【静脈性EDとは】
静脈性ED venous erectile dysfunctionとは、陰茎の静脈に問題があり、陰茎に血液は流れ込むものの、
その血液を陰茎内に維持する事が出来ない勃起不全です。
勃起のメカニズム
の詳細については、他項を用意していますので、ここでは説明については割愛致しますが、
簡単に説明すると、勃起の維持には、陰茎海綿体に流入した動脈血を返血しないようにする仕組みが必要です。
この返血路である静脈の異常が原因となります。
静脈閉鎖不全によるEDであり、肉体的機能的異状に因って発症する器質性EDの中の、血管性EDに属します。
血管性EDにはもう一つ動脈性EDが有ります、動脈性EDは本疾患とは違い、 動脈硬化などが原因となって陰茎に血流が流れ込みにくいが故に発症する勃起不全になります。
【診断】
静脈性EDの診断には、
陰茎海綿体圧測定と
海綿体造影検査
が利用されます。
陰茎海綿体圧測定は、陰茎海綿体に生理的食塩水を一定量注入しながら海綿体の内圧を測定します。
勃起を維持するための生理的食塩水の流量が通常より多ければ、
注入した生理的食塩水が静脈を介してリークしている事になり、本疾患の診断が出来ます。
また、陰茎海綿体を造影しながら画像診断すると、静脈の流出部を確認できます。
後述する本疾患の手術的治療に際しては、この海綿体造影検査は手術様式を決定する上で、
非常に重要な検査になります。
ファーマコテストや陰茎の超音波検査
は本疾患などの血管性EDの除外診断に有用とされています。
動脈性、静脈性を含んだ血管性ED/インポテンスの検査に関しては別項にて詳述しております、こちらもご参考下さい。
詳しくはコチラ⇒血管性インポテンスの検査
【治療】
静脈性EDの治療は、その原因が静脈の物理的な障害に起因するため、
通常、外科手術的の適応になります。
手術適応条件として、まず発症者が基本的に若年代で、かつ動脈が健全である事が挙げられます。
また、術後の再発頻度が高いとも言われており、本疾患の手術治療の有効率は、
1年以上の経過で、50%以下と満足できるレベルではありません。
手術治療は具体的には深陰茎背静脈の切除もしくは陰茎脚の結紮術になります。
これらの手術によって静脈からの血液の流出を減少させるのが手術目的になります。
本疾患の手術治療に関しては別項にて詳述していますのでご参照ください。
(詳しくはコチラ→ED/勃起不全の静脈手術)
(記載:日本性機能学会専門医-須田隆興)