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【超音波検査によるEDの精査】
超音波検査ultrasonographyは、EDの原因の検索に使用する事が出来る精査方法の一つです。
特に陰茎局所の静脈や動脈に問題があり発生する、
血管性インポテンスのプライマリーの診断に良いと言われています。
検者間較差などの問題もありますが、精査を受ける患者に、痛みなどの侵襲が少なく、
また、診断結果がすぐにわかるなどのメリットも多い精査方法です。
本項では超音波検査によるED/勃起不全の精査に関して詳述します。
【超音波検査とは】
超音波検査とは、超音波の探触子を検者が患者の体にあてて、
超音波によって人体の内部構造をチェックする方法です。
付属する画面上に、探触子によって解析された人体の局所的な断面像を見る事が出来ます。
また、ドップラー偏位の周波数分析によって、人体の血流の有無や血流速度をを表示する事が可能です。
これをカラードプラーエコーと言います。
比較的簡易に、非侵襲的に人体の断面像や血流などが確認できるので、
ED以外にも様々な上体に臨床応用されている精査方法です。
超音波検査のED/勃起不全への利用は実際には、カラードプラーエコーを中心にした、
血流のチェックが主体です。
主に、勃起機能に関連し、比較的描出しやすい陰茎海面体動脈と陰茎背動脈をチェックします。
患者を仰臥位にさせて、陰茎の根部5~7時方向に探触子を当て、陰茎背動脈を、
また、陰茎の根部2~10時方向に探触子を当てて陰茎海綿体動脈を精査します。
動脈性ED
もしくは
静脈性ED
の判別の為に血流の有無だけでなく血流速度も測定されます。
peak systolic velocityの低下などが有意な検査指標になります。
また、後述しますが、超音波検査によるEDの精査は、 多くは、パパベリンやプロスタグランジンE1によるファーマコテストと組み合わせて、血管性インポテンスのスクリーニングとして施行されます。
【超音波によって判別できるED】
超音波検査によって判別できるEDは、主に、
陰茎の動脈や静脈の障害によって発生する血管性インポテンス、
海面体の線維化によるEDです。
超音波検査は、主に動脈性EDをチェックする精査方法です。
超音波検査は、静脈よりも動脈のチェックに優れる検査なので致し方ない所ですが、
ファーマコテストを超音波検査に並行して実行する事で、
血管性インポテンスの原因を、判別を付ける事は可能です。
つまりファーマコテストにて血管性インポテンスの診断が立証されている場合には、
超音波で動脈血流速度を測定する事によって、
インポテンスが、動脈性か静脈性かを判別する手がかりを得る事が出来ます。
動脈性であれば動脈血流速度は明らかに低下しますので、
ファーマコテストで血管障害が示唆され、かつ動脈血流速度がまったく問題無いものは、
自ずと静脈性EDの可能性が高くなります。
【超音波検査の限界】
超音波検査は簡便で、診断がすぐにわかり、
痛み等の患者さんにとっての不都合が非常に少ない良い精査方法ですが、
超音波検査によるEDの精査には、陰茎と勃起という生理現象であるが故の限界と、
超音波検査共通の検査としての限界が有ります。
陰茎と勃起という生理に特有な本検査の限界として考えられるのは、
勃起状態の方が、非勃起状態に比較して、明らかに超音波による描出がクリアーになることです。
勃起不全のチェックにて、勃起状態の方が精査としてクオリティが高いという状況は、本末転倒な事態です。
陰茎での超音波検査の施行時には、上記にもありますが、ファーマコテストが並行して施行される事が多く、
これは、ファーマコテストによって薬剤性に勃起状態になっている状況の方が、
非勃起状態に比較して超音波の検出感度が上がるという事も影響してます。
超音波検査共通の限界としては、まずこの検査は検者間のスキルの違いが大きく影響する所があり、
検者間較差が大きい為、定量的な指標になりづらい事があります。
第二の共通限界として、患者によって描出される内容が変動する所があり、
対象者によって精査可能な範囲が変わってくる事があります。
第三の共通限界としては、病変が描出できても再現できない場合が有り、
ある意味で精査の施行上、一期一会的要素を含む所が有る事があります。
超音波検査によるEDの精査は、精査法のロジカルな部分と、 上記のような限界もあり、確定診断には二次的な精査を必要とする事が多く、 スタンドアローンなものとは言えない所が有ります。
昨今は、バイアグラなどの副作用の少ない、非常に効果的な薬剤があるので、
適応の問題が無いようであれば、まずこれらの勃起改善薬を使用して、
その上でこれらの薬剤の作用があまり良くないようであれば、ED/勃起不全の原因精査に移行する事も、
まま有ります。
しかし、バイアグラなどの勃起改善薬は、原疾患・既往疾患・処方内容によっては使用できないケースもあるので、
専門家による問診は不可欠です。
written by シアリスなら新宿ライフクリニック.