器物により陰茎を持続的に締め付ける事によって発生するペニスの外傷があります。



陰茎絞扼症の後遺症と治療

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【陰茎絞扼症とは】
陰茎絞扼症とは、おもに自慰行為を目的として人工物をペニスに装着し、 それによる持続的締め付けによって、陰茎がうっ血し、それが長時間に及ぶに至り、 ペニスの壊死や組織の不可逆的な機能障害を引き起こす外傷疾患です。
これは陰茎特有の外傷状態であり、陰茎絞扼症は発生したら、治療として迅速にその状態を解除する必要があります。 解除が早ければ早いほど、ペニスに発生する後遺症を少なくする事が出来ます。
性に関連した外傷、またその後遺症には、実は非常に広範な多様性があり、 その中には、尿道に異物を入れて、それによって外傷を引き起こしたり、 膣・肛門に異物を挿入して外傷を引き起こしたりと、 後遺症を予防する為にも救急外来での治療が必要なケースも少なくありません。
陰茎絞扼症はこうした性に関連した外傷の中では、 その発生頻度は比較的稀なものと言えますが、 結果として発生する後遺症が多くかつ重篤になりやすい傾向があるのと、 その処置などの治療に関して迅速さが求められるという意味合いで、 泌尿器科救急の中でも注意を要する疾患と言えます。
こうした陰茎絞扼症の発生母体には、 自慰行為という非常にありふれながらも、 社会的に向き合われていない生理行為の性質が関与している状況が少なからずあり、 他にもプッシュ法などの特異的な自慰行為による膣内射精障害の発生なども合わせて、 自慰行為にある意味での“正しさ”が必要になって来ているようにも思われます。
本項では陰茎絞扼症という主に自慰行為に関連したペニスの外傷に関して、 その原因や後遺症、そして治療について、また陰茎絞扼症の発生予防などを意識した、 自慰行為の有るべき姿について考察させていただいております。 ご参照くださいませ。


【陰茎絞扼症の原因そして後遺症】
陰茎絞扼症の原因としての動機は、基本的には自慰行為や性的な悪戯行為が主体です。 また少数にはなりますが、精神疾患がベースにあり、判断力が低下している状況において、 性的な意図に関係なく発生する事も時にあります。
陰茎絞扼症は人工物による継続的なペニスの締め付けがその主因と言えますが、 その人工物として選択されるものとしては、輪ゴム、ペットボトル、指輪などの輪状になったもの、 若しくは瓶などの筒状になったものが代表的です。
これらの分類としてはペットボトル、指輪などの硬いものに陰茎絞扼症を硬性絞扼症と言い、 輪ゴムやマスターベーターなどの軟らかいものによるものを軟性絞扼症と言います。
上述したように陰茎絞扼症は速やかな解除が後遺症の発生頻度を低下させて、 その予後を良くするという重要な要因と言えます。
その速やかな器物の解除における最大の問題は、 使用される器物のバリエーションが多すぎて、 中には硬度が高すぎたり、病院にある切除用の器材が対応できない材質のものであったりと、 材質の問題から速やかな除去が難しいケースが存在する事です。
また陰茎絞扼症の後遺症についてですが、 上記、2大別された絞扼症においては、 意外な様にも思われますが、軟性絞扼症の方が重篤な後遺症の発生が多いとされています。 これは軟性絞扼症の方が少ない面積で持続的に収縮圧が、 加わってしまう事によってより重篤なうっ血をペニスに引き起こすので後遺症の発生が多いとされています。
陰茎絞扼症の後遺症として発生する代表的なものとしては、 陰茎壊死や尿道ろう等があります。
ここまで重篤な組織障害に至らないまでも、 ペニスの神経機能や血管機能に悪影響が発生して、 ED/勃起不全などの性機能障害が後遺症として発生する事は多いにあります。
本質的にはこうした明かな組織障害によるED/勃起不全の治療には、 バイアグラレビトラシアリスなどのPDE5阻害薬が効果を示し難いとも言われており、 やはりこうした状況においては、事後対応よりも予防的対応が治療として望ましいと言えます。


【陰茎絞扼症の治療としては】
陰茎絞扼症の治療としては、上述したように締め付けている器物の迅速な解除が主体ですが、 昨今は多種様々な材質ものものが溢れかえっているので、 とくに硬性絞扼症においては治療を施行するに当たり、締め付けている器物を切除できるデバイスを、 病院の膨大なストックから探し出すのに時間を取られてしまう事が間々あります。
締め付けているものが特殊な合金で出来た指輪であったりすると、 病院内にあるカッターでは切除が出来ないような事も想定され、 それこそ工務店などにある専門職のカッターが治療に必要になるような場合も有り得ます。
可及的速やかに締め付けている器物を切除すべき状況で、 その器物を切除するためのデバイスを治療上、迅速に選択する為には、 締め付けている器物の正確かつ迅速なインフォメーションが重要であると言え、 救急搬送段階での本人もしくは家族によるそれらの情報提供が有れば、 患者が到着するまでに、それらを切除する為のデバイスの用意が出来る可能性が高くなり、 結果として迅速な器物の解除による治療が出来、重篤な後遺症が予防される可能性が上がります。


【自慰行為の有るべき姿】
実際、自慰行為ほど頻回にされていながら、 その正しさや安全性を検討されていない生理行動はないようにも思われます。
陰茎絞扼症はいわゆる“正しくない”自慰行為の結果として、 主に発生するペニスの外傷と言えますが、 それでは“正しい”自慰行為とは何なのでしょうか?
近年、プッシュ法等のイレギュラーな自慰行為による長年の影響で、 膣内射精障害などの性機能障害が発生し、 結果として、こうした習慣が男性不妊症の原因となってしまうケースが増加して来ているようにも思われます。
こうした状況も“正しくない”自慰行為によるものと言えるかも知れません。 ただこうした“正しくない”という表現は結果として、 機能障害や外傷が発生したという事象に則って「後出し」で判断されているに過ぎません。
しかし実害が存在し、それが増加傾向にある事も事実なので、 性機能においてはある意味「不介入の領域」だったようにも思われますが、 そろそろ性機能系の有識者による、 機能障害や外傷の予防を意識した「自慰行為の有るべき姿」が検討されるべきなのかも知れません。 こうした状況を性機能学会等の関連が想定される学会でディスカッションする事は、 こうした外傷による後遺症の発生予防上も、また予防的治療介入としても有意義と思われます。


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