早漏の総説



早漏症治療総論

【早漏とは】
早漏premature ejaculationとは、早期射精、早発射精とも言い、 セックス時に、男性が望むよりも早期に、つまり膣内に陰茎ペニスを挿入する前や、 、挿入後すぐに射精してしまう状態を指します。
マスターベーションにおいても、早漏である場合もございます。

早漏は、ED・射精障害と並んで、男性性機能障害の主要な訴えの一つです。

時々、早漏気味である場合は、疾患として認識されることはありませんが、 早漏が継続された場合に問題が生じます。
早漏症の発生には、基礎疾患が存在する事はあまりなく、 基本的には、男性の興奮や緊張の程度が強い事によって発生する事がほとんどとされます。
一般的には膣内に陰茎を挿入したのち、射精までに要する時間は5分程度とされておりますが、 動作やシチュエーションによって変化いたします。

早漏症の統一された診断基準はございませんが、様々な定義が提唱されております。 例を挙げると、 The International Society for Sexual Medicine (ISSM:国際性機能学会)によれば、 「早漏症は、陰茎を膣内挿入後、およその場合、約1分以内で射精に至り、それによって、苦痛、不満などの悪影響をもたらしている状態」 としております。
Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders(DSM)-Ⅳ-TRという精神疾患のガイドラインにも早漏症の診断基準が提唱されております。 「僅かな刺激によって、患者の希望以前に射精に至り、それによって精神的負担を感じている」としております。

後者は、やや主観的なもので、例えば、膣内性交症が30分継続しても、ご本人が満足されなければ、早漏ともなりかねません。
よって、国際性機能学会の定義が妥当と思われますが、世界的なコンセンサスはございません。

様々な評価法が考案されております。
代表的なものは、膣内挿入から射精までの所要時間(IELT:intravaginal ejaculatory latency time)や Premture Ejaculation Profile(PEP)という問診による自己評価がございます。

【有病率】
日本における正確な有病率を報告した疫学調査はございません。
2006年のヨーロッパ性機能学会の学術報告会によれば、およそ2.5%の男性が早漏症であると報告されています。
早漏症は、その時のご本人の体調や精神状態により、程度が異なったり、認めたり認めなかったりいたします。
性行為のシチュエーション(場所やパートナー等)によっても異なります。
男性の3人に1人は、早漏を経験した事があるとする報告もございます。


【原因】
早漏症の原因は、明らかではありません。
かつては、ほぼ心因的なものと思われておりましたが、現在では、 心因と身体的要素が、お互いに影響を及ぼし、発症すると考えられています。 原因は、複雑です。

初期の性体験が影響していると考える、医師もいます。
例えば、こっそりとオナニーをするなど、他者に発見されないために、オーガズムに早く到達しなければならないシチュエーションや、 性行為に対する罪悪感が性行為を急がせてる、などです。

ED勃起不全が早漏の原因に上げられる場合もございます。
勃起を得ることができるか、維持できるか、心配することが慌てることに繋がり、射精に至ります。
勃起を持続させるために強い刺激を得ようと激しく動作する事により、刺激が強くなり過ぎ、オーガズムにすぐに到達してしまう場合もあります。

多くの早漏症の男性は、殊に性行為セックスや、それに関わる事項について、不安症であることが多く、これもまた原因となり得ます。

もし、特定のパートナーの場合だけ早漏であるのならば、 お互いのリレーションシップや過剰な興奮や緊張が原因となります。

身体的な原因として、様々な可能性が指摘されています。
ホルモン異常であったり、セロトニンなどの脳神経伝達物質異常、射精反射障害、甲状腺機能異常、 前立腺炎や泌尿器系の感染症、遺伝的体質等です。

稀ではありますが、手術や外傷による神経損傷や抗精神病薬も原因となり得ます。


【診断】
まず、早漏症が生来のものか(一次性)か、もともとは問題なく後天的に発症したか(二次性)かを鑑別いたします。

国際性機能学会ISSMでは、一次性の場合は、

  • ・常に、または、ほぼ常に女性膣内に陰茎ペニスを挿入後、1分以内に射精に至る。
  • ・女性膣内に陰茎ペニスを挿入したときに、射精遅延のコントロールができない。
  • ・ストレスや欲求不満を感じたり、性行為を避けるなど、負の影響がある。

と、特徴づけられています。

二次性の場合は、症状は上記の一次性と変わりはありませんが、 かつては、射精の問題がなく、満足できるものであったことが特徴とされます。

診断は問診が中心となり、

  • ・いつから発症したのか?
  • ・突然なのか徐々に発症したのか?
  • ・マスターベーション中に早漏を自覚することがあるか?
  • ・毎回、早漏であるか?
  • ・特定のパートナーとのセックス時に限るのか?
  • ・パートナーとのコミュニケーションはうまくいっているのか?
  • ・初体験はいつか?
  • ・勃起不全EDは合併していないか?
  • ・最近開始または中止した薬剤はないか?
  • ・レクリエーションで使用する薬剤(いわゆるドラッグ)の使用はないか?
  • ・本人およびパートナーの悩みの程度、治療の希望は?

などから判断、原因が推測されます。


【改善・治療】
本疾患の治療的意義は本疾患の存在によるパートナー女性の不満足を改善し、 パートナーシップや夫婦生活の円満化を図る事に有ります。
また、不妊症の問題につながる場合もございます。

治療法は、セックス行動療法、薬物療法、精神療法となります。 多くの男性患者では、これらを単独で行うのでなく、組み合わせて行うことが良いとされています。

セックス行動療法の最も簡単な方法は、性行為の数時間前にマスターベーションを行うことです。
また、膣内に挿入する性交渉セックスでなく、愛撫を中心とした行為を行うことにより、 性行為に対するプレッシャーを取り除くように試みる場合もございます。

スクイージング・テクニック
しばしば紹介されるのが、このスクイージング・テクニックです。
お問い合わせが多いため、別項を用意いたしました。ご参考下さい。
早漏治療とスクイーズテクニックの方法

スタート・ストップ・テクニック
ご自身で簡単に試すことができるのが、このスタート・ストップ・テクニックです。
骨盤底筋群のトレーニングにもつながります。

その方法は、
STEP1
ご自身でマスターベーションを開始する。
STEP2
射精ぎりぎりとなった場合、射精を我慢いたします。
STEP3
これを3回繰り返したのち、射精を行います。
STEP4
射精のコントロールができるようになった場合、今度は、お風呂場など、濡れた環境で、上記を繰り返します。
濡れた環境は膣内に条件が近づきます。

骨盤底筋群のトレーニング法として、ケーゲルエクササイズもございます。


一部の抗うつ薬や局所麻酔外用薬(塗り薬)は、早漏を改善に効果を示すことが知られています。
しかし、本邦では、これらの薬は、早漏症の適応が得られていないため、適応外使用となります。
また、効果において個人差が多く、様々な薬剤を試していただき、ご自身にあった薬剤、用量を見つけていただく必要がございます。

抗うつ薬
ある種の抗うつ薬は、副作用として射精遅延を生じるため、これを逆手にとって、治療に応用いたします。
抗うつ薬のその他の副作用として、口渇や嘔気、性欲減退や眠気が挙げられます。
ジェイゾロフトやパキシルなどの選択的セロトニン再吸収阻害剤は、効果的であることもございますが、 効果発現に10日程度定期服用を要すことがあります。
三環系抗うつ薬であるアナフラニール(クロミプラミン)もしばしば使用されます。
この場合、毎日の定期服用は必要はなく、性行為セックスの数時間前に服用します。
抗うつ薬は、早漏症治療薬ではなく、また、副作用もあるため、 服薬によって得られる利益と副作用等の不利益とを天秤にかけ、治療をするかを決めます。

局所麻酔外用薬(塗り薬)
リドカイン(キシロカイン)やプリロカインの外用は、感覚を鈍麻させるため、射精遅延効果が期待できます。
性行為の30分~1時間程度前に、ご自身の陰茎に塗布していただき、性行為前にふき取ります。
感覚が鈍るために、逆に性行為の快感が薄れる場合がございます。
同様に、女性の膣の感覚が鈍麻することにより、性的な喜びを感じにくくなる場合があります。
その他、アレルギー反応が稀に生じます。

認識行動療法
カウンセリングに用いられるます。経験やパートナーとの関係などを心理療法士と話し合うことにより、 問題事項を明らかにします。
これにより不安が解消し、ストレス扱い方や解消法を見つけてゆきます。
カウンセリングは、他の治療法と併用されます。

その他の治療法
ヨガをされることにより、早漏が改善する方がいらっしゃいます。
その理由は明らかではないですが、骨盤低筋群の強化や、ヨガを通じてリラックス法を身につけるためかもしれません。
これについては、今後の検討、評価を要します。


男性のごくありがちな誤りとして、陰茎ペニスを女性膣内に挿入し、激しく突くことが、 女性をオーガズムに導くことと思われている場合です。
確かに女性も膣内への挿入を求めてはいますが、それ以外にも、コミュニケーションを重要視しています。
お互い、愛情をもって接し、治療に協力することをお勧めいたします。

早漏はある程度、訓練や馴れによって改善させることも可能です。
また、上記のようにパートナーとのコミュニケーションを取ることによって早漏が改善する可能性もあります。
本疾患は、薬物的な治療も保険外診療にて検討する事が出来ます。 薬物療法は大きく二つに分けて、向精神薬を使用するか、勃起改善薬を使用するかです。
向精神薬の中には過剰な興奮を抑えて早漏を抑制する事が可能な薬剤もありますが、 そこで難しいのは適切な興奮は勃起にとって不可欠であることです。 向精神薬によって早漏が抑制する事が出来ても、 興奮が抑制されることで、今度は勃起不全を引き起こすこともあります。
一般的に向精神薬は 薬剤性ED の一大原因です。

一方 で、勃起薬であるシアリスバイアグラレビトラ、 などの勃起改善薬を使用することも検討されます。
男性の陰茎は怒張し硬度を上げた方が、陰茎自体の感度は低下する傾向があります。 つまり、陰茎の感度が下がる事によって射精に至る刺激を抑制することが出来るので、 結果 勃起改善薬が早漏の予防効果を示します。
また、陰茎の硬度も増すことによってパートナーの満足感を早漏の改善とともに二重に深めることが出来ます。
ED治療薬の中でもレビトラに、もっとも射精遅延効果があるともされています。
当クリニックでは、一般的にレビトラをお勧めしております。
早漏でお悩みの方は、新宿ライフクリニックの専門医師に是非ご相談ください。


written by シアリスを新宿で.新宿ライフクリニック.

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