テストステロンの値が生理的範囲で高いほど、男性に長寿の傾向がみられるとの事です。



アンドロゲンと長生き

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【アンドロゲンと長生き】
アンドロゲンとは男性ホルモンの事になりますが、その生理的範囲においては、 その値が高いほど男性が長生きであるという統計報告が有ります。
「長生き」とは人類の夢でも有ります。 中国は秦の始皇帝など、歴史上の著名人の多くが、その栄耀栄華の果てに、 不老長寿を強く望み、数多くの試行錯誤を重ねたと伝えられております。
近代文明が萌芽する以前においては、 不老不死はフィクションやファンタジーあるいは宗教のテーマであり、 現実的な手段・手法が明確にあった事はありません。
しかし近代の生理学・生化学が老化のメカニズムを段々に解き明かしていき 現在、人類が所持している高度な人体への把握は、 数多くの生理物質が我々の老化の進行や予防に関連している事を解明してきました。
近代においては先史の状況とは異なり、今や不死はともかくとして不老は、 それほどファンタジックな話ではありません。 現に、現生人類は先史の頃に比較して、飛躍的に生涯寿命を延伸させ、 高齢化しても数多くの身体機能を残す事に成功しています。
先々においては、テロメアや活性酸素の制御による具体的な加齢対策が一般化する可能性も有りますが、 現在の技術でも実行に移せる加齢への対策が有ります。その一つに大きく関連しているのが性ホルモンです。
特に男においては生理的範囲内の男性ホルモンは高ければ高いほど、 長生きの傾向が有ると報告されています。 本項ではこのアンドロゲンと長生きが関連するというロジックに関して、 またこの内因性物質の解説、ならびに長生きの説明、 今後の加齢への対策などに関して記載しております。 ご参照くださいませ。


【アンドロゲンとは】
アンドロゲン=男性ホルモンとはみなさんはどのようなものを連想しますでしょうか? 殆どのみなさんは精力的なものと関連付けて連想されるのではないでしょうか?
それもまた、一面の真実ではありますが、実はこの内因性物質は非常に多くの機能に関連した、 人体にとってとても重要な生理物質なのです。
まずアンドロゲンの一番重要と言える働きには、胎児の性分化がなります。 胎児はアンドロゲンの影響下に、男性生殖器など性の形質を示す重要な器官の分化を始めます。 また出生後、外性器以外は体表の形質上、女児と大差なかった男児が二次性徴において、 アンドロゲンの影響下に、髭や体毛の発生、骨格や筋肉の増大、声帯の変化など、 身体をより「男性的」に変化させて行きます。
こうした出生、成長における形質上の変化がアンドロゲンの一番重要な働きと言えます。
そして二次性徴以降は、皆さまもご存じの性欲の調整や勃起などの、 生殖に関連した生理機能のコントロールにこの内因性物質は関連します。
しかしアンドロゲンの働きはそれだけに止まらず。意欲などの情動や記憶力などの認知機能の保持、 また身体の筋肉量などの身体機能面など、実は男性の数多くの機能の維持に重要な役割を持つとされています。
つまり、アンドロゲンの極端な低下は男性機能の低下だけでなく、 記憶力などの認知機能の低下、また筋肉量の低下など多くの悪影響をもたらし得ます。
筋肉が落ち、記憶力が低下する、これは皮膚のしわ等と同様に、 我々の主体的な老化のイメージの一つと言えます。 それだけでは無く、詳しくは後述しますが、 アンドロゲンの低下は生活習慣病を発症させやすくする独立した因子とも報告されています。


【長生きとは】
長生きとは、肉体の老化とはいったいどのようなものなのでしょうか? 長生きの一番の障害因子とも言える肉体の老化に関しては、無数の関連要因が有りますが、 大きなものとしてテロメアと活性酸素が代表的です。
実は人間の個々の細胞は分裂出来る回数に上限がそれぞれ定められていて、 この回数の上限に至ると細胞はアポトーシス、すなわち細胞の死に至ります。
これは遺伝子上の付属物であるテロメアという部分が細胞分裂のたびに短くなっていく事が設定している、 言わば細胞の寿命とも言えます。
またこれは生活習慣病なども関連しますが、 活性酸素の発生は肉体を老化の方向へと導く一大因子と言えます。 人間は酸素と糖質を非常に複雑な過程で代謝させ、 そこから大きなエネルギーを引き出す事が出来ます。 こうした酸素を利用した大きなエネルギーの産生は生物の進化を律速させ、 その大きなエネルギーを利用して生物の肉体は大きくなり、 さまざまな機能を発現させるに至りました。
しかし、この素晴らしいシステムには一個大きな問題が有り、 そのシステムの過程において活性酸素という動脈硬化など、 肉体を老化や機能障害方向に誘導する代謝物質の産生が有るのです。
また、活性酸素やテロメアの他、メタボリックシンドロームなど生活習慣病の発症、 動脈硬化の進行、過小もしくは過大な体重、紫外線など様々な因子が人間の肉体を老化させて、 長生きを阻害します。
これらの内、動脈硬化や生活習慣病的要素の予防的対策は比較的、 アプローチし易い長生きへの対策と言えます。


【アンドロゲンと長生きの関連についての報告】
この報告はアンドロゲンの主体であるテストステロンの生理的範囲内での高値と寿命の長さが、 統計学的に有意な相関関係にある事を発表したものであり、 アンドロゲンと長生きの強い関連を示したものです。
そのメカニズムとしては、アンドロゲンが生理的範囲内で高い方が、 メタボリックリンドロームや糖尿病の発症リスクが低い、 すなわちメタボリックシンドロームや糖尿病の発症による動脈硬化・心臓血管疾患などの発生の抑制に、 アンドロゲンが関わる事が主体に関連していると思われます。
これには内因性のアンドロゲン-アンドロゲン受容体の活性化が、 レプチン-STAT3シグナルの活性化を介した抗メタボリック効果、 抗糖尿病作用を発揮する可能性が関連していると考えられています。
またこうしたロジックとは独立して、アンドロゲンがLOX-1の発現制御を介して、 抗動脈硬化性を示すとも報告されており、 これらの報告はアンドロゲンの濃度の維持は長生きに繋がる可能性を示唆しています。


【今後の加齢への対策】
アンドロゲンによるED/勃起不全などには、 バイアグラレビトラシアリスシルデナフィル などのPDE5阻害薬が効果を示す事がありますが、
アンドロゲンの低下による筋肉量の低下、認知機能の低下、糖尿病の発症、 メタボリックシンドロームの発症には内服薬として有効なものは現在のところ、明らかでは有りません。
これらの原因治療的対策としては男性ホルモン補充療法が有ります。 これはアンドロゲンの主体であるテストステロンを人工的に補充する、 注射・外用の治療方法であり、 うまく利用する事でアンチエイジングつまり長生きに繋がる可能性が有ります。
しかしアンドロゲン補充療法を慢性的に使用するにあたり、警戒すべきものもあり、 その代表がアンドロゲン感受性腫瘍である前立腺癌になります。
このアンドロゲン補充療法施行上でのある意味での障害に関しては、 様々な対策も検討されており、 例えば、現在、前立腺刺激作用の希薄な選択的アンドロゲン受容体修飾剤などの開発も研究されています。 これが有効な形で実現すれば、アンドロゲン補充によるアンチエイジング、 つまり長生きへの前向きな対策が大きくとれる可能性が有り、 非常に高い期待が寄せられています。


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