ばいあぐらは新宿ライフクリニック。
【抗不安薬によるED治療】
ベンゾジアゼピン系の抗不安薬による
心因性ED
の改善が報告されています。
これは緊張の強い傾向にある心因性EDに対して、抗不安薬の方が、
他の勃起改善治療よりも著効する可能性が有る事を示したことになります。
しかし、ベンゾジアゼピン系の抗不安薬は、副作用として性欲の減退や陰萎(漢方的表現で言う勃起不全の事です。)
が報告されているものが多く、薬剤性EDの原因となる場合もあり、治療薬と原因薬剤という二面性をもっていると言えます。
本項では、抗不安薬に関して、また抗不安薬によるED治療の効果、そして望ましい運用に関して、 私見を交え記載しております。
【抗不安薬とは】
抗不安薬とは、病的な不安をコントロールする事を目的とした薬剤で、
大きくベンゾジアゼピン系と非ベンゾジアゼピン系の二系統に分類されます。
臨床現場では、主には、ベンゾジアゼピン系を中心に使用されています。
このベンゾジアゼピン系薬剤は、睡眠薬としても使用されている事が多く、
一般に睡眠薬として外来で処方されている薬剤は、ここに属しています。
以下、抗不安薬のメインたるベンゾジアゼピン系に関して説明しています。
【薬理作用と適応】
ベンゾジアゼピン系抗不安薬は、大脳辺縁系、特に扁桃核のベンゾジアゼピン受容体に作用して、
不安や緊張を改善いたします。
適応は、神経症ならびに心身症における不安や緊張、睡眠障害などです。
神経症とは、心理的原因で引き起こされる精神的・身体的機能的障害を症状とする疾患です。
また、心身症とは、身体疾患の発症や経過に心理的・社会的因子が濃厚に関連して
器質的もしくは機能的な障害が引き起こされる疾患です。
ベンゾジアゼピン系の抗不安薬は、副作用として眠気、脱力が起こりやすい事が有り、
運転や屋外作業時には十分な注意が必要になります。
また、長期連用によって薬物依存を起こす事、また長期連用の中断に伴う退薬症候が出現する事があるため、
基本的に長期服用は、控えたい薬剤です。
そのほか、数多くの精神神経系の副作用等が有り、また、性欲の減退などの性機能障害を示す事が有ります。
ベンゾジアゼピン系抗不安薬の心因性EDに対する効果が報告されているのは、
ロフラゼプ酸エチル(メイラックス®)、ブロマゼパム(レキソタン®)、ジアゼパム(セルシン®)等になります。
しかし、いずれの薬剤も、性欲(リビドー)の減退、陰萎、性欲への影響など、性機能に関連した副作用が報告されており、
薬剤性EDの原因にもなり得ます。
【効果と弊害】
本邦での発表として、
バイアグラなどのPDE5阻害薬、漢方薬、陰圧式勃起補助具、アンドロゲン補充療法、
ヨヒンビンなどの、
本邦で施行可能な主だったED治療を、ほぼ全て施行したにもかかわらず、
改善を認めなかった心因性EDの患者において、
上述のベンゾジアゼピン系抗不安薬であるロフラゼプ酸エチル(メイラックス®)が、
著明なED改善効果が確認されたと報告されています。
この報告の症例患者は、性行為に際して大きな緊張感が見られていたとの事です。
この報告は、緊張感が主体の心因性EDには、 抗不安薬以外の現行の勃起不全治療を集学的に施行しても、 改善が得られない可能性と、心因性EDには抗不安薬が著効するという可能性を示しています。
ロフラゼプ酸エチルの他、ジアゼパム、ブロマゼパム、またこれはベンゾジアゼピン系睡眠導入剤になりますが、 メタゼパムにも、心因性EDの改善効果が報告されています。
しかし、これらの抗不安薬含め、多くの抗不安薬は、前述の通り、薬剤性EDの原因となる可能性もあり、 これらの薬剤によってEDが増悪する可能性もございます。
【非ベンゾジアゼピン系抗不安薬】
非ベンゾジアゼピン系の抗不安薬には、ベンゾジアゼピン系に比較して副作用としての性機能障害が明記されておらず、
心因性EDへの効果が有るようであれば、薬剤性ED発症リスクの少ない治療方法となり得ます。
今後の心因性EDの治療の流れに関しては、更なる臨床研究の結果が待たれる所です。
written by れびとら処方なら新宿ライフクリニック.