無オルガズム症の問題点と治療


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無オルガズム症の男女差

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【無オルガズム症とは】
無オルガズム症anorgasmiaとは、オルガズム(性感極期)に至れない状況が慢性化している状態です。
男女ともに発症し得ますが、女性の場合はオルガズムに至れないとするフラストレーションが問題の主体となります。 男性の場合は、射精障害を発症する事により、不妊症などの二次的問題を生じることもあります。

基本的には、無オルガズム症は、先天的に性感極期の障害があるケースが多く、 オルガズム障害が後天的、二次的に発症した場合と、疾患名にて区別されています。

【男女の違い】
無オルガズム症は、上記の通り男女共に発症する疾患ですが、 男女におけるオルガズムの機能上の違いから、二次的に発生する問題が異なります。

女性の場合には、二次的な問題の中心は、純然たるフラストレーションです。
これは、夫婦間のリレーションシップに悪影響を及ぼす事が想像されます。

また、無オルガズム症は基本的には女性の方が遥かに有病数が多い疾患です。
報告者によって差がございますが、生殖年齢女性の約5~15%が無オルガズム症とも言われております。 つまり、少なく見積もっても若い女性の20人に1人は、無オルガズム症で悩んでいると考えられます。
(なお、これらの報告における女性の無オルガズム症患者には、 自慰行為であれば性感極期に至れる方が含まれています。)

一方、男性の場合は、無オルガズム症の二次的な問題は、男性の射精が性感極期を伴う生理現象である事から、 フラストレーションだけに止まらず、 本疾患の発症は膣内射精障害 による男性不妊症 に関連する事が有ります。
男性不妊症というストレスがフラストレーションの原因となり、 それがまたストレスとなる、負のスパイラルを形成する事も考えられます。

また、EDがベースにあって、無オルガズム症が二次的に発生している場合も有ります。

無オルガズム症に苦しむ女性患者数が非常に多く、また、 射精障害から男性不妊へ発展する為、社会的にも、生殖医療的にも、非常に重要な問題として扱うべき疾患です。


【原因】
無オルガズム症の男女共通の原因因子は、やはり心理的な影響が主体である事は否めません。
性行為への過剰な期待、相手に感じるプレッシャー、成長期のトラウマ、予期不安、歪んだ性教育等々、 無数の原因が考えられます。

また、原因の一つとして、うつ病などの治療薬である、 セロトニン・ドパミン拮抗薬や選択的セロトニン再取り込阻害薬などの薬物の影響も挙げられます。
(抗うつ薬の自己調整はとても危険です。服薬調整は必ず主治医相談の元に行ってください。)

本疾患の原因は、男女共有で、オーバーラップ致しますが、 男性側の無オルガズム症には、男性固有の原因もございます。 男性においても、本疾患の原因は、心因が中止ではありますが、 男性がオーガズムに至るには、正常な勃起が前提ですので、EDもその原因に含まれます。


【治療】
無オルガズム症の男女共有の原因が心理的要因が中心であるため、 治療の中心も心理的治療になります。
本疾患の心理的治療は、その原因によって内容が大きく変化いたします。
パートナーシップの問題であれば、患者だけでなくそのパートナーも含めて治療する方が、 効率が良い傾向が有ります。
成長期の受動的・能動的性教育に原因があれば、間違った教育による誤解を是正する、 再教育も有効な治療方法です。
不安神経症やうつ病などの心理的疾患が原因であれば、行動療法や薬物加療も検討されます。
勿論、薬剤などが原因と考えられる場合は、主治医による薬物の変更や削減なども考慮すべきです。


【無オルガズム症と性教育】
成長期における受動的、能動的性教育は、無オルガズム症の心理的原因の一つになり得ます。
この場合における性教育とは、学校等で運営されるものの事では無く、 ポルノや未成熟な友人による、断片的な情報の享受を指します。
特に、ポルノは、実際の性行為とは乖離した、男女それぞれのセックスに対するファンタジーが詰め込まれております。 フィクションと割り切り、現実との境界線を設定できる場合は、実害は少ない事もありますが、 これに対する嫌悪感やプレッシャー、また、これらに関連した自慰行為の有り様が、 無オルガズム症の発症(特に男性側)に関連している事は否めません。
ポルノはあらゆる情報メディアにおいて18歳未満禁止ではありますが、これを掻い潜り、青少年へ影響を与えます。
ジャスト-イン-ジャストタイムで是正する事は非常に難しいので、 無オルガズム症が発症されてからの性教育の上書きにならざるを得なく、後手に回らざる負えません。


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