パーキンソン病は本人とそのパートナーの性生活上のQOLを低下させる



パーキンソン病はEDやパートナーとの性生活に影響する

パーキンソン病における性機能障害の有病率を示しましたが、内科医やその他医療従事者は、性生活の健康について、 論じ、必須事項として扱うべきであります。
全ての例において、性機能に与える薬剤の影響を振り返って見直すべきです。
性教育やカウンセリング、治療についての特別な提案は重要であり、診療に当たる内科医が行うべきものです。
新たにパーキンソン病と診断された患者において、ドーパミン製剤の性機能に対する影響は、パートナーにも説明すべきです。
男性パーキンソン病患者の改善された(正常化された)性欲は、喜ばれない場合もあります。 高齢の配偶者は、”悩まされないで済む”状態で落ち着いてる場合もあるからです。

パーキンソン病患者の、性欲が亢進した緊急状態では、一般的には、薬剤により誘発されたものであり、治療を改善する事が有効です。
良く治療されたパーキンソン病患者の性欲減退は、もし、それが苦痛を生じさせているのであれば、 内分泌学的な診察が必要かもしれません。
新たにパーキンソン病が診断され、性機能障害を訴えている場合、ドーパミン製剤の使用が第一選択となり、経過を見ます。
しばしば、これで性機能障害は、改善されます。
性行為セックスを行う上での運動系の障害は、カウンセリングと、ドーパミン製剤を適切なタイミングで服用する事により、 克服できる可能性があります。
女性パーキンソン病患者における膣湿潤の減少は、潤滑剤の使用が役に立ちます。
性行為セックス中に、尿意が自制できないのは、前もって膀胱を空にすることと過活動性膀胱の治療が有効です。
男性患者における、早漏は、ある種のテクニックを用いるようカウンセリングする事により、改善される事があります。
クロミプラミンなどのセロトニン作動薬、セルトラリンやパロキセチンなどの選択的セロトニン再取り込み阻害剤などの抗うつ薬は、 有効かもしれません。 しかし、これらの薬剤の使用は、適応はされていません。
勃起不全EDと早漏症が関係あるのであれば、バイアグラ(、シルデナフィル)は、勃起不全EDと早漏症の両方を改善するかもしれません。
一部の患者では、オーガズムに達しにくい(遅漏)事の方が、むしろ典型的な問題です。
射精は、反射だとしばしば説明されます。
バイブレーターなどの膣挿入とは違う刺激は、しばしば有効です。
パートナーとこのような情報を共有することは、夫婦間の不安な気持ちを減少させ、これらの問題を扱ううえでの困惑を取り除きます。

勃起不全EDは、科学的根拠のある治療薬が利用できる、唯一の性機能障害です。
バイアグラ(シルデナフィル)は、様々な神経疾患の男性患者の勃起不全EDにたいしても有効で、 もちろんパーキンソン病にもバイアグラ(シルデナフィル)は有効です。
バイアグラ(シルデナフィル)のパーキンソン病患者とうつ病患者に対しての勃起不全EDの有効性は、85%にも及ぶと報告されています。
他の選択的PDE5阻害剤である、、シアリスタダラフィル)、レビトラバルデナフィル)もまた、有効と考えられています。
これらのED治療薬は、陰茎海綿体におけるサイクリックGMPを増加させ、陰茎の一酸化窒素NOによる弛緩経路を増強させます。
これらED治療薬は、強制的に勃起させるのでなく、性的な興奮への反応を増大させます。 バイアグラは、自然な反応を維持し、パートナーとの肉体関係と密着を促します。
他方で、男性は性行為セックスに集中でき、勃起は、必要がなくなれば萎えてゆきます。
バイアグラ(シルデナフィル)は、性行為セックスのおよそ1時間前に経口摂取します。 服薬後、30分から4~6時間効果が持続するとされています。
用量を調べた試験では、用量依存性のカーブを示しています。
パーキンソン病患者では、バイアグラ50mgから開始し、必要があれば100mgまで増加させます。
私たちのクリニックでは、パーキンソン病患者の性行為セックスを成功のためには、ED治療薬の効果発現に、内科医が推奨するよりも、 より長い時間を要と報告しています。
胃腸の運動が緩慢である事が、ED治療薬の吸収を減弱させているためと説明されています。
担当の内科医は、診察中に、ED治療薬の使用と、うまくいかなかった場合、 効果発現までの時間が延長することをアドバイスしたほうがよいです。
バイアグラ(シルデナフィル)は、繰り返し使用できる薬剤です。 一週間当たり1回または2回の使用であれば、速成耐性の恐れはないとされています。

ED治療薬は、硝酸薬(ニトロ系薬剤)または一酸化窒素NOの供給しうる薬剤との併用が禁忌となっています。
循環器医は、これら薬剤を、ED治療を要す患者に対し、変更が可能な場合があります。
ED治療薬は、網膜色素変性や、持続勃起症の既往がある場合は使用すべきではありません。
また、低血圧90/50mmHg以下の場合も使用できません。
勃起不全を認め、パーキンソン症候群を認め、無症候性の起立性低血圧を認める場合は、多系統委縮症と鑑別を行う必要がございます。
最もバイアグラ(シルデナフィル)で一般的な副作用は、頭痛、顔の紅潮、消化不良です。
一時的な、視覚異常(主には色覚異常)は高容量100mgで生じることもあります。
有害事象は、一時的であり、軽度である事がほとんどです。
心筋や伝導系への影響を示す証拠はありません。
冠動脈疾患の患者では、性行為セックスと運動のリスクを知る必要があり、運動耐容能を評価する必要があります。
心血管系疾患におけるバイアグラの使用指針が示されています。

アポモルフィンの舌下投与による治療は、勃起不全EDを生じたパーキンソン病患者のもう一つオプションの治療となりえます。
活動は、視床下部のドーパミンの作用によります。
用量は、2-4mgが推奨され、10-25分間の勃起が得られます。
最も多い副作用は、嘔気です。
パーキンソン病患者では、通常使用量より高容量でなれば、勃起効果が得られないかもしれません。

最近発表された、神経疾患の勃起不全EDを対象にした総説では、パーキンソン病では、バイアグラ(シルデナフィル)はグレードAとされ、 アポモルフィンはグレードBとされています。

経口薬で効果が得られない患者には、陰茎への血管作動薬の注射が利用可能です。
この治療法は、パーキンソン病に限らず、より進行した患者に使用されます。
実際にこの治療法は、パーキンソン病患者に稀にしか使用されていません。
プロスタグランジンE1、パパベリン、パパベリン-フェントラミン混合は、70%以上の有効率を示します。
持続勃起症や局所に長期に作用し発現した急性合併症の頻度は、プロスタグランジンE1が最も少ないです。
この治療法は、抗凝固薬を服用中の患者には、禁忌となっています。
プロスタグランジンE1(アプロスタジール)は、自己注射が好まれ、神経因性な勃起不全EDに有効です。
持続勃起症を回避するために、初めは2-4μgというごく少量から開始します。
海綿体への注射は、患者とそのパートナーの手先の器用さを必要とし、 自己注射を行う前に、医療従事者の監視下で、手技等を教えられなければなりません。
効果発現はとても早く、2~4時間作用が持続します。
勃起がより長く持続した場合は、持続勃起症として取り扱います。
まずはじめに冷湿布で治療します。
持続勃起症は、泌尿器科的緊急疾患で、通常は保存的な治療で良好な予後を示します。

一部のパーキンソン病の患者では、陰茎への注射により、”保障された勃起”を誘発することに気付きます。
これは、性欲に依存してなく、それゆえに、不安になりません。
これは稀に試される方法で、カップルは、性行為のための薬を用意し、配偶者は、注射を上手に行うようになります。

科学的な薬物治療を望まない患者は、バキューム器が助けになりえますが、患者およびパートナーは手先が器用でなければなりません。
高齢のカップルには適応が稀です。
神経疾患の勃起不全ED患者では、挿入に十分な硬さは、反応者の90%と報告されています。
パートナーの満足感は70%です。治療後数か月経過すると、性行為セックスの増加にもかかわらず、 わずか41%の患者が満足したに過ぎません。
硬さの消失と、圧迫バンドの脱着の困難さが、主な不平です。
もっともよく見受けられる合併症は、バンドの跡が残ること、点状出血、皮膚のむくみです。 圧迫バンドは、30分以上装着すべきではありません。
圧迫バンドの単独使用は、勃起を得ることはできますが、長く続けられるものではありません。 道具の継続時間に関する同様な制限が観察されます。

うつと抗うつ薬の使用は、パーキンソン病患者では、よくあることです。
ともに、性機能障害に関係します。
性機能障害に関連したうつ病の治療にED治療薬を使用したという報告もあります。
Nurnbergとその仲間らは、98名の選択的セロトニン再取り込み阻害剤を服用中の女性において、 性行為の困難さ(特にオーガズムの遅延や膣潤滑の減少)を減らすことは、バイアグラによる治療と関連があるとしています。
性機能障害に関連したうつ病で、バイアグラ(シルデナフィル)の用量を増量することが推奨されています。

一部の研究報告では、パーキンソン病患者の性機能障害においてテストステロンに注目されています。
高齢パーキンソン病患者は、高率にテストステロン分泌障害を有する事は、あまり知られていません。
60歳以上の一般対象群では20-25%を占めます。
テストステロン欠乏は、うつ、易疲労、性欲減退、勃起不全ED、仕事の能率の低下などが、しばしば報告されています。
これら症状は、抗うつ薬、抗不安薬、抗パーキンソン病薬で難治でありますが、テストステロンによる治療に反応する場合があります。
テストステロン軟膏の外用は、テストステロン欠乏による症状を改善し、非運動系、運動系の症状をも改善する傾向にあります。


バイアグラ効果は新宿ライフクリニック



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