「バイアグラは他の病気があっても使えるの? 病気があるとバイアグラを使用しにくい2つの理由」

バイアグラは他に疾病やそれに対する内服があると使いにくい薬剤です。

バイアグラは、ED以外の他の病気、もしくはそれに対する服薬があると使用しにくい事があります


「バイアグラは他に病気があっても使えますか?」


この質問は勃起不全の外来もしくは当院へのお電話での問い合わせの際に、 良く伺うものの一つです。


結論から申し上げると、ED以外に疾病をお持ちの方は、 バイアグラを使用できない、もしくは使用しにくい理由が二つほど有ります。


このクスリはお医者さんの診断の元に服薬の可否や、 処方量などが決定される、処方箋医薬品 (しょほうせんいやくひん) です。


こうした医師により管理される製剤は、罹患しているお病気によっては、 本来の期待される薬効とは違う体への悪影響が出てしまう場合があります。


また、本剤と元々の服薬内容との飲み合わせが悪い事があり、 この場合も体への悪影響が出てしまう場合があります。


ゆえに疾病があると本剤を使用しにくいという、理由の一つ目は、
『お持ちの疾病によっては、このくすり自体が悪影響を示す場合があるから』 となります。
こちらに関しては1.【バイアグラが悪影響を及ぼす可能性のあるお病気】に詳細を記載しております。


続いて、理由の二つ目は、
『疾病に対して使用している薬剤の中には、このくすりと飲み合わせが悪いものがあるから』 となります。
こちらに関しては2.【バイアグラと飲み合わせの悪いお薬】に詳細を記載しております。


また「バイアグラは他に病気があっても使えますか?」 という質問の潜在的な意図の中には、 「本当にこのクスリを使っても大丈夫なの?」 という 『不安感』 もまた、 その根底にあるかと思われます。
皆様のこの 『不安感』 を和らげる目的で、
3.【適応や用法がきちんと管理された状態であれば安全な薬です】を記載させて頂きました。


宜しければ、それぞれご参照下さいませ。


<当ページのもくじ>

  1. 【バイアグラが悪影響を及ぼす可能性のあるお病気】
  2. 【バイアグラと飲み合わせの悪いお薬】
  3. 【適応や用法がきちんと管理された状態であれば安全な薬です】

1.【バイアグラが悪影響を及ぼす可能性のあるお病気】

バイアグラが他にお病気をお持ちの方に使用しにくいという、 第一の理由は、本剤自体が悪影響を及ぼす可能性のある疾患があるから、 と上記しました。


この製剤の利用がむしろデメリットになり得る疾患には、 大きく2段階のカテゴリーがあります。
ひとつは 『使用禁忌』 、もう一つは 『慎重投与』 です。


● この 『使用禁忌』 とは
『この疾患もしくはこの状態には、このくすりを絶対に使ってはいけない』 という意味になり、間違って使用した場合、 生命や健康に重大な悪影響が出る可能性が有ります。 ご注意下さい。


こちらは具体的な使用禁忌のリストです。


《バイアグラの 『使用禁忌』 の病態》

  • ・この製剤に対して薬剤性アレルギーがある
  • ・心臓の血管に問題がある
  • ・重い肝臓の障害がある
  • ・あるレベル以上の低血圧がある
  • ・治療管理されていない、あるレベル以上の高血圧がある
  • ・6ヶ月以内に発症した脳こうそく・脳出血・心筋こうそくのいずれかがある
  • ・網膜色素変性症(もうまくしきそへんせいしょう)がある

以上が代表的な本剤の使用禁忌の病態です。 これらに該当する方は、この製剤を絶対に使う事は出来ません
ちなみに網膜色素変性症という疾患は、聞き慣れないと思われますが、 これは遺伝性かつ進行性の視力が低下する疾患になります。



● 一方 『慎重投与』 とは
『この疾患もしくはこの状態にはこのくすりは慎重に投与する必要がある』 という意味になり、これは上記の使用禁忌の疾病と違い、 本剤を絶対に使えないという訳では無く、 専門家がきちんと判断した上で、様子を見ながら使用できる事も多いです。


こちらは具体的な慎重投与のリストです。


《バイアグラの 『慎重投与』 の病態》

  • ・ペニスの構造に問題がある(ペイロニー病など)
  • ・持続勃起症の素因になる疾患がある(白血病など)
  • ・血小板などを原因とした出血性疾患がある
  • ・消化性潰瘍がある
  • ・重度の腎障害がある
  • ・中程度から軽度の肝機能障害がある
  • ・多系統萎縮症(たけいとういしゅくしょう)がある、などなど・・・

以上は本剤の慎重投与に該当する疾患の一部です。 この併用注意の疾患は、他にもたくさん有りますが、 全てを記載すると膨大なリストになってしまうので、 ごく代表的なものだけを記載しました。


ちなみに多系統萎縮症とは、聞き慣れない疾病だと思われますが、 自律神経機能障害を特徴とした疾患で、 脳内部の局所に多発性の萎縮を来す疾患です。


またぺイロニー病も、聞きなれないと思われますが、 これは小さなこぶや板状の硬結がペニスに出来て、 勃起時に痛みや屈曲を示すものです。 一般に東洋人より白人に多いとされています。


このように多種様々な健康上の問題が、実は本剤を利用し難くさせてしまいます。 つまり逆に言えば、ED以外の疾患をお持ちの場合はこのくすりを利用し難かったり、 利用できない場合があるのです。


ご本人の疾患や全身状態から、本剤が利用可能か判断するのは、 上記のように多岐にわたる情報を整理する必要があるので、 専門家以外には難しいものだと思われます。


勃起不全以外の疾病をお持ちの方は、本剤の利用を検討する際に、 ED専門クリニック、または日本性機能学会専門医に必ず相談をしましょう。


2.【バイアグラと飲み合わせの悪いお薬】

本剤が他に疾病をお持ちの方に使用しにくいという、 第二の理由は、疾病に対して使用している薬剤の中には、 このくすりと飲み合わせが悪いものがあるから と上記しました。


皆さんはお薬同士の飲み合わせに関して考えた事は有りますでしょうか?
実は、お医者さんが出すお薬には 『相性の悪い取り合わせ』 が有るのです。
そして、それはED治療薬も一緒なのです。


この相性の悪い組み合わせには主に 『併用禁忌』 ならびに 『併用注意』 と2段階有ります。



● この 『併用禁忌』 とは、
『絶対に組み合わせてはイケない』 という取り合わせであり、 間違って併用した場合、生命や健康に重大な悪影響が出る可能性があります。


こちらは具体的な 『併用禁忌』 の薬剤のリストです。


《バイアグラの 『併用禁忌』 のクスリ》

  • ・硝酸剤/一酸化窒素供与薬など 『ニトロ系』 と呼ばれるもの
  • ・塩酸アミオダロンという成分を含む抗不整脈薬
  • ・可溶性グアニル酸シクラーゼ刺激剤

以上が代表的な本剤の併用禁忌のクスリです。 これらの併用禁忌薬剤は、頓用にしても常用にしても、 処方されている、もしくは使用する予定がある、 あるいは非常時にこれらを使用する可能性がある方は、 このくすりを絶対に使う事はできません


硝酸剤/一酸化窒素供与薬など、一般に 『ニトロ系』 と呼ばれるものは、 主に狭心症や心筋梗塞などの心血管疾患に使用される薬剤です。 飲み薬や貼付薬、舌下錠など様々な剤型が有り、 また商標名も数多く有ります。 心血管疾患を指摘されていて、その上で 「心臓の血管を開くクスリ」 などと説明されている場合は、 恐らくこの硝酸剤/一酸化窒素供与薬の事だと思われます。 ご注意くださいませ。


また塩酸アミオダロンとは、不整脈に対して処方される薬剤で、 主に、他剤無効の心室不整脈および肥大型心筋症に伴う心房細動が適応になります。


また可溶性グアニル酸シクラーゼ刺激剤とは、 肺高血圧症という特殊な病態に処方される薬剤です。



● 一方 『併用注意』 とは
『この薬剤と併用する際には本剤は慎重に投与する必要がある』 というものであり、これは上記の併用禁忌と違って、 絶対に併用できない訳では無く、 専門家の判断の上で慎重に経過を見ながら、併用する事ができるものも多いです。


こちらは具体的な併用注意のリストです。


《バイアグラの 『併用注意』 のクスリ》

  • ・他の勃起改善薬、あるいはこれと同じ主成分のもの
  • ・高血圧や前立腺肥大などに処方されるα遮断剤 (あるふぁしゃだんやく)
  • ・アムロジピン等の降圧薬
  • ・HIV治療に運用される一部の抗ウィルス薬
  • ・強心薬として用いられるカルペリチド
  • ・抗生物質のエリスロマイシン
  • ・一部の抗真菌薬
  • ・抗結核薬のリファンピシン、などなど...

以上は本剤の併用注意に該当するクスリの一部です。 他にも様々な種類のものが併用注意に該当します。 上記は代表的なものを主体に記載させていただきました。


ちなみに勃起改善薬どうしは併用注意になりますが、 基本的に同じ24時間以内での併用でなければ問題はないかと存じます。 原則、ED治療薬は24時間に1回、1種類までしか使用できません。


おなじ併用注意というカテゴリーのものであったとしても、 製剤によって注意点が大きく変わってきますので、 その併用の判断には、その都度、高度な専門的判断を必要とします。



以上、バイアグラは他にお病気があると使用しにくくなる2つの理由、
一つは、疾病によってはこのくすりの悪影響がでる事がある、
二つめは、疾病への投薬内容とこのくすりとで飲み合わせの悪い事がある、
について2項目にまたがり、解説させていただきました。


本剤の利用を検討されている方で、 なんらかの疾病がある方、またはそれに対する処方のある方は、 その安全な運用のためにも、 お薬手帳や、検査データなど状況を把握できるものをお持ちになった上で、 必ず専門医に相談されるようお願い申し上げます。


3.【適応や用法がきちんと管理された状態であれば安全な薬です】

上記にて、バイアグラが、勃起不全以外の疾患があると使いにくくなる、 その理由に関して記載させて頂きました。


しかし 「バイアグラは他の病気があっても使えるの?」 という質問の、
その潜在的な意図を考えますと、 実際的な疾病や併用が難しい薬剤の説明を求める気持ち以外に、 本剤の使用自体に対する 『不安感』 が根底にあるように思われます。


それは、ごく自然な事です。
どんな副作用があるか? 体質へのどんな影響があるか? どういった理屈で作用するか?分からない、 初めてのお薬を使用する時は、誰しも不安な気持ちになります。


日本性機能学会専門医として申し上げますが、 バイアグラを使用すると危険な状態、 これは上記したように、 おおよそ疾病などの身体の状態や、 服薬内容によって判断されますが、


これらを専門医がきちんと判断し除外した上で、 ご本人が医師から説明された使用方法をお守りになって、 本剤をご利用になる上では、 このおくすりはさほど危険なモノでは有りません
( ※別項にて、このくすりの危険性に関してもまとめてありますので、宜しければこちらもご参照下さいませ。 →バイアグラの危険性とは



● 《本剤の副作用

この製剤の代表的な副作用は、害の少ないものが主体です。 そして、これらは薬効が過ぎ去れば一緒に消えていきます。


バイアグラの代表的な副作用

  • ・ほてり感
  • ・かるい頭痛
  • ・消化不良(胃もたれ感)
  • ・動悸
  • ・鼻づまり感・・・などなど

副作用として報告されているものは、大小合わせると無数にありますので、 その代表的なものを記載しております。


飲む人が全員必ず、こうした副作用を感じる訳ではありません。 これらはそのカテゴリーに応じて、その発生頻度が変わって来ますが、 多いモノで 『ほてり感』 が15%前後ぐらいなので、 ほとんどの方は感じないものです。 ただし、体調によっても出やすくなる事も有りますのでご注意ください。



● 《体質への影響

一方、バイアグラの服薬前の皆さんの危惧の中には、
「この薬を使って、体質が変わったらどうしよう?」
というものも有ります。


患者さんの代表的な体質に関する危惧

  • 1. 薬物依存症になったらどうしよう?
  • 2. 使う事で自分の性機能が落ちたらどうしよう?
  • 3. 心臓の機能が落ちたらどうしよう?
  • 4. 使っていくウチに段々効かなくなってきたらどうしよう?

順番にお答えしますと、


1. 癖になる事、つまり 『薬物依存性』 に関してですが、 販売前調査でも、1999年からの販売以降も、 こうした危険性は指摘されていません。ご安心ください。 なぜか本剤には睡眠導入剤のイメージが被るようで、この質問を頂く事が多いです。


2. ご本人の性機能に関しては、この薬剤を使う事で落ちる事はありません。 ただし、このくすりに関係無く、年齢が上がっていったりと、 EDのリスクファクターが強まる事で、それに応じた性機能の低下は今後も有り得ます。


3. 本剤自体が心臓の機能を下げたり、不整脈を引き起こしたりする事は有りません。 ただし上記させて頂きましたが、 元々、心臓にお病気のある方の場合は、このくすりを使用できない事が多いので、 事前に服用の可否を専門医に必ずご確認くださいませ。


4. 段々効かなくなる、つまり 『耐性』 に関しても、 販売前また販売後調査にて指摘されていません。ご安心ください。 ただし経年的にED自体が増悪している場合、 相対的にくすりの効果が弱まったと感じる事もあるかと存じます。


このように、この薬を使用する事で体質自体が変わる事はほとんど有りません。



● 《作用の仕方

この薬の作用は、非常にシンプルです。 元々、人の体に備わっている血管拡張物質の働きを良くする作用が主体です。


もう少し詳しく解説すると、ペニスの海綿体に多く分布するとされる 『PDE5』 という酵素の邪魔をする事で、 最終的に血管拡張物質の一酸化窒素(NO)の働きを良くするという作用です。 つまり本剤は性欲を操作するような危険なモノでは無いですし、また人の体質を変化させてしまうような、 大仰なものでも有りません。ご安心くださいませ。



如何でしょうか?
本剤の 『副作用』 ・ 『体質への影響』 ・ 『作用の仕方』 を説明させて頂きましたが、 皆様の 『不安感』 は薄れましたでしょうか?
ご自身が抱いている疑問が解消されれば、されるほど このくすりに対する 『不安感』 はより薄れて行くかと存じます。
皆様、専門医にどんどん疑問をぶつけて下さいませ。


(記載:日本性機能学会専門医-須田隆興)
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