰瘍の主だった原因は、ピロリ菌の感染、非ステロイド性解熱鎮痛剤の服用、ガストリノーマによる胃酸分泌過多です。
ある報告によれば、慢性関節リュウマチ患者100名のうち13名は、非ステロイド性解熱鎮痛剤を服用し、重症な胃腸障害に悩まされているとしています。
米国における慢性関節リュウマチやその他関節炎患者は、毎年16500人が、非ステロイド性解熱鎮痛剤に関連した副作用で死に至っているとしています。
非ステロイド性解熱鎮痛剤の副作用を低減する事は、非常に大きな利益を得ることになります。

非ステロイド性解熱鎮痛薬は、胃粘膜でCOXを阻害します。 COXの阻害は、組織保護作用のあるプロスタグランジンの合成を抑制します。 インドメタシンは、COX-1を阻害する事により、胃粘膜障害を生じさせます。
プロスタグランジンE2の合成が低下し、胃酸分泌が亢進し、胃粘膜やミエロペルオキシダーゼの活性、胃運動が亢進するとしています。
多くの薬物が、非ステロイド性解熱鎮痛剤による胃粘膜障害の予防のために使用されます。
スクラルファートやH2受容体阻害剤、プロスタグランジンやプロトンポンプ阻害剤などです。
バイアグラ(シルデナフィル)は、本来は、勃起不全ED治療薬です。 バイアグラ(シルデナフィル)の有するフォスフォジエステラーゼ5阻害作用は、 一酸化窒素NOの刺激により誘導された、細胞内のサイクリックGMPの分解を防ぎます。

今回の報告では、バイアグラ(シルデナフィル)の胃粘膜保護作用が認められました。
その機序を推測するに当たり、バイアグラ(シルデナフィル)により、胃組織の一酸化窒素NOが有意に増加していたことが注目されます。
一酸化窒素はNOは、生体の防御、免疫反応に重要な役割を果たし、胃粘膜の保護においても重要な役割を果たします。
古典的な非ステロイド性解熱鎮痛薬に、一酸化窒素NOを放出できるように分子を修飾した場合、胃粘膜障害の発生が抑制されことが知られています。 また、ニトログリセリンテープなどの経皮的なニトログリセリンの使用も、胃潰瘍の発症を抑制する事も指摘されています。
つまり、今回認められた、バイアグラ(シルデナフィル)の胃粘膜障害抑制効果は、この一酸化窒素NOに因るところが大きいと考えられます。

この結果からは、バイアグラ(シルデナフィル)により組織の一酸化窒素NOが合成促進されていると思われますが、 バイアグラ(シルデナフィル)は、サイクリックGMPの分解を抑制するのであり、この作用は、一酸化窒素NOの合成には関与しないとされています。
しかし、今回の報告では、組織の一酸化窒素は、バイアグラ(シルデナフィル)群で有意に高値であるため、何らかの機序により、 バイアグラ(シルデナフィル)により、胃組織の一酸化窒素NOが合成された可能性を示唆しています。

この報告は、ラットを対象としており、しかも、バイアグラ(シルデナフィル)を50mg/kgと、非常に高容量を使用しているため、そのまま、鵜呑みにするわけにはいきません。 研究結果の白黒をはっきりさせるために、このような極端なバイアグラ(シルデナフィル)の設定をしたのでしょうか。成人男性に換算すると、バイアグラ(シルデナフィル)2500mg以上ということになります。 使用されてるインドメタシンも非常に高容量であり、比較されているオメプラゾールも高容量です。 これですぐバイアグラ(シルデナフィル)が胃腸障害に有効とするのでなく、悪影響を及ぼすことがすくなそう、程度で考えて頂いた方がいいと思われます。

バイアグラ(シルデナフィル)は、心血管系疾患を対象にし開発された薬剤ですが、現在は、主に勃起不全ED治療に用いられています。
肺高血圧症や、気管支形成障害や、食道運動障害等にも有効とされており、 バイアグラ(シルデナフィル)等のフォスフォジエステラーゼ阻害剤の分野は、まだまだ興味が尽きない、研究されるべき分野です。


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