完全に治せるのか?

EDからの完璧な回復は有り得るのか?



EDの治療に関して」

勃起不全は完全に治せるのか?、専門医が検証


<当ページの項目リスト>

     
  1. 【EDは完全に治せる?】
  2. 【EDの原因・機序・リスクファクター】
  3. 【完全に治った状態とは?】
  4. 【年齢・肉体条件に応じた目標】
  5. 【「性」を維持する事の重要性】

疑問

果たしてEDは完全に治せるのか?


1.【EDは完全に治せる?】

【要約】
「EDは完全に治せるのか?」

  • ―EDは器質性原因、血管性を多数派として発症します。
  • ―EDは加齢に従い発症し、加齢に従い増悪する傾向です。
  • ―長期的には加齢に従い、ほぼすべての男性がEDになります。
  • ―短期的には、EDの原因や年齢によっては完全にEDが治せる事もあり得ます。
  • ―基本的には年齢や肉体条件に応じたEDの回復目標が必要です
  • ―性行為を維持し続ける事は健康寿命に好影響とされています

「ED/勃起不全は完全に治せるのでしょうか?」
これは日本性機能学会専門医が主宰するED専門クリニックである新宿ライフクリニックにて良く頂く質問の一つです。 よく頂く質問でありながら、これほど回答に苦慮する質問もないように思われます。


「完全に治せる」の「完全」という言葉をどういった定義でとらえるかによりますが、 長期的視点においては加齢に従いほぼすべての男性がEDになり、 また発症したEDは加齢に応じて段階的に進行していくので、 「EDは完全に治せるのか?」という質問は長期的視点においては「NO」 と回答せざるを得ません。
しかし短期的視点においては、その原因次第で「EDは完全に治せる」、 すなわち発症前の段階の性機能に戻す事は可能であるとも言えます。 ただ後述しますが、EDは「加齢」を始めたくさんの要因が関わって発症する多因子疾患なので、 一端発症された方の性機能が完全に以前の状態に戻ったとしても、 それ以降に、また同様な原因もしくは他の原因によってEDを再発する事は多いにあります。


自分は90歳代、100歳代になっても性機能が残っていると考えている方はあまり居ないのではないかと思われます。 また一方で10歳代、20歳代に特にEDが多いと考えている方もほぼ居ないのではないかと思われます。 それでは50歳代、60歳代の方は社会通念上どのような性機能を持つと考えられているのでしょうか?


本項では「EDは完全に治せるのか?」という良く頂く質問への回答を主軸に、 EDの原因や機序、またいかにEDと付き合っていくべきなのかと言った内容を含み記載させて頂いております。 宜しければご閲覧くださいませ。


2.【EDの原因・機序・リスクファクター】

ここでは「EDは完全に治せるのか?」という主題のために、 EDと言う疾患の自体のアウトラインを解説させて頂きます。


EDの原因は大きく器質性と心因性に分かれます。器質性の方が多数派です。 そして器質性の原因はさらに血管性、神経性、解剖性、内分泌性に分かれます。 この中では血管性が多数派で、これら器質性原因の内、血管性、神経性、内分泌性は加齢の影響を受けて、 発生し易い傾向です。


発症機序は原因によっても変わってきますが、細分化された原因の中で最大多数派である血管性は、 所謂、血管内皮機能障害や動脈硬化が主体の発症機序です。 つまりこれは血管の機能的問題ならびに後天的な構造変化が主因となります。
一方の内分泌性は男性ホルモンの経年的低下などが発症機序に相当し、 神経性は自律神経機能の障害や低下が発症機序に相当します。


これらEDの原因にかかわるリスクファクターは13種ほどあり、 その代表格が「加齢」です。リスクファクターには改善が出来るものと出来ないものが混在しておりますが、 「加齢」は改善ができないリスクファクターの代表格でもあります。


3.【完全に治った状態とは?】

「EDが完全に治せるのか?」 この命題は冒頭で申し上げた通り、患者さんから頻回に頂く御質問の一つでありながら、 とても回答に苦慮する質問でもあります。
この「完全に治せる?」命題に答えるために前項においてEDの原因、 そしてその機序、リスクファクターに関して記載させて頂きましたが、 この勃起不全が「完全」に回復した状態とはどのような状態を指し示すのでしょうか?


男性において性機能が最高な状態はおそらく10代の後半から20歳代にかけてだと思われます。 仮に「EDを完全に治せる」という「完全」の基準をこの年代の性機能に設定したとしましょう。
前項で申し上げた通り「加齢」はEDの原因の中でもっともウェイトが大きいリスクファクターの一つで、 例えば全年齢の男性において勃起不全患者さんは約5人に1人罹患していると言う状況ですが、 50歳代の男性においては、実はその過半数がED罹患者とも推察されています。 つまり頻度的な意味合いにおいて50歳代男性でEDである事はある意味「自然」な事とも言えます。
この50歳代のED患者さんのEDを完全に治せる、 と言う事はこの患者さんの性機能を10歳代から20歳代に戻す事が出来るという事とほぼ同義です。


これが80歳代ならどうでしょうか? 80歳代の男性のED、つまり性機能を10歳代から20歳代の性機能レベルまで治せるという事は現実的でしょうか?
性機能とは生殖能力の事であり、生物としては生殖に適した年齢以降でこの機能をもつ事は、 生物学的な意味はないとも言えます。 現実的問題として性機能が加齢とともに低下していく事は生物として極めて自然な事であり、 こうした性機能の低下の一環としてEDがある事は一つの事実です。


それでは「EDは完全に治せる?」という質問への回答が完全に「NO」なのか?と言うと、 そうとは必ずしも言い切れない所が、この疾患の解説上でややこしい所です。
例えば10歳代から20歳代でもEDを起こす事はさほど稀な事では有りません。 こうした人生でも性機能が絶好調という時期にも発症しやすいEDが有ります。 それは前項【EDの原因・機序・リスクファクター】にも記載させて頂いた心因性EDです。
ストレスやプレッシャーを原因として発症する心因性EDはこうした性の経験が少ない若年者の方が、 相対的に顕著と言えます。 こうした状況の若年者が、心因の加療もしくはそれを整理する事で、 人生でも絶好調の時期である10歳代から20歳代の性機能を取り戻す事は多いにあり、 この状態は短期的な意味合いにおいて、「EDは完全に治せる」と言う事を示していると言えます。


しかしこの10歳代から20歳代の方がこの先、10年.20年.30年と年齢を重ねていけば、 一回完全に回復したはずのEDが、いずれは加齢的な性機能の低下に伴って発症するようになります。 すなわちこの状態は長期的な意味合いにおいて「EDは完全には治せない」と言う事を示していると言えます。


実の所、長期的には性機能の低下、そしてEDの発症は男性にとってある意味宿命とも言える状態なのです。


4.【年齢・肉体条件に応じた目標】

前項で、長期的には性機能の低下そしてEDの発症は男性にとってある意味宿命とも言える、と申し上げましたが、 それは「加齢に伴うEDはあきらめろ!」と言っているのでは全くありません。


「EDは完全に治せる」と言う方向のアプローチではなく、 その年齢・肉体条件なりの勃起不全の改善目標をもって、 これと付き合って行くべきだと我々、新宿ライフクリニックは考えております。
その年齢・肉体条件なりの改善目標を設定して、 その範囲内での性機能の改善や維持、これを生活習慣の是正や適切な薬物投与によって目指す。 これがEDと言う疾患のマネジメント上望ましいと我々は考え、外来において実践しております。


体力に個人差があるように同じ年齢であったとしても性機能には個人差が有ります。 「加齢」は改善出来ない、つまり10歳代.20歳代の性機能を取り戻す事は出来ませんが、 その人の性機能の低下に大きくかかわる因子、 例えば肥満状態を是正したり、罹患されている生活習慣病をより良くコントロールしたり、 適切な運動習慣を導入する事などで、 現状より性機能を良くする事は十分に可能です。
また現在は副作用が少なく、優秀な勃起改善効果をもつPDE5阻害薬も有ります。
加齢に伴う性機能の低下やEDの出現は致し方ないとしても、 こうしたコントロールによって、その年代・肉体条件なりの性機能の改善を目指し、 なるべく性行為の習慣を残す事は非常に大切な意味が有ります。


5.【「性」を維持する事の重要性】

以上、「EDは完全に治せる?」を命題として勃起不全の発症ロジックやその向き合い方、付き合い方を解説させて頂きましたが、 前項の文末にて、なるべく性行為の習慣を残す事は非常に大切な意味が有ると記載しました。


上記しましたが、生殖年齢を超えて、性行為をしたり、性機能を維持しようとする事は、 生物学的な意味はあまり無いのかも知れません。
しかし加齢を重ねても性行為を維持しようとする事は、 実は健康寿命にとってはとても大切なのです。
これは北欧を中心に複数の国から報告されている内容ですが、 じつは性行為の回数は男性の長寿に有意に相関すると言われております。 つまり、これは高齢になっても性行為をされている方の方が長生きな傾向があるという事です。


また性行為の回数が少ない男性の方が有意に死亡リスクが高かったという報告や、 加齢に伴い早々に性行為をやめてしまうと死亡リスクが上昇し易い等々、
加齢を重ねても性行為を維持しようとする事の重要性を報告している研究は少なくありません。
たしかに長期的な意味合いにおいて「EDは完全に治せない」と言えます。 しかし年齢なりの、肉体条件なりの勃起不全の改善を目指して、 性行為をなるべく暮らしから無くそうとしないアプローチは、 健康と寿命に関して、非常に重要である事は明言できます。


加齢に伴うEDが発症しても、それであきらめる事なく専門医への相談や、 生活上の工夫を重ねてみましょう。 新宿ライフクリニックは高齢者の性行為を応援します。